川口保 のブログ

1市民として市政を眺めつつ、社会のいろいろな出来事を取り上げています。

国歌“君が代”をめぐる2つの動き(1)

2011-06-05 23:46:02 | 日記

 東日本大震災の被災地の人たちの気持ちをよそに、国会では政争が行われている時、卒業式などで「君が代」斉唱時に教職員の起立斉唱をめぐる2つの動きがありました。一つは5月30日の最高裁判決で、東京都が卒業式で「君が代」斉唱時に不起立であった教員の処分を発令し、退職後の再雇用を拒んだことに対する元教員の損害賠償を求めた訴訟の判決です。もう一つは6月3日の大阪府議会の本会議議決で、入学式などの君が代斉唱時に教職員に起立斉唱を義務付ける条例案の可決です。 

 

 大阪府議会では橋下徹知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が議員提案したもので、単独過半数を占める同会派の賛成多数で可決しました。他の主要会派はいずれも反対したということです。議会は過半数をもって議案が可決されたり否決されたりするものであるが、知事が代表を務める議会会派から、知事の意向に沿って出された議案が、同会派の賛成多数で可決されることは、二元代表制の精神から問題があるのではないのでしょうか。

 一方東京都の損害賠償訴訟の最高裁判決は重いものがあります。卒業式などで君が代の起立斉唱を教職員に求めた職務命令が、憲法19条の「思想・良心の自由」に反するかどうかで争われ、最高裁は「職務命令は思想・良心の自由を侵害しない」という判断を示しました。

 

 民間企業では自分の思想信条で会社の方針や社長命令、上司命令に反する行動はなかなかとれません。霞が関の官公庁の職員でも会議などでいろいろな意見を言うことはできても、決った方針や上司命令に反する行動は取れないのではないかと思います。また松阪市という小さい行政単位でも、職員は市や市長の方針に対し、自分の思想信条から反する行動は取れないものと思います。そのようなことから見ると、教職員という職種は、絶対であるべき校長も雇われである特殊なかたちです。

 

 小学校や中学校の卒業式や入学式に参列していつも気になるのは、校歌や別れの歌を大きな声で歌う児童や生徒が、「国歌斉唱」ではほとんどの歌わないことです。子供たちだけでなく保護者も先生も歌う人は少なく、一部の来賓の人たちだけが歌う国歌斉唱になっています。私たちの子どもの頃には君が代を歌ったと記憶していますが、日本という国はいつからこのような国になってしまったのでしょうか。卒業式や入学式に参列していつもさみしい気がします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする