川口保 のブログ

1市民として市政を眺めつつ、社会のいろいろな出来事を取り上げています。

マニフェスト選挙について

2010-05-22 09:35:59 | 日記
 この夏の参議院議員選挙を間近に控えて、各党マニフェスト作りが急ピッチで進んでいます。
 このマニフェスト、もともとはイギリスで始まったもので、原型は約180年前、1830年代のイギリス、当時のピール首相というのがつくった「タムワースマニフェスト」(タムワースとはピール首相の選挙区の名前)です。今のようなマニフェストがつくられたのは、今から約20年前のイギリスで、当時のサッチャー政権の与党、保守党がつくられたマニフェストが始まりとされております。

 日本におけるマニフェストを用いた選挙は、2003年の公職選挙法改正により、政党がマニフェストを選挙期間中に配布できるように(補欠選挙を除く)なってからです。国政選挙における実質的なマニフェスト選挙の始まりは、昨年夏の衆議院選挙からではないかと思います。
 また、2003年、当時の北川正恭三重県知事が地方自治体における「ローカル・マニフェスト」の導入を提唱しました。この時、北川知事とともにローカル・マニフェストの提唱をされた、当時の四日市大学地域政策研究所長の竹下護先生(現三重県教育委員長)から、平成20年8月4日から3日間の日程で行われた四日市大学の公開授業「地方議会論」で講義を受けることができました。この時、竹下先生や前犬山市長石田芳弘氏(現衆議院議員)から、マニフェストの作り方やマニフェストについての考え方を詳しく聞くことができました。

 マニフェストは有権者との「契約」とうい表現が用いられ、ここに掲げたことはすべて実現をしなければならないとされています。マニフェスト選挙においては政権政党や現職首長の地味なマニフェストに対し、野党や新人候補のマニフェストの方がはるかに華やかで夢のある政策が踊ります。
 昨年1月に行われた松阪市長選挙でも、現職下村候補の超地味がマニフェストに対し、新人山中候補のマニフェストは夢のある施策であふれていました。昨年夏の衆議院議員選挙においても当時の与党自民党のマニフェストはほとんど話題になりませんでしたが、野党民主党のマニフェストは大変話題になりました。マニフェスト選挙においてはどうしても野党や新人候補が有利となります。
 マニフェストを掲げての選挙戦における公開討論会やテレビの討論会などでは、本来は自分のところのマニフェストにはこんな政策が織り込まれていて、こんなにいいのだよと売り込むところを、相手陣営のマニフェストを攻撃するパターンが多くなるのは残念です。

 マニフェストにあまり有権者受けする施策を折り込み過ぎると、選挙が終わって、政権を奪取したとき、また選挙に当選したときからマニフェスト実施に向けての苦闘がはじまります。財源の問題など現実は厳しく、思うように実施できないのが現状です。日本のマニフェスト選挙はまだ始まったばかりで、本来のかたちになるまで少し時間がかかりそうです。いかに甘い内容であっても現実性があるかどうかを有権者は判断すべきです。また、増税や補助金の削減など住民の「痛み」の部分もマニフェストに織り込むべきです。このようなことを有権者が正しく判断できるようになってこそ、成熟したマニフェスト選挙といえます。
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