フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

見識

2007-12-15 22:27:21 | Weblog
作家、阿川弘之さんの「大人の見識」(新潮新書)が11月17日に発売され、2週間で10万部に達するという反響を呼んでいます。
私も早速買い求めましたが、この書は本当の大人や深い見識が消えていく時代にあって大切なことは、知識やスピードではなくてじっくりと歴史を温めて得られるスープのような知恵だと語っています。特に参考になる言葉の1つに「負けっぷりをよくする」というのがあります。これも見識を取り戻すための言葉でしょう。
三つの識があります。「知識」「見識」「胆識」
その1つ見識は、自分の経験や考えを知識にかえたもので、経験によって持つものだと教えてくれます。そういう意味では正しい見識を見に付ける為には敗者から学ぶ事。その敗者は歴史からピックアップする事でしょう。
阿川さんは、その為にも歴史を若い人にもっと知って欲しいと語っています。そして得た知識の中から峻別する必要があります。つまり情報を加工する力も必要になってきます。
現在の情報の伝え方にも問題があります。伝える人間の人間性、これが欠如しているのですね。自分の考え方をまず披露する力がないのです。単に情報を受け売りするという無難な作業に終始してしまっている様な気がします。
ともあれ来年あたりは「品格」から「見識」にブームが移り変わっているかも知れませんね。