パラグアイ共和国エンカルナシオン市アルマス広場の北側,公立小学校コレヒオ・ナシオナルの前に,豆の形をした莢を着ける一本の街路樹がある。秋が来ると,褐色になった莢が路上に落ちるので,通行人は踏みつけないよう注意して足を運び,同時に樹の枝を見上げる。
この樹の名前はタマリンド(Tamarindus indica L.),マメ目(Leguminales)マメ科(ジャケイバラ科)タマリンド属の常緑種で唯一の種(英名Tamarind),和名はタマリンドまたはチョウセンモダマと呼ぶ。葉は長さ15-20cmの羽状複葉,莢は長さ10-15cm幅2cmほどでやや湾曲した円筒状を示す。原産地は熱帯アフリカで,インド,東南アジア,中南米などの亜熱帯から熱帯で栽培され,種子の周りの果肉が食用に供されるという。パラグアイ滞在中も注意していると,エンカルナシオンの他の場所でも見かけたし,ミシオネスの農家を訪れた時には庭先に撓わに実る高木を目にしたこともある。(記憶によれば,書物の記述とアルマス広場の樹では葉の形が若干違うような気がする。異なる種なのか,品種の違いなのか,確認が必要)
調べてみると,タマリンドは料理の酸味料(酒石酸とクエン酸),食品添加物の増粘安定剤(タマリンドガム),シロップ,清涼飲料水,生食,ドライフルーツ,砂糖漬け,塩漬けなど多様に使われている。インド料理のサーンバールやラッサム,タイ料理のトムソム,フイリッピン料理のシニガン,ベトナム料理のカインチュアの酸味付けに欠かせないのだそうだ。生食用には,酸味が弱く甘みが強い品種がある。マダガスカルのキツネザルの好物である,フイリッピンではマラリアに効果があると葉をタマリンド茶にして飲む(?)とも伝え聞いたが,真実か否か知らない。
さて,そんなタマリンドを旅行中にマドリッドのスーパーマーケットで見かけ,懐かしさのあまり購入して食べた。旅の疲れが消えたように思えたが・・・。
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