恵庭市民会館の前庭に,幼児二人の石像がある。おそらく兄と妹だと思うが,男の子は鳩を右手に抱えて立ち,女の子は兄の脚に右手を添え座している。ふくよかな顔で微笑みを湛えている。瞳の先には,平和な未来が広がっていると確信しているようだ。
台座の正面には,恵庭市長槌本貞一の書で「平和の像」とある。さらに,「この像は恵庭市の子供達が健やかに育ち平和に,そして恵庭市がますます住みよく発展する事を強く願いここに建立いたします」とメッセージが記されている。
この像は,恵庭三四会(恵庭若手経営者の会)が寄贈したものである。「平和の像」は,昭和52年(1977)会の設立に合わせて建立したものであるが,平成17年(2005)三十周年記念事業として古くなったモルタル製の台座を御影石に取り換えたと言う。「寄贈恵庭三四会,三十周年記念事業,平成17年11月26日」と刻まれている。同日,除幕,記念式典が挙行された。
高さ6m,幅4.6mの大きさは,彫像に比べ「不釣り合いなほどに高く大きな台座」と思わぬでもないが,幼児の表情に救われる。また,恵庭三四会は彫像の清掃作業を毎年行っていると言う。彫像の管理もさることながら,作業を通じて平和を願う気持ちを確認しているのだろ。会の活動に敬意を表したい。
彫像の作者については,現在確認中。
市役所に問い合わせたところ,Sさんから「作者名は記載されていない。三四会に聞いてみたが,代が替わっていて分からない」,さらにTさんから「著名な作家の作品ではなく,札幌の○○石材店の制作」とご教示頂いた。寄贈目録に彫像作者名が記載されていないこと,具体的な石材店名が示されたことから勘考すると,石材店の石工(匠)作というのが本当の所かも知れない。
確認のため○○石材店に電話で伺ったところ,現社長から「三代目の幸天市社長の時代と思われるが,記録が見つからない。ただ,この時代だと灯篭や狛犬を彫る石工(匠)はいたが,彫像を制作できる石工(匠)は北海道にいないはずだ。道外での制作かも知れない」とのご意見を頂いた。
言うまでもないが,名もなき一石工(匠)の作品であろうと,この作品の芸術性や価値を損なうものではない。むしろ,将来の平和と安寧を信じて疑わない子供らの表情を,かくも素直に具現した作家の力量に感嘆する。作者はどんな方だったのだろうか,気に掛かる。
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