北海道文教大学特別公開講座
2023年6月25日、北海道文教大学の特別公開講座を聴講した。講師は宮田裕章氏、演題は「デジタルトランスフォーメーション(DX)の先にある新しい社会とヘルスケア」。
演題を見たとき、「デジタルトランスフォーメーション・・・?」、DXとは何だと言葉に躓いた。講師はテレビでコメンテーターとしても活躍されているので、データサイエンス専門家であることは知っていたが、昨今飛び交うこの種の横文字には追い付けない。「これは聴講する前に予備知識が必要だ」とネットを覗く。
◆「DX」という言葉自体の意味
DX は「Digital Transformation」の略語で、2004 年にスウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマン氏が提唱した概念。「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」ことを意味する。英語圏では「Trans」を「X」と略すことがある。
◆日本における DX の定義
経済産業省「DX 推進ガイドライン」には、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネス モデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とあるそうだ。つまり、企業がデジタル技術を活用しビジネスモデルや企業そのものを変革していくことを意味する。英語の「Digital Transformation」を直訳すると「デジタル変換」だが、単なる“変換”ではなく“変革”という意味合いを持つと定義されている。
何となく解ったような気になる。情報社会の中で、ID化だけでは不十分、 DX化することが必要だと言うことか。DX化のメリットは ①新たなビジネスの創造、②リスク回避に役立つことになると言う。
(写真は公開講座案内ポスターから)
講師は、世界の流れ(歴史)を「農業革命」→「産業革命」→「情報革命」→「創造革命」と涅槃することから話を始め、日本は自動車産業など産業革命で大成功をおさめ、その成功体験から情報革命の流れに乗り遅れた。経済を核とした社会から新たな社会へと変化が起こっていることを認識しなければならない。格差のリスクを認識し、持続可能性、一人一人の豊かさを求める社会、最大多数から最大多様の最大幸福を追求する社会のためにDXが必要であり、DX化が有効と説く。そして、高齢化が進む中で、ヘルスケア分野の改革にDXが役立つことを示唆された。
確かに、COVID-19パンデミックで、私たちはデータやデジタル技術を活用することの重要性を理解したし、IDの進歩で世の中が飛躍的に便利になった。しかし同時に、進歩の過程で人間性を忘れることがあってはなるまい。
講師が共創する社会ビジョンの一つは、「いのちを響き合わせて多様な社会を創り、その世界を共に体験する中で一人ひとりが輝く社会」と述べている。氏は、研究・実践行動の中で常に人間を中心に捉えていると主張しているのだろう。そうあって欲しい。
市民公開講座としては、やや難解。