竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

万葉集 集歌574から集歌578まで

2020年06月04日 | 新訓 万葉集
大納言大伴卿和謌二首
標訓 大納言大伴卿の和(こた)へたる謌二首
集歌五七四 
原文 此間在而 筑紫也何處 白雲乃 棚引山之 方西有良思
訓読 ここありに筑紫(つくし)や何処(いづち)白雲のたなびく山し方(かた)にしあるらし
私訳 ここ、都と筑紫との間にいて、さて、筑紫はどちらの方向になるのだろう。きっと、白雲のたなびく山の西の彼方にあるのだろう。

集歌五七五 
原文 草香江之 入江二求食 蘆鶴乃 痛多豆多頭思 友無二指天
訓読 草香江(くさかえ)し入江に求食(あさ)る葦(あし)鶴(たづ)のあなたづたづし友無しにして
私訳 草香江の入江に餌をあさる葦べの鶴の足元がたどたどしいように、ああ心もとないことよ。多くの世を語る友は遠くに居て、ここには居ないものだから。

太宰帥大伴卿上京之後筑後守葛井連大成悲嘆作謌一首
標訓 太宰帥大伴卿の京(みやこ)に上りし後に、筑後守葛井連(ふぢゐのむらぢ)大成(おほなり)の悲嘆(かなし)びて作れる謌一首
集歌五七六 
原文 従今者 城山道者 不樂牟 吾将通常 念之物乎
訓読 今よりは城(き)し山道は不楽(さぶ)しけむ吾(あ)が通はむと念(おも)ひしものを
私訳 これからは大宰府に通じる城の山道は楽しくは無いでしょう。貴方が居らした大宰府だから私は通わなければと強く思っていましたから。

大納言大伴卿新袍贈攝津大夫高安王謌一首
標訓 大納言大伴卿の新しき袍(うへのきぬ)を攝津大夫(つのたいふ)高安王(たかやすのおほきみ)に贈れる謌一首
集歌五七七 
原文 吾衣 人莫著曽 網引為 難波壮士乃 手尓者雖觸
訓読 吾(あ)が衣(ころも)人にな著(き)せそ網引(あびき)する難波(なには)壮士(をとこ)の手には触(ふ)るとも
私訳 私が送る任官祝いの官衣を他の人には着させないで下さい(=あげないで下さい)。海辺で網を引く難波の男達が「このような粗末な衣は、きっと自分の物だ」と云って手に取ったとしても。

大伴宿祢三依悲別謌一首
標訓 大伴宿祢三依の別れを悲しびたる謌一首
集歌五七八 
原文 天地与 共久 住波牟等 念而有師 家之庭羽裳
訓読 天地とともに久しく住まはむと念(おも)ひにありし家し庭はも
私訳 天と地とともに長く住んでいようと願っていました家、その家の庭よ。
コメント
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