Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ジャッキー・ブラウン

2013-03-17 | 映画(さ行)

■「ジャッキー・ブラウン/Jackie Brown」(1997年・アメリカ)

●1998年ベルリン映画祭 銀獅子賞(主演男優賞)
●1998年おおさか映画祭 外国映画主演女優賞

監督=クエンティン・タランティーノ
主演=パム・グリア サミュエル・L・ジャクソン ロバート・デ・ニーロ

 僕はバイオレンス嫌いのタランティーノ好き。この映画は流血を見せず、多くの人を殺さず、実にスマートな犯罪映画の快作。タランティーノのセンスには脱帽だ。「トゥルー・ロマンス」から暴力を取り除いたらどうなる?と昔思っただけに、僕が観たかったタランティーノ映画って実はこれだったのかもしれない。世間的に評価が今ひとつのようだが、それはブラックスプロイテーション映画へのオマージュというやや一般ウケからは離れたところを狙っていることと上映時間かな?。「キル・ビル」も偏愛の極地なんだけど、こっちはアジアというエキゾチックさがあるだけにウケるんだろうね。

 でも掛け値なしに「ジャキー・ブラウン」はかっこいい。それでも見終わって物足りなさが残る(僕もそれは例外ではない)のは、きっと「パルプ・フィクション」や「キル・ビル」と比べると刺激が少ないからだ。流血だって控えめだし、テンポにしたってそれ程スピーディーではない。でもそれはタランティーノが以前よりも大人になって、偏愛とアイディア一発だけじゃない普遍的な映画づくりをしたいという意欲の表れだと思うのだ。残念ながら世間はそれを認めなかった。70年代テイストの偏愛の部分だけをつまんで同じようなことをやっているとしか見なかった。でもパム・グリアの再評価、イケてない男もやれるデ・ニーロを見せたこと、ロバート・フォスターの渋い好助演、サミュエル・L・ジャクソンの堂々とした悪役ぶり・・・そうした役者達の今までにない魅力を引き出したのはこの映画のおかげだ。タランティーノ、もっと胸張っていいんだゾ!。

 ラストのグッと抑えた大人の恋愛劇は見事というよりない。エンドクレジットにかぶさる ♪Acroos 110th Street をパム・グリアが口ずさみ始めたとき、僕は涙があふれそうになった。いやマジで。銃紹介ビデオ見ながら熱っぽい説明をするサミュエル・L・ジャクソンは観客を引き込んでくれる。「香港映画の影響で二丁拳銃が流行る」って台詞や、ブリジット・フォンダが親父主演の「ダーティ・メリー・クレイジー・ラリー」を見る場面は、映画ファンの心をくすぐってくれる。ところで、サミュエル・L・ジャクソンがかぶっていた(パム・グリアがかぶっている場面もあった)カンゴールのハンチングはいったい何色あるのだろう?。

(2003年筆)

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コメント (2)
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