Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

サイドウェイ

2013-03-08 | 映画(さ行)

■「サイドウェイ/Sideways」(2004年・アメリカ)

●2005年アカデミー賞 脚色賞
●2004年ゴールデングローブ賞 作品賞(ミュージカル/コメディ部門)・脚本賞
●2004年LA批評家協会賞 作品賞・監督賞・脚本賞・助演男優賞・助演女優賞
●2004年NY批評家協会賞 作品賞・脚本賞・主演男優賞・助演女優賞

監督=アレクサンダー・ペイン
主演=ポール・ジアマッティ トーマス・ヘイデン・チャーチ ヴァージニア・マドセン サンドラ・オー

 映画「サイドウェイ」は、作家志望の英語教師と結婚式を間近に控えた盛りを過ぎた俳優の二人が、ワインを楽しむためにカリフォルニアを旅行するロードムービー。その旅を通じて二人は共通の話題で語り合える女性達と恋をする。大なり小なり様々な事件が起るが、それを通じて二人は自分を見つめ直すことになる。二人は人生の半ばを過ぎてこのままでいいのか考えている。僕も40の声が近くなってきたけれど、別にこの映画の主人公二人に感情移入するまではなかった。それにどんなにバカをやっても結局は助け合う二人の姿が可笑しくもあり、嬉しくもあり。でも、この映画のダメ男二人を見つめる監督の優しい視線にとても心温まる。人間誰しもが懸命に生きている。そして誰か自分を認めてくれる人がいる・・・それはとても嬉しいこと。仕事柄、就職が決まった若い子たちに僕はそうした趣旨のことをよく言うのだけれど、この映画のラストシーンで改めてそう思った。

 正直言うとワイン通が主人公ということでハイソなお高くとまった雰囲気の映画を予想していた。でもそれなら川島なおみにキャッチフレーズ語らせるような宣伝でもするだろう。この映画で語られるワインの話題はよくわからなかった。この映画でピノ・ノワールがなんたるかやっと理解したようなレベルだ。ところが4人がワインを次々と空けながら会話を続ける場面に見とれてしまう。共通の話題があることは最良の肴。音楽や映画を肴に飲めるヤツは身近におらんか?と常々思っている僕だけに、この場面は素敵に映った。帰り道、「刑事コロンボ」の大好きなエピソード「別れのワイン」を見なおしてみたくなった(笑)。

 日常の小さな出来事の積み重ねでできた映画だから、演ずる人々も自然体の演技が要求される。ポール・ジアマッティ演ずる自信のない主人公はもうこの人しかない!というくらいにハマリ役。「デュエット」のサラリーマン役が頭をよぎる。そしてヴァージニア・マドセンが素晴らしい!ためらいと愛情が交差する心情が印象的だ。昨年80年代の主演作「エレクトリック・ドリーム」を見ているだけに、いい女優になったなぁと改めて思う。「ホットスポット」の悪女も忘れられないよなぁ。全編を流れる洒落たジャズがまた心地よい。

(2004年筆)

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