Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ザ・ディレクター 市民ケーンの真実

2013-03-14 | 映画(さ行)

■「ザ・ディレクター 市民ケーンの真実/RKO 281」(1999年・アメリカ)

●2000年ゴールデングローブ賞 作品賞(TV部門)

監督=ベンジャミン・ロス
主演=レーヴ・シュレイバー ジョン・マルコビッチ ジェームズ・クロムウェル

26歳の誕生日に僕が考えていたこと。
”オーソン・ウェルズは26歳で「市民ケーン」を作った。僕は何ができるのか?”
天才ウェルズに張り合うつもりは無論ないけれど、恐れ多くもそんなことを考えたのだ。では、26歳のウェルズとはどんなヤツだったのだろう?。

本作は「市民ケーン」製作の裏話を映画化したもの(本作はTVドラマとして製作。日本では劇場公開された)。メディアを操る権力者だった新聞王ハーストをモデルにしたことから、ハリウッド全体を巻き込む騒動に発展したいきさつがテンポよく描かれる。他の映画では脇役が多いレーヴ・シュレイバーがウェルズを演じ、ジョン・マルコビッチやメラニー・グリフィスが共演。新聞王ハーストは所有欲に駆られた老人として描かれているが、これを演ずるジェームズ・クロムウェルの巧いこと。権力者としての上映中止を迫るダーティな面も、ラストの寂しい一老人となった姿も見事だ。「スペース・カウボーイ」の憎まれ役や「トータル・フィアーズ」の米国大統領は記憶に新しいが、ここでもいい仕事をしている。主役のはずのウェルズはこれですっかりかすんでしまった。プロデューサー役のロイ・シャイダーも存在感ある好助演。

しかし90分足らずの短時間に押し込んでいるから物足りなさもある。例えば僕の関心事だった、ウェルズの人間像にはもう一歩迫れていない気がする。野心とか無軌道振りとか、この上映時間では十分に描ききれなかったところもきっとあるのだろう。ジョセフ・コットンとの関係や、何もなくなった豪邸で抱き合って踊るハーストとマリオンの姿をもっと見たかった。「市民ケーン」好きには楽しめる小品ですね。それにしても、”バラのつぼみ”の由来が、そういうこととはねぇ・・・そりゃ怒るだろう!。

(2003年筆)



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