Ma Vie Quotidienne

一歳に二度も来ぬ春なればいとなく今日は花をこそ見れ

東京すし屋めぐり すきやばし次郎 銀座本店

2010-12-20 21:57:32 | Restaurant/Bar/Cafe
ゴッホ展の後、
高島屋まで移動して土産など買って時間をつぶし、
17:30に向かいましたのは、
今回の東京旅のメインイベント、
すきやばし次郎 銀座本店。





つい半年前には、わたくし、
こちらに訪問する気はサラサラありませんでした。

握りのみ20貫のおまかせ、
目の前の握りを手に持ったら次のが出てくる、のハイテンポで、
20~30分で食べ終わってしまい、
お値段3.15諭吉・・・・
そんな店、行けるわけないだろっ!
って思っていたんです。

でも、秋ぐらいに何気に鮨について検索していて
たまたまYOU TUBEにて
2004年に放映されたすきやばし次郎の特集番組を見てしまい、
ちょうどそのころは、
いろんなすし屋を巡って
自分なりの鮨感が出来上がってきたころだったので、
俄然訪問意欲が沸いてしまいました。

これは、鮨バカを目指す以上、避けては通れない店であろう、と。

そして、
12月にゼッタイ行く!と決心して、
それまでにすきやばし次郎の鮨を堪能できる鮨感を身につけようと
苦行の数々をこなしてきたわけです。

こんなにリキんじゃうのは、
単に20分3万円だってことだけではありません。

鮨の一時代を築きあげた「現代の名工」、
小野二郎さんの握りを食べられるチャンスはもう少ないのです。

85歳の二郎さん、
いつでもツケ場に立っているわけではありません。
店に行っても二郎さんがいないとか、
いたとしてもツケ場には立たないで長男さんが握るとか。

20分3万円払うなんてもうこの先2度とないだろうから、
ぜひ最初で最後のこの機会に二郎さんに握ってもらいたい。

そのためにいろんなことをネットで調べました。
どの時間帯ならなら握ってもらえる確率高いとか。
行ったときに十分堪能できるよう
お店のシステムを熟知しようと、
いろんな人のブログやレビュー読んだり。
すきやばし次郎の本読んだり。

そんなこんなで11月はじめに予約の電話。
ほんとはお昼を狙っていたんだけど、
満席だということで、しょうがなく17:30に。

以来、
夢で、私が店に行ったら二郎さんがいなかった光景とか見てしまったり、
この3ヶ月くらいは私の脳内地図の8割くらいが
「すきやばし次郎」でした(爆)

そして迎えたこの日。

お店に入ると、若いお弟子さんが案内してくれました。
左手のツケ場には長男さんともう一人お弟子さんが仕込み中、
右手のテーブルに二郎さんが座っていらっしゃいました。

お客は私一人。
このあと20分ぐらい私一人でした。

まず二郎さんとツケ場のお二人にそれぞれご挨拶しました。

私が席に着くと、
3番手の方が挨拶、そしてシステムの説明してくださいました。
「あれ・・もしかしてこの人が私のを握るの?」
サーッと血の気が引けました。

が、お茶が運ばれてくるのとほぼ同時に
二郎さんがスッと立ってつけ場に入り、
私に挨拶してくださいました。
私ももう一度「よろしくお願いします」と挨拶をしました。

そして、二郎さんが握り始めてくださいました。

うわ~い、神様、ありがとうございます!!!

と喜んだのもつかの間、一つ目の握りが私の前に。
以降どんどんと、
私が目の前の握りを持ち上げると同時に
二郎さんが次のを握りはじめ、
私が持っている握りを口に入れて咀嚼し始めるとほぼ同時に
次の握りが出てくる・・・の繰り返しでした。

私は、手に握りを持った瞬間から、
二郎さんが次のを握る動作をガン見しながら握りを口に入れ、
次に運ばれてきた握りの形を目に焼き付けながら
口の中の握りの味を舌に焼き付ける、という作業を
繰り返したわけです。

以下、この日の握りのラインナップです。


ヒラメ:食感、旨み、温度よし。
スミイカ:六本木よりも柔らかい。
シマアジ:普通にウマイ
赤身:ウマイ。余韻も。
中トロ:ウマイ。
大トロ:六本木よりも脂が気にならなく美味しい。
コハダ:〆方OK、身の厚さもちょうどよい。
赤貝:コレは六本木の方が甘みが濃かった。
アジ:ウマイ。
車海老:柔らかい、温度よし、大きさもよし。
    尻尾がついたままの提供。
カツオ:おなじみワラで燻したカツオ。
    この時期だからカツオは諦めていたのに食べれて感激!
    さわ田ほど強くなくてちょうどよい燻し塩梅。
    ただしカツオ自体はやや水っぽかった。
煮ハマグリ:六本木よりも柔らかい。
さば:好みの〆方
煮シャコ:六本木よりも小さなシャコで食べやすかった。
     子持ちのメス。煮た味はおいしい。
さより:長いサヨリをくるりと折り曲げて。
ウニ軍艦:ウニ自体は六本木のほうがうまかった。
     単純にパッケージ差だと思うけど。やはり山盛り。
小柱軍艦:ぷちっとはじけるような食感。うまい。
     コチラも山盛り。
イクラ軍艦:プリッと真ん丸いイクラ、軟口蓋でジュワッとつぶれる。
     すごいウマイ◎
穴子:これもすごくウマイ◎六本木とほぼ同じ。
玉子:カステラのよう。六本木のほうがややコクがあったかも。


以上、、お席にセットしてあったお品書きの通りいただきました。

穴子が終わった時点で、最初の説明してくださったお弟子さんが
「あとは玉子で終わりですが、追加とかございますか」
と聞いてくださいます。
巻物頼もうかなあ・・・・とも思ったんですが、
結構お腹一杯だったし、心地よい余韻で終了したかったのやめました。

「もうお腹一杯になりました、ありがとうございます」
「はい、では、ただいま果物をご用意しますので少しお待ちください」

しばらくお茶を飲んで待っていると、
後ろからお弟子さんがやってきて
「お客様、後ろのほうに果物ご用意しましたのでどうぞ」と。
見るとはじめに二郎さんが座っていたテーブルに
マスクメロンとおしぼりとお茶がセットされている。
「おお~これがうわさの・・・・」と思いつつ移動し、
まずは一息。
そして時計を見ると入店してから47分・・・・
結構粘れましたね

後はゆっくりと高級メロンをいただきながら、
ツケ場の様子をやや遠巻きに眺めていました。

そのころには、
2回目という2人組と常連の3人組がいて、
二郎さんはじめスタッフ一人一人がてきぱきと動いています。

2回目というカップルは、
「初めてのときは緊張して頭真っ白だったんです。
 2回目は大丈夫かと思ったら、やっぱりすごい緊張してます。」
とか、何回も緊張するって言ってましたが、
私、終始緊張なく、
かえって思ったより居心地いいな~って感じてました。
テーブルに移ってからはもうホントに
この小劇場で行われる伝統芸能をずーっとこの客席から見ていたい
って言う気分でした。

そうこうしているうちにメロンもなくなり、
まあ仕方ない帰るか・・・と席を立ちました。
もう一度カウンターのほうに近づき、二郎さんにご挨拶。
二郎さんも言葉をかけてくださり、
お支払いをして店を出ました。

時計を見ると、ちょうど入店から1時間・・・・。
結構粘りましたね


肝心のお鮨ですが、
形やシャリの味はほぼ六本木と変わりません。
米の炊き方が本店のほうがやや粘り気が強く、
その分はらっとほぐれる感じは弱い気がしました。

次郎のシャリは酢が強いってよく言われてるんですけど
私にとってはちょうどよいバランスでした。
六本木のところでも書きましたが・・・。

たぶん、酢が強いって言ってる人たちは
塩気が強いシャリが好みなんでしょうね。
コレばかりは好みなのでしょうがない。
私は塩が強いとあとで舌に残ってしまうので
塩があまり気にならないことと、酢が強いってことが
ニアリーイコール(≒)ならば、
そちらのほうがバランスがよいと感じてしまうのかもしれません。

ネタに対する仕事は本店のほうが丁寧だなと思いました。
温度とか下処理とか提供の仕方とか。
当たり前って言えばそうなんですけど、
その当たり前のことを、当たり前にさりげなくできていることには
どれだけの細やかさが含まれているのかと
今回の東京旅でさらに学んだので、
最後にコチラのお店でそれを再認識できて
なんだか胸が一杯になりました。

総じて言うと、シャリもネタもお鮨自体も
「!」というインパクトや
「ん~!」とうなりたくなるシビレ感があるわけではありません。

ただ、先にも書いたように、
当たり前のことがよどみなく淡々と行われていること、
それがいかに細やかな気遣いの上に成り立っているかということ、
二郎さんを中心に
その受け継がれていくべきものが日々営まれているということ、
その空気の心地よさに、
ただただ敬服するばかりです。

帰りは銀座の中央通をぼーっと歩いて新橋まで。
たぶん私の周りの空気だけ
色とか温度が違ったのではないでしょうか・・・っていうくらい、
ぼわーんとしてました。

ほんとうにこの機会に恵まれたことに感謝しています。
非常によい思い出になりました。


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