Ma Vie Quotidienne

一歳に二度も来ぬ春なればいとなく今日は花をこそ見れ

読書の秋 1984年  ジョージ・オーウェル著

2009-10-31 21:54:46 | Book


村上春樹の「1Q84」の土台となったのがこの「1984年」。
1Q84にも負けないくらい読むのが大変でした

究極の独裁制のなかで
表向きはその社会になじんでいる風を装いながら
心の中では自由な思想を持っている主人公が
偶然なのかはたまた必然なのか
同じ考え方をもつ女性と恋に落ちます。
自由な思想をすること自体も罪であるし、
恋愛をすることも罪であるその社会で
二人はいつか自由を取り戻せるのではないかという
はかない思いを持ちますが、
やはり逮捕されてしまい、ひどい拷問を受けて
思考の再教育を受けることになります。

はじめはどんな拷問を受けようとも
「自分」を貫こうとしていた主人公。
「そうだ、がんばれ」とわたしも応援していましたが
人間の精神の限界について考えさせられる結末で
物語は終わりました。

主人公が相当な精神力で「自分」を保とうとしている様と
それを洗脳しようとして加えられる、
死ぬか死なないかぎりぎりの肉体的精神的ダメージの描写が
生々しかったなあ・・・。

著者がこの物語を書いたバックグラウンドには
ナチスとか冷戦時代のソ連とか政治的思想があるようですが
私はもっと身近な自分の職場の問題とか
最近報道されている冤罪とか自白強要とかを思いながら
この本を読みました。
「お前は間違っている。謝れ。言うとおりにしろ。」
とネチネチと苦痛を与えられる光景です。

自分は自分の信念を曲げてまで謝ったりはしないと
普段思っています。
でもこの本を読んで、
人間の精神には限界があるかもしれない・・・
誰か味方がいるとわかっているのとそうでないのでは
その精神の限界も変わるだろうな・・・
などと考えてしまいました。

この本は解説も大変勉強になりましたよ。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。