東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 借地上の建物を取壊し有料駐車場にしたが、契約解除を認めなかった事例

2008年11月05日 | 借地の諸問題

 判例紹介

 借地上の建物を取壊してアスファルト舗装をし有料駐車場にしたが、契約解除が認められなかった事例 東京高裁平成2年4月26日判決、判例時報1351号)


 (事案)
 借地人は、木造建物所有の目的で借地していたところ、昭和61年に借地上の建物を取壊してアスファルト敷きにして、「月極駐車場」の看板を出し、9台分の駐車場として使用していた。

 地主は、借地を他人に使わせるので無断転貸であり、また建物所有のために貸したのに駐車場に使用するのは借地の使用目的に違反している、 と主張して契約の解除をした。

 第一審裁判所の千葉地方裁判所木更津支部は、地主の主張を認めたが、本判決である第二審の東京高等裁判所は、借地人勝訴の逆転判決をした。


 (判決の要旨)
 借地人が本件土地を有料駐車場として使用していることは、本件土地の無断転貸にあたるし、本件賃貸借契約で定められた用法にも違反する。

 しかし、次の理由から、本件賃貸借関係は、未だ解除を相当とするほど信頼関係が破壊されたものとはいえないので、解除は許されない。

 借地人は、本件土地上の建物を以前貸家として使用していたが、1年以上借手がつかず、空家のままであった。庭には雑草がはびこり、浮浪者が入り込んだりして火災の発生する危険もあったので、建物がかなり老朽化していることも考慮して、とりあえず本件土地を駐車場として使用する目的で建物を取壊して整地及び舗装をしたことが認められる。

 舗装はアスファルトによる簡易なもので、建物敷地への復元は容易であり、駐車場といっても他に何等の設備ないし施設はなく、駐車料金は月額5000円程度であるから、借地人の利益は本件土地賃料と大差がないこと、借地人は、昭和63年中に「月極駐車場」の看板を撤去したことが認められる。

 借地人が借地上の建物を取壊したのはそれなりの合理的な理由に基づいており、有料駐車場としての利用は、利用者の利用関係の解消は困難ではなく、暫定的かつ小規模なものであって、その原状への復元も容易である。


 (短評)
 借地を駐車場にして他人に貸すケースがある。地主がこれを承知していても、契約更新のときなどに駐車場使用を理由に解除を迫ってくることも珍しくない。

 判断の微妙な違いにより、本判決と一審の地方裁判所の結論が分かれている。

(1990.09.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 賃貸借の予約は契約締結の申込があった時は有効とされた事例

2008年11月04日 | 契約・更新・特約

 判例紹介

 賃貸契約の締結の申込があったときは、信義則上これを拒むことが出来ないとされ、賃貸借の予約が認められた事例 東京地裁昭和63年5月17日判決、判例時報1300号77頁)

 (事案)
 Xは、かつて(1)(2)の土地を所有していたが、このうち(1)の土地については、将来その奥にあるX所有の建物の改築手続に必要なときにはXに賃貸するという約款をつけてYに売却した。

 また、(2)の土地については、Xの兄である亡A(Yの父)がXに無断で他に売却し、その転得者Bからその所有権移転登記手続を迫られたため、 その隣にある前記X所有建物を改築するときはXに無償で貸す旨の約定で登記手続に応じ、その後Yは同土地をBから買受けた。

 Xは右事実関係を前提として、Yに対して(1)(2)の土地について賃貸借契約の申込をしたとして、その存在確認を求めた事件である。

 YはXの主張に対し、(1)の土地についての約款はX所有建物の建築確認に必要な限度で賃貸し、建物の完了検査後は原状に復帰するという建築基準法の脱法目的のものであると主張した。また、(2)の土地に関するXとB間の約定はYを拘束するものではないと争った。判決はXの勝訴。


 (判決)
 「法律行為の解釈として条件を含めて契約はできる得る限り有効になるように解釈すべきであることからすれば、右約款は、Xが将来本件アパートの改築又は立替をするときは、Yは、Xに対し、本件(1)の土地と、改築し又は建替えた建物の存続する期間中、建築基準法所定の通路を目的として賃貸する趣旨のもの、つまり右のような内容の賃貸借の予約を定めたものと読んで不都合とはいえないであろうし、・・・・本件(1)の土地が右売買以後庭ないし空地になっている事実からXとYの意見を忖度すると、そのように読んで売買及び右賃貸借の予約を有効なものとするのが妥当な解釈である」、そして「信義則上、XがYに対して本件(2)の土地を建築基準法所定の通路を目的として本件土地(1)の土地賃貸借と同じ条件で賃貸することを申込んだときは、YはXに対し、その承諾を拒むことができないと解すべきである。」

 (寸評)
 本件判決は、前記約款がYの主張の通り強行法規である建築基準法43条1項に反する趣旨のものであるとすれば、不法条件を付したことになって売買自体が無効となってしまう筋合いであるとしつつ、前記約款の解釈を判旨のとおりに解釈したところに本判決の特色がある。

 理論構成に異論や反対が予測されるが、本事業に対する結論としては妥当ではないかと思われる。親族間、隣地同士の本件同様の紛争に関して参考になろう。

(1990.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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敷金0、礼金0 ゼロゼロ物件、意外な明暗 家賃滞納で即違約金、条件確認して (産経)

2008年11月03日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 賃貸住宅で敷金ゼロ、礼金ゼロの「ゼロゼロ物件」が若者などに人気の半面、家賃滞納や退出時などの対応に苦情も増えており、裁判にも発展した。貸す側にすれば万一の際の担保がないわけで、厳しくせざるを得ない事情がある。借りる側は、入居時の手軽さだけに目を奪われず、家賃滞納時などの厳しい条件についても、契約時にしっかり認識しておきたい。

 会社員の男性(29)は、初期費用の安さに魅力を感じて東京都府中市内の家賃4万6000円のゼロゼロ物件に昨年1月に入居した。しかし収入が安定せず、翌月になって不動産会社に家賃が遅れることを電話連絡すると、「施設再利用料」などの名目で約2万円を支払わされた。支払い遅れが14回続いたため、施設再利用料や違約金などの支払いは計26万9150円に上った。この間、連絡なしに鍵を交換されたり、就寝中に不動産会社従業員が室内に入ってきて家賃を督促されたりした。

 引っ越しを考えたが費用がなく、今年6月にようやく寮がある仕事が見つかって転居した。

 男性は先月、慰謝料などの支払いを求め、この不動産会社(本社・東京都新宿区)を提訴した。弁護団によると、同社の契約は「施設付鍵利用契約」で、賃貸権はなく居住権もない。このため、少しでも家賃が遅れると違約金が発生したり、鍵を交換して入室が禁止されたりした。

 こうした契約について同社は「係争中で取材には応じられない」とするが、弁護団の弁護士は「家賃を2、3日滞納しただけでは追い出すことはできないのに、入居者が法に無知なことにつけ込んでいる」と指摘する。

                   ◇

 一方、不動産会社や大家にとって家賃の滞納は死活問題。ゼロゼロ物件を扱う別の不動産業者は「滞納は1カ月分だけでも影響が大きい。放っておくと3カ月、4カ月と重なる。督促や回収には人手も必要で負担がかかる」と話す。

 さらに「賃貸物件の大家には固定資産税がかかるし、物件を建築したローンを抱える人もいる。これらは家賃を滞納されても払わなければならず、下手すると破産しかねない。借り手保護の意識が強まっているが、大家の立場も理解してほしい」と打ち明ける。

 大家や地主の相談に乗っているNPO法人「日本地主家主協会」は「滞納はゼロゼロ物件でなくても常にある問題」としたうえでこう説明する。「それぞれ事情は異なるが、滞納は大家にとって一番の心配事項だ。自宅敷地内にアパートを建てるなど、零細的な立場の大家が多い。家賃を生活資金に考えている人もおり、滞納は痛手になる」

 ただ、ゼロゼロ物件は扱わない不動産業者は「入居の間口を広げる余り、滞納が予想される経済状態の人まで安易に入居させれば、滞納が増えるのは当たり前だ」と批判する。

                   ◇

 7月に実施された「ゼロゼロ物件被害110番」には65件の相談があった。国民生活センターにも「退去時に修繕費30万円を請求された」「入居時に保証金35万円を払わされた」などの苦情が目立っており、同センターは「別名目の支払いが契約書に明記された場合があるので、よく読んでから契約を」と呼びかける。

 NPO法人「日本住宅性能検査協会」の大谷昭二理事長は「最後までゼロということはあり得ず、落とし穴が必ずあると見るべきだ」という。そして「高校などで物件を借りるときの注意点などを説明する消費者教育をしっかりと実践して、消費者としての意識を覚醒する必要がある」と話している。

 産経新聞 2008年11月3日

 

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