東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

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家賃保証(連帯保証人)サービスが拡大しているが (東京・台東)

2007年03月06日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 アパート・マンション等を借りる際に、殆どの場合、少なくとも1名の連帯保証人を付けるよう要求される。社会生活の中で人付合いが稀薄になってきたため、近所の人や知人などに何かものを頼むということがしづらい情況になっている。ましてや保証人になって貰うのは尚更頼みづらい。

  特に、独身者や高齢者は連帯保証人を付けることが困難である。保証人で困っている人が飛びつきたくなるサービスが拡大している。それは家賃保証(保証人)サービスである。保証会社が借主から保証料を受取り、親族等に代わり、連帯保証人を引き受けるサービスである。

 内容を日本賃貸保証株式会社の「JIDトリオ50」を例に見てみる。保証の対象は主に住居、店舗・事務所である。窓口業務は代理店委託契約を結んだ全国7000社の不動産業者が行っている。保証料は2年契約で月額家賃(管理費を含み5万円以上の場合)の50%(5万円以下は一律25000円)、以後2年毎に家賃の30%となっている。中途解約の場合でも保証料は返還しない。

 保証会社が行う業務内容(借主への説明)‥‥(A)
①「賃貸保証システムは、保証料を支払うことで、従来の保証人に代わり保証会社がお客様の保証人となり、保証人がいない方でもスムーズに入居いただくことができます。」
②「賃貸保証システムJIDトリオは、賃料の保険ではありません。賃貸住宅にすんでいる限り、賃料は支払わなくてはならないものです。万一、お客様の賃料のお支払が遅れた時など、支払コンサルティグにより正常な状態にもどし(家賃の回収)、……」と日本賃貸保証株式会社のホームページで説明している。

 保証会社が行う業務内容は(貸主への説明)‥‥(B)
「賃貸保証システムJIDトリオは弊社が契約に基づき、賃借人の債務を賃貸人に保証するものです。」と日本賃貸保証株式会社のホームページで謳われている。
①家主に代わって家賃の集金から送金までを代行する。
②借主に家賃不払があった場合、最大24ヶ月分まで家主に対して家賃を保証をする。
③更新時の更新料徴収を家主に代わって代行する。
④借主が夜逃げ・行方不明の場合は、物件の明渡履行、室内の残留物撤去・保管を保証会社の費用負担で代行する。
⑤家賃遅滞・不払の借主に対する法的措置及び建物明渡の法的手続と明渡作業を保証会社の費用負担で代行する。

 以上、内容を見る限り、これは家主が保証会社に保証料を支払って業務委託して行う内容である。だが、家主はこれに関して保証会社に一銭も金銭を支払はない。総て借主の費用負担で行われる。家主や不動産業者にとっては大変好都合なシステムになっている。悪質な例としては、契約時に親族を連帯保証人に付けても不動産業者が難癖を付けて親族の連帯保証人を拒否し、不動産業者の指定する「保証人サービス」を用いることを強要する。その保証人サービスを用いないと賃貸借契約を結ばないというケースも出現している。 

 保証会社は、家賃保証サービスを謳っているが、借主が家賃を滞納した場合、家主に対しては家賃を確かに保証する(B)-②。だが一方で立替払いした家賃は法的措置を採ってでも借主から強制的に回収する(B)-⑤。保証料を支払っているにも拘らず、借主に対しては何らの家賃保証をしない(A)-②。それどころか、保証会社から強制立退きを迫られる(B)-⑤。家賃保証(保証人)サービスを使用する場合、家賃の滞納があれば、自分で自分の首を締める結果になるのでくれぐれも注意したい。

 賃貸住宅を借りる際に連帯保証人を付けるよう要求されるということが日本では常識のように思われている。しかし、世界の常識は連帯保証人或は保証人がいなくても住宅は借りられるということである。日本の賃貸住宅市場の特異性が保証人サービスを蔓延させている。

         連帯保証人の責任義務に関する最高裁の判例はこちら

 

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【Q&A】 店舗での原状回復特約の成立を認めない大阪高裁判決(2006年5月23日)

2007年03月03日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 (問) 営業用借家(店舗・事務所等)に関しては、通常損耗を借主の負担とする原状回復特約の成立を認め、借主に修復費用を負担させる判例が多い。そんな情況の中、店舗で通常損耗を含む原状回復特約は認められないという注目すべき判決が大阪高裁であったというが、どんな内容の裁判だったのか。


 (答) 大阪高裁2006年5月23日判決の店舗の敷金返還請求裁判で、先の最高裁(2005年12月16日)判決厳しい認定基準を適応し、原審の京都地裁判決が覆され、借主全面勝訴の判決があった。

 裁判が提起された原因は、店舗の賃貸借契約が終了したので、貸主に預託していた敷金140万円の返還を請求した。ところが返還された金額は39万9286円だけであった。約定の償却費42万円と未払光熱費2万2114円が敷金から差引かれることはやむを得ない。だが、残金の55万8600円は当然返還されるべきものであるとして借主は京都簡裁へ敷金返還請求訴訟を提起した。

 その後、裁判は京都地裁へ移送されて審理された。貸主は裁判で、契約書には通常損耗を含む原状回復特約があり、約定の償却費44万1000円(消費税を加算している)、未払光熱費、既払返還金、及び原状回復費53万7600円を差引くと返還すべき敷金残額は一銭も無いと主張し争った。

 京都地裁は通常損耗を含む原状回復特約の成立を認め、借主の請求を棄却する判決を下した。

 借主は判決を不服として大阪高裁へ控訴した。裁判は主に原状回復義務の成否を中心に争われた。
 大阪高裁は、通常損耗を含む原状回復特約の成立の成否を最高裁(2005年12月16日)の認定基準を適用し、次のように判断した。「本件賃貸借契約において、通常損耗分についても控訴人(借主)が原状回復義務を負う旨の特約があることを認めることはできない」として原状回復特約は成立していないと認定した。

  また裁判で貸主は営業用物件においては通常損耗を含む原状回復費用を賃料に含めて徴収することは不可能であると主張した。
 それに対し、大阪高裁は「営業用物件であるからといって、通常損耗に係る投下資本の減価の回収、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行うことが不可能である」とは言えないとして貸主の主張する通常損耗を含む原状回復費の借主への全額負担を認めなかった。

 結論として、大阪高裁は貸主に対し、55万8600円(借主の請求していた全額を認めた)及びこれに対する平成16年2月14日から支払い済みまで年率6%の遅延損害金を支払えと判決した。

 

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