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【判例紹介】 盗難被害は賃貸人に賠償責任なしとした事例

2007年03月15日 | 借家の諸問題

 判例紹介

 ピッキング盗難の被害を賃貸人は賠償する責任はないとされた事例 (東京地裁平成14年8月26日判決、判例タイムズ1119号)

 (事案)
 X(宝石・貴金属商)は平成5年、Y(不動産賃貸業)から8階建ビルの内7階を事務所として賃料月約33万円で賃借した。

 Xは平成12年2月、右事務所に保管していた現金と宝石類、合計110万円相当を盗まれた。Xはそれを理由として同年5月、右事務所を明渡した。

 そこでXは、本件ビルやその近隣ではピッキング被害が頻発していたのであるから、Yは、右被害を告知して防犯の注意を喚起する義務及びピッキング被害に遭いにくい鍵に交換するとかの被害防止策を講ずる義務があったのにこれを怠り何らの措置も講じなかった、よって、Yには債務不履行があり、Xの右被害を賠償すべきである、と主張した。

 (判旨)
 (1)そもそも、賃貸借において、賃貸人の負うべき本来的義務は、賃貸物件を使用、収益させる義務、賃貸物件の使用収益に必要な修繕を行う義務の外、担保責任及び費用償還義務であって、Xの主張するような賃貸人所有財産を盗難等から保護することを内容とする管理義務は賃貸借契約から当然に導かれるものではなく、特約や信義則上の付随義務として認められる余地のあるものと解するのが相当である。そして、賃貸人がこのような管理義務を負う場合にどの程度の義務を負うのかは、ここの賃貸借契約の事情に応じて判断されるべきである。

 これを本件賃貸借契約についてみてみるに、
①本件全証拠を検討するも、XとYが貸室の防犯について特段の合意をしたとは認められないこと、
②本件賃貸借契約においては、「地震、火災、水害等の災害、盗難その他甲の責めに帰することのできない事由によって乙のもうむった損害に対しては、甲はその責めを負わないものとする」(第11条)とされ、盗難による損害はYの免責の対象とされていること、
③本件事務所入口の扉はダブルロックであり、一応の防犯効果が期待できたこと
 等の事情に鑑みれば、YはXに対し、既存の鍵の維持管理すること以上に盗難被害を防ぐべき義務は負っていないと解するのが相当である。

 (2)また、
①Yは、近隣で窃盗事件が多発していることを認識し、順次その賃貸ビルに機械警備を導入している最中であったこと、
②Yは本件盗難以前には、本件ビルにおける窃盗被害がピッキングの被害によるものであったか否かを知らず、特にピッキングの被害について警察からの指導、報告もなかったこと、
③XがYに対して鍵の交換を求めたことはなっかたことからすれば、
 Xの主張するような、YがXに対し、ピッキング被害防止策を講じ、あるいは窃盗被害を報告すべき義務を負っていたということはできず、Yに債務不履行責任は認められない。

 寸評)
 賃借人を盗難から保護することは賃貸人の付随的義務とすることには異論があるかもしれない。本件は、賃貸人の管理義務を考えるに当って参考になる。

(2005.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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