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【判例紹介】 再開発目的で買った借家の明渡請求に正当事由が無いとされた事例

2007年03月07日 | 建物明渡(借家)・立退料

 判例紹介

 再開発目的で土地建物を買った不動産業者の借家人に対する明渡請求に正当事由がないとされた事例 東京地裁昭和62年6月16日判決、判例時報1269号)

 (事案)
 係争の建物は、靖国通りに面する神田神保町3丁目にある宅地約15坪の鉄筋コンクリート5階建の1階(昭和41年建築)。借家人はこれを昭和52年に賃料月12万円で賃借しラーメン店(蔵王らーめん)を経営、2年毎に更新していた。従業員16名、売上1日平均約30万円、チェーン店全体の売上の内40%を占める。

 昭和58年3月家主がこれを住友不動産(原告)に売却、同社は附近の土地約380坪を買収してビル計画を立てた。2階以上は立退いたが、この借家人のみが拒否。原告は代替店舗を紹介したり、8000万円の立退料を提供し、裁判でも同様の金額を正当事由を補強するものとして提示した。しかし、原告(住友不動産)敗訴。

 (判決)
 (1)不動産会社である原告は、本社ビル敷地を含む一区画を買収して同地上に高層の賃貸用ビルを建設する計画をたて同計画遂行の一環として本件ビル敷地を買収し、賃借人である被告に対しその明渡を求めるに至ったものであって、その明渡を求める理由ないし必要は、本件建物を自ら使用することでもなければ本件ビルが老朽化したために建替えることでももなく、もっぱら都内部における宅地の有効利用という見地からの再開発をするためであるということができ、しかも右にいう再開発は、国又は公共団体等による具体的な市街地整備計画等に基づく公共事業ではなく、その建設計画自体もいつごろビルの建設に着工することができるのか不確定な情況にあるといわざるをえない。

 (2)一方、被告(賃借人)は昭和52年以来本件建物において中華料理店を経営し、昭和60年頃では10数名の従業員を雇用して一日平均30万円前後の売上を得ていたものであって、本件建物を引続き使用する必要のあったことが認められる。

 (3)そうすると、右(2)のような賃借人(被告)との関係において、右(1)の再開発目的は、本件賃貸借の解約申入れの正当事由には到底なりえないものと解するのが相当であり、したがって原告が被告に対し代替店舗(移転先)を紹介し、かつ、相当額の立退料の支払を提示したとしても、これによって賃貸借の解約申入れの正当事由が補強され正当事由が具備されるに至るものと認めることはできないといわなければならない。

 (感想)
 札束でほっぺたをひっぱたく「地上げ」攻勢に苦しめられてきた借家人、借地人にとっては胸のすく判決。「正当事由」とは本来こうでなければならない。それが借地・借家法の理念であったはず。すぐ「立退料」にとびつく裁判官に煎じて飲ましてあげたい。

 

(1988.12)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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