東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 借地上の建物が火災で全焼したが借地権は大丈夫か。借地権を守る手段

2009年02月02日 | 借地権

(問) 知人の話によると「借地の上に建物が無い状態だと借地権は消滅する」とのことで、大変心配しています。また、建物がない状態で、地主が土地の所有権を誰かに売却すると、その買主から借地人は追出されるとも聴きましたが本当でしょうか。
 借地権を守る手段があったら教えてください。


(答)  建物が火災で消失しても、地震で崩壊しても、建替えのために取壊しても、原因は何であれ、建物が無くなることを「滅失」といいます。

 借地借家法第10条1項に「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。」と規定しています。このため、登記した建物がない場合は、原則として第三者に対抗できません。

 しかし、同条2項には「前項の場合(*)において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。」と規定しています。

 このため、借地上の建物が火災で焼失(滅失)した場合に借地権を守るためには、滅失した日から2年以内に新たに建物を建てて登記すればいいのです。

 

東京借地借家人新聞より

 


 

(*)滅失前に借地上の建物が登記済みであることが必須条件である。
 滅失した「建物を特定するために必要な事項」とは、建物登記簿の表題部にある所在、家屋番号、種類、構造、床面積等のことである。
 掲示物に記載するのは前記の登記事項であるから、建物が登記されていなかった場合は、掲示物を設置しても、条文上からも第三者に借地権の対抗力を維持することは出来ない。

 「掲示が一旦なされた後に撤去された場合には、その後にその土地について借地権の負担のない所有権を取得した第三者に対しては、借地権を対抗することができなくなる。第三者に対して借地権の対抗力を主張するためには、掲示を一旦施したというだけでは不十分であり、その第三者が権利を取得する当時にも掲示が存在する必要がある。」(東京地裁平成12年4月14日判決、金融商事判例1107号)
 
掲示の保全につき、注意を喚起させる事例である。

 

東京・台東借地借家人組合

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