東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 借地権はどのようにすれば売れるのか

2012年09月26日 | 借地権

(問) 18坪の土地を賃借していた一人暮らしの80歳の母が亡くなりました。子供は2人ですが、2人とも他に家を所有し、実家に住む予定はありません。現在、地代は供託中で建物も30年以上経っていて、これからの管理も難しい状況で、できたら借地権を処分して、金銭に換えて弟と分けたいと考えています。
 借地権を譲渡することができると聞いていますが、どのような方法があるのか教えてもらえませんか。


(答) 借地権を譲渡することは可能です。借地権はその土地の借地権割合(借地権価格と地主の持っている権利である底地権価格の割合、例えば6対4)による価格で第三者に譲渡できます。

 借地権を譲渡する場合は地主の承諾を受けます(民法612条)。地主の承諾が得られない場合や承諾料の額が合意できない時には、地主の承諾に代わる裁判所の許可を受ける方法(借地非訟手続)があります(借地借家法19条)。借地権を譲渡する場合は買主を特定した上で裁判所の譲渡許可承諾を受けます。その場合の裁判所の許可条件は承諾料として概ね借地権価格の10%で認められています。

 現状では借地権の買主を見つけるのは難しく、知り合いがいれば別ですが、借地権の譲渡は困難がともないます。

 借地権の譲渡以外では、次の方法があります。

①地主から底地を買い取りを所有権にしてから第三者に売却する。
②借地権と底地権を等価交換し、取得した土地を第三者に売却する。

①の場合は、借地権ではなく所有権なので買主が見つかる可能性は高い。
②の場合は、土地を分割するので、狭小な土地では難しいですが、分割後の土地が利用可能な広さがあればよい方法です。交換なので金銭の動きがなく地主側にも税制上の利点があります。

①②の場合も地主との取引は、前述の借地権割合に沿って行うのが原則で、取引内容について地主との合意ができないと成立しません。組合や顧問の弁護士さんと相談して慎重に事に当たることが大切です。

 

東京借地借家人新聞より

 


 

 借地権割合は国税庁の「路線価図・評価倍率表」で調べられる。路線価は1㎡当たりで表示されている。借地権割合は路線価に続いてA~Gで区分され、A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%と評価されている。

 東京23区の場合A~D評価で、C評価の場合が多い。Cの場合は借地権が70%で、底地権が30%とい割合になる。

 例えば、路線価が700Cと表示されていれば、1㎡=70万円で1坪当たり231万円になる。路線価は公示価格の80%に想定されている。従って、1坪当たりの推定公示価格は231万円÷0.8=288万7500円(①)。1坪当たりの借地権価格は①×70%(借地権割合)=202万1250円(②)、1坪当たりの底地価格は①×30%(底地権割合)=86万6250円(③)と評価できる。

 30坪の借地であれば、底地価格は③×30坪=2,598万7500円であり、地主から底地を買う場合の交渉のベースになる。借地権を売る場合は②×30坪=6,063万7500円がベースになる。

 なお、借地借家法19条による裁判所の譲渡許可の決定は、原則として6か月以内に譲渡を完了しないと失効する(借地借家法51条)。

 

東京・台東借地借家人組合

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