(問) 地主が経営するスーパーが経営不振で閉店した。その後、土地の売買契約書のコピーを持って、地主から土地を買ったという人間が現れた。来月から自分の方に地代を支払うようにと言って来た。
土地の登記簿謄本で調べると、土地の所有者は元の地主のままである。新所有者名義の所有権移転登記はされていない。
土地所有者を名乗るが、土地の移転登記をしていない者への対応を、問題の起きない地代の支払いをどうしたらいいのか、教えてください。
(答) 賃 貸不動産が譲渡された場合、その譲受人は、どのような要件を具備したら賃借人に賃料を請求できるのか。民法 177 条(不動産に関する物件の変動は、不動産登記法に定められた登記がなされて初めて第三者に対抗することができる)は不動産の物件変動を登記によって公示す るという考え方を採用し、登記は対抗要件であるとしている。
判例は賃貸不動産の譲受人は所有権移転登記をしない限り賃借人に対して所有権の取得、賃貸人たる地位の承継を主張することが出来ない。賃借人は民法177条の第三者に該当し、譲受人の移転登記がない場合には賃料請求をすることが出来ない(最高裁1974年3月 19日判決)。
これは所有権移転の事実を確実にして、賃借人の二重払いの危険を回避するために登記を保護要件としている。これによって賃借人の保護をしている。即ち、「登記簿上の所有名義人は反証のない限り当該不動産を所有するものと推定される」(最高裁1959年1月8日判決)。登記されていない物件の変動は無視しうるという形で取引の安全が保障され、取引の迅速化が促進される。
借地人の取りうる態度として第1の方法は登記簿を調べて登記上の権利者に支払うということになる。即ち、譲受人が移転登記を完了していれば新所有者に支払う。移転登記がなされていなければ、元地主に支払えば、債権の準占有者(民法 478 条)へ有効な弁済をしたことになる。
尚、前記1974年最高裁の判例では、新所有者が賃借人の明渡を要求する場合にも、登記を具備する必要があるとしている。
例えば、地上げ屋が地主との底地売買を証明する書面を見せて地主から土地を買ったと主張しても、登記簿等謄本を調べたら所有権の移転登記が完了していない 場合(或いは所有権移転登記が完了していない期間)は、借地人に明渡請求を強要したり、地代の受取り・地代の大幅値上げ請求などは当然できない。
第2の方法は、民法494条供託原因による「債権者の確知不能」として供託する。今回のように債権譲渡の通知を受けたが、借地人が賃料の支払の相手が誰なのか断定出来ない場合、「債権者が確知できない」との供託事由により供託することが出来る。
東京・台東借地借家人組合
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