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判例紹介
期間の定めのある賃貸借契約において、中途解約した場合の違約金条項が賃借人に著しく不利益であるとして、公序良俗違反を理由に一部無効とされた事例 (東京地裁平成8年8月22日判決、判例タイムズ933号)
(事案)
期間4年の賃貸借契約をした借家人が10か月後に契約を解約した。「期間満了前に解約する場合は、解約予告日の翌日より期間満了までの賃料相当額を違約金として支払う」旨の特約条項があった。家主は、右特約に基づき、3年2か月分の賃料相当額である6321万円余の違約金を請求した。
(判決要旨)
「建物賃貸借契約において1年以上20年(注)以内の期間と定め、期間途中での賃借人からの解約を禁止、期間途中又は解除があった場合には、違約金を支払う旨の約定自体は有効である。しかし、違約金の金額が高額になると、賃借人からの解約が事実上不可能になり経済的に弱い立場にあることが多い賃借人に著しい不利益を与えるとともに、賃借人が早期に次の賃借人を確保した場合には事実上賃料の二重取りに近い結果になるから、諸般の事情を考慮した上で、公序良俗に反して無効と評価される部分もある。
本件で請求されている違約金は、被告会社が本件建物の6階部分を解約したことにより、実際に6階部分を明渡した日から契約期間満了日まで3年2カ月分の賃料及び共益費相当額である。被告会社が本件建物の6階部分を解約したのは、賃料の支払を継続することが困難であったからである。原告は、契約期間内に解約された場合には、次の賃借人を確保するには相当期間を要すると主張しているが、被告会社が明渡した本件建物について、次の賃借人を確保するまでの要した期間は、実際には数カ月程度であり1年以上の期間を要したことはない。以上の事実によると、約3年2カ月分の賃料及び共益費相当額の違約金が請求可能な約定は、賃借人である被告会社に著しく不利であリ、賃借人の解約の自由を極端に制約することになるから、その効力を全面的に認めることはできず、1年分の賃料及び共益費相当額の限度で有効であり、その余の部分は公序良俗に反して無効である。」
(説明)
賃貸契約書では、賃借期間中の賃料は月額132万円から311万円の増額が予め定められていた。賃料が払えないから解約しているのに借家人から契約期間全部の賃料を違約金名目で取り上げることは借家人に著しく不利であり、家主はその間第三者に賃貸して賃料を得ることができる。賃料の二重取りを許す本件特約は不公正で無効と判断した。
テナントビルの入居率が下がっている状況の中で一度入居した借家人からとことん儲けようとする特約に歯止めをかけた判決である。
(1997.07.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
(注)2000年法律153号により、定期借家制度の導入に併せて、借地借家法第29条に第2項が加えられた。即ち、「民法第604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない」。これにより賃貸借の最長期間を20年に制限する民法604条は、建物の賃貸借には適用されないことになったので、期間が20年を超す借家契約も認められることになった。2001(平成12)年3月1日から実施されている。
東京・台東借地借家人組合
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