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【判例紹介】 家賃減額を請求した場合に裁判確定前の家賃額は従前と同額とした事例

2006年02月16日 | 家賃の減額(増額)

 判例紹介

 建物賃借人が賃料減額請求をした場合借地借家法32条3項が定める「賃貸人が相当と認める額」の賃料支払請求権は、賃料減額の意思表示が到達した時点で当然に発生しその額は特段の事情がない限り従前の賃料額と同額であるとされた事例  (東京地裁平成10年5月29日判決。判例タイムズ997号221頁)

(事案の概要)
 賃貸人Xは、賃借人Yから賃料減額請求を受けたが、右減額請求後Yが減額後の賃料の支払いを継続したため、Yに対し従前の賃料額との差額賃料の支払いを求め本件訴えを提起した。これに対しYは、Xの請求は借地借家法32条3項に定める賃貸人からの相当賃料の支払請求であるが、Xは本件訴訟に至るまで相当賃料の支払を求める意思表示をしていないから支払義務はないとして争った。

(判決)
 本判決は「賃料の減額に係る借地借家法32条の趣旨は、賃料の減額請求がされた場合においては、減額の意思表示の到達時において賃料は適正額に当然に減額されたことになるが、右適正額への減額を正当とする裁判が確定するまでの間は賃貸人も右適正額を正確に知ることは困難であるから、裁判確定までの間は賃借人には『賃貸人が相当と認める額』の賃料支払義務があることとし、裁判確定後は既払額と適正額の差額のみならず年一割の割合による受領の時からの利息をも賃貸人が賃借人に返還しなければならないこととして、当事者間の均衡を図ったもの」とした上で「減額を正当とする裁判が確定するまでの『賃貸人が相当と認める額』の賃料支払請求権は、賃料増額請求がされた場合においては賃借人は格別の意思表示を要することなくその相当と認める額を支払えば足りるとされていることとの均衡を考慮すれば賃貸人の請求等の意思表示により発生する形成権ではなく、賃料減額の意思表示の到達時に当然に発生する権利であるとするのが相当である。また、右の『賃貸人が相当と認める額』は賃貸人が支払を求める具体的な額を賃借人に通知するとか、賃貸人が減額請求後において従前賃料に満たない額を格別の異議を述べないまま長期間受領し続けるなどの特段の事情のない限り、従前の賃料額と同額であると推定することが相当である」旨判示し、本件ではXがYの減額請求後直ちにこれを拒絶する回答をしているので右特段の事情はないとして、Xの請求を認容した。

(寸評)
 賃料減額請求をした場合、従前の賃料額を支払うか減額後の賃料額を支払うかが常に問題となるが、家主に前者の請求権があることを認めたものである。本判決によれば、借家人が後者を選択した場合には賃料不払いで契約が解除される事態も発生する。減額請求後も賃料減額の判決があるまでは従前の賃料額を支払うのが無難である

(1999.08.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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