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【判例紹介】 借地上の建物が火災による消失で滅失した場合の掲示と借地権の対抗力

2006年02月03日 | 借地の諸問題

  判例紹介

  借地上の建物滅失後の掲示と借地権対抗力 東京地裁平成12年4月14日判決、金融商事判例1107号)

 (事案の概要)
 借地人の建物は、平成10年12月30日、火事で燃えてしまった。借地人は、平成11年3月18日、借地借家法10条2項による掲示(消失建物及び建物建築予定等の必要事項)をしたが、何者かによってその掲示が取り外された。そこで、同年3月25日、26日にも同様の掲示をしたが、これらも取り外されていた。本件土地は、その間に売却されて、平成11年4月23日、被告に買われて所有権移転登記がなされてしまった。借地人は、被告に対して、借地権の確認を求める訴訟を提起したが、被告は、本件土地を買い受けた当時、本件土地上には建物がなく、建物が存在していたことを示す掲示もなかったので、借地権を対抗することができないと、争った。

  (判決要旨)
  「法10条2項の規定は、建物が滅失して借地上に存在しなくなっても、滅失した建物の残影があれば、それからその土地上には土地利用権が設定されているとの推測が働き、建物登記簿も調べて借地権の存在を知ることができるとの考えから設けられたものである。すなわち、無効となった登記に一定の条件の下に余後効を認めるとともに、もはや建物が存在しない現地と建物登記を結び付ける方法として掲示を要求し、それに滅失建物を特定する事項を記載すべきものとした。法10条2項は、掲示上の表示と滅失した建物登記とが一体となって暫定的に借地権の対抗力を維持しえるものとした。

 借地上の建物の滅失により、掲示がなされるまで一時的にその借地権の対抗力は消滅するのであり、建物滅失後この掲示をするまでの間にその借地について第三者が権利を取得した場合には、その後に掲示を行っても借地権を対抗することはできない。また、法10条2項の定める掲示は滅失した建物の残影に他ならないから、掲示が一旦なされた後に撤去された場合には、その後にその土地について借地権の負担のない所有権を取得した第三者に対しては、借地権を対抗することができなくなる。第三者に対して借地権の対抗力を主張するためには、掲示を一旦施したというだけでは不十分であり、その第三者が権利を取得する当時にも掲示が存在する必要がある。

  (説明)
 借地権を第三者に対抗するには(認めさせるには)、建物が借地人名義で登記されていること、建物が存在することが必要。建物が火事、建替で滅失したときは、「滅失建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示」すれば、この掲示が建物の身代わりとなる。この掲示は新建物が建築されて登記されるまでの間継続させないといけない。掲示の保全につき、注意を喚起させる事例である。

(2001.11.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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