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保証会社の保証委託契約書で
消費者機構日本に申入れ
賃貸借契約を結ぶ際に、頼める保証人がいない、また親族でも保証人を頼みにくいという借主が多い。そんな借主の弱みに付け込んで行なっている事業が「家賃保証(保証人)サービス」だ。借主と家主が賃貸借契約を結ぶと同時に、保証会社は借主と賃貸保証委託契約、家主とは賃貸保証契約を締結する。
これによって、保証会社は借主が家賃を滞納しても保証会社が貸主に滞納家賃を立替払いをし、夜逃げをした借主の荷物の処分費用も負担する。
問題なのは、保証委託契約書の中身で、保証会社大手の日本セーフティ株式会社の契約書には、
家賃を滞納すると「保証物件内に立入り、鍵・カードの交換、入口の暗証番号変更、施錠等の処置を行なうことに乙(借主)は承諾し異議・損害の請求を申立てない」、
「賃貸人からの本賃貸借契約解除を承諾する行為を委託するものとする。乙が本賃貸借契約に違反し、2ヶ月以上全部あるいは一部の家賃滞納をした場合、または本条第2項(更新保証料を支払わない場合)に違反した場合において、甲(保証会社)は賃貸人からの本賃貸借契約解除の承諾を行なうことを乙は承諾し、異議・損害の請求を申し立てない」という借主には一方的に不利な内容となっている。
①「家賃を一ヶ月滞納しただけで貸室の退去を求められた」、
②「滞納家賃を支払っても明渡しを請求された」、
③「家賃の滞納で転居したら親に対し保証会社が家賃の激しい取り立てを行なっている」、
④「4日以内に滞納家賃を支払わないと貸室を封鎖すると予告通知が来た」
等の相談が組合に寄せられている。
東借連では、こうした悪質な保証委託契約書が消費者契約法に違反し、今後社会的問題なることが予想されるため、1月に消費者機構日本に団体訴訟の差し止め請求の検討を要請した。
今後、保証委託契約の被害の実態を調査し、保証契約と原契約の資料を集める活動をすすめていくことが重要である。
東京借地借家人新聞より
東京・台東借地借家人組合
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判例紹介
賃貸人が、賃借人の賃料不払いを理由に建物賃貸借契約を解除した後に、建物の鍵を交換した事案について、違法な自力救済として不法行為が成立するとしたものの、賃借人に損害が生じたとはいえないとして、賃借人の損害賠償請求が棄却された事例 (東京地裁平成16年6月2日判決 棄却 確定 判例時報1899号128頁)
1 事案の概要
室内装飾品類の販売等を営む法人Xは、平成10年10月、賃貸人Yとの間で建物賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結し、本件建物を事務所兼倉庫として使用していた。また、Yの承諾を得て、X代表者の夫で実質的経営者Aが代表取締役を務める関連会社Bの事務所としても使用していた。
しかし、Xは、資金繰りが悪化し、平成11 年3月分及び4月分の賃料支払いを遅滞した上、Aが同年4月、刑事事件で逮捕勾留されたため、業務の遂行が困難となり、同年5月分以降の賃料を一切支払わず、その支払いの目処も立たない状況に陥った。
そこでYは、平成11年6月1日、Xに対して、同月4日までに未払賃料等合計298万円余の支払いがされない場合には、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をするとともに、その場合には本件建物の鍵を交換する旨通知したが、Xからの入金がないまま同月4 日が経過した。Yは、本件賃貸借契約が解除されたとの前提のもとに、同月8日、本件建物に赴き、たまたま居合わせたBの従業員の立会いのもと、本件建物の鍵の交換(以下「本件鍵交換」という。)を行った。
そこでXは、Yが本件鍵交換をした行為は違法な自力救済であり、これによって本件建物を使用できず、その業務を遂行できなくなったとし、債務不履行又は不法行為に基づき合計3,110万円余の損害賠償を求め提訴した。
2 判決の要旨
裁判所は、次のように判示して、Xの請求を棄却した。
(1) 本件鍵交換の違法性の有無
本件賃貸借契約は、契約解除通知及び平成11年6月4日の経過によって、Xの債務不履行(賃料等不払)を理由とする解除により終了したものと認められる。
Xは、本件鍵交換当時、本件賃貸借契約に基づく使用収益権限を失い、Yに対し、賃貸借契約終了に伴う目的物返還債務を負うに至ったものと認められる。しかしながら、Xが本件建物に対する占有権を有していたことは論を俟たないところ、本件鍵交換は、Yにおいて、Xの実質的経営者Aが身柄拘束中であり、本件建物明渡しの要否について判断することが困難な状況にあることを了解した上でなされたものである。
本件契約解除通知において予告はされていたものの、本件建物内の動産類の持ち出しの機会を与えることなく、たまたま居合わせたXの関連会社の従業員を立ち会わせて行われたものであり、X代表者がこれを事前事後において、承諾ないし容認したものとは認められないことからすると、本件鍵交換は未払賃料債務等の履行を促すために行われた、Xの占有権を侵害する自力救済に当るものと認めるのが相当である。
そして、自力救済は原則として法の禁止するところである。ただ、法律に定める手続きによったのでは、権利に対する違法な侵害に対して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合において、その必要の限度を越えない範囲内でのみ例外的に許されるに過ぎない(最高裁昭和40 年12月7日判決 民集19巻9号2101頁)。本件は、このような場合に当たるとは認められず、本件鍵交換は違法な自力救済に当たり、不法行為が成立するものと認められる。
(2) 本件鍵交換による損害の発生の有無
Xは、本件鍵交換によって、本件建物内に立ち入ることが困難となり、業務を遂行することが困難となったことが認められるが、他方、Xの資金繰りは悪化し、本件鍵交換当時は、本件賃貸借契約に基づく賃料等債務を2カ月分以上怠っていたこと、Aが詐欺容疑で身柄を拘束され、Xの業務を遂行することが困難な状況にあり、また、逮捕されたことが新聞報道されたことにより、Xは、企業として社会的・経済的信用を失墜したものと推認されることからすると、本件鍵交換当時において、Xが、逸失利益等の請求の前提となる正常な業務を遂行していたものと認めるのは困難である。
したがって、Xの占有権を侵害する不法行為に該当する本件鍵交換によって、逸失利益相当の損害が発生したとするXの主張は採用できない。
(3) 未返還保証金債務の有無及びその額如何
本件賃貸借契約においては、契約締結時に、賃借人であるXが、賃貸人であるYに対し、保証金700万円のうち250万円を償却金として支払うものとされているが、償却期間は定められておらず、契約締結時に保証金の一部である250万円を償却するとの特約が定められているというべきであって、未払い賃料等債務の控除前の金額としての保証金返還請求権は、250万円を除いた450万円に限られるというべきである。
しかしながら、本件賃貸借契約は解除により終了したものと認められるところ、Xには、未払賃料等債務や、本件建物の原状回復義務の費用として、その金額は450万円を上回る470万円余が認められ、Xの請求する保証金返還請求権は相殺によって消滅したか控除によって発生しなかったものと認めるのが相当である。
3 寸評
判決では、本件賃貸借契約は、Xの賃料等の不払いを理由として解除されたものと認められた。また、Yの行為に伴うXの損害賠償請求については、本件鍵交換当時、Xにおいて逸失利益の前提となる正常な事業を遂行していたとは認められないとして棄却された。
他方、本件鍵交換行為については、一般的基準を示している最高裁昭和40 年12月7日判決を引用し、Yの鍵交換行為はXの占有権を侵害する違法な自力救済に当たり、不法行為が成立すると判断した。
(参考)
建物賃貸借契約書に自力救済条項があっても、建物内に侵入したり鍵を取り替える行為が違法であるとされた事例 (札幌地裁平成11年12月24日判決)
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アパート・マンション等を借りる際に、殆どの場合、少なくとも1名の連帯保証人を付けるよう要求される。社会生活の中で人付合いが稀薄になってきたため、近所の人や知人などに何かものを頼むということがしづらい情況になっている。ましてや保証人になって貰うのは尚更頼みづらい。
特に、独身者や高齢者は連帯保証人を付けることが困難である。保証人で困っている人が飛びつきたくなるサービスが拡大している。それは家賃保証(保証人)サービスである。保証会社が借主から保証料を受取り、親族等に代わり、連帯保証人を引き受けるサービスである。
内容を日本賃貸保証株式会社の「JIDトリオ50」を例に見てみる。保証の対象は主に住居、店舗・事務所である。窓口業務は代理店委託契約を結んだ全国7000社の不動産業者が行っている。保証料は2年契約で月額家賃(管理費を含み5万円以上の場合)の50%(5万円以下は一律25000円)、以後2年毎に家賃の30%となっている。中途解約の場合でも保証料は返還しない。
保証会社が行う業務内容(借主への説明)‥‥(A)
①「賃貸保証システムは、保証料を支払うことで、従来の保証人に代わり保証会社がお客様の保証人となり、保証人がいない方でもスムーズに入居いただくことができます。」
②「賃貸保証システムJIDトリオは、賃料の保険ではありません。賃貸住宅にすんでいる限り、賃料は支払わなくてはならないものです。万一、お客様の賃料のお支払が遅れた時など、支払コンサルティグにより正常な状態にもどし(家賃の回収)、……」と日本賃貸保証株式会社のホームページで説明している。
保証会社が行う業務内容は(貸主への説明)‥‥(B)
「賃貸保証システムJIDトリオは弊社が契約に基づき、賃借人の債務を賃貸人に保証するものです。」と日本賃貸保証株式会社のホームページで謳われている。
①家主に代わって家賃の集金から送金までを代行する。
②借主に家賃不払があった場合、最大24ヶ月分まで家主に対して家賃を保証をする。
③更新時の更新料徴収を家主に代わって代行する。
④借主が夜逃げ・行方不明の場合は、物件の明渡履行、室内の残留物撤去・保管を保証会社の費用負担で代行する。
⑤家賃遅滞・不払の借主に対する法的措置及び建物明渡の法的手続と明渡作業を保証会社の費用負担で代行する。
以上、内容を見る限り、これは家主が保証会社に保証料を支払って業務委託して行う内容である。だが、家主はこれに関して保証会社に一銭も金銭を支払はない。総て借主の費用負担で行われる。家主や不動産業者にとっては大変好都合なシステムになっている。悪質な例としては、契約時に親族を連帯保証人に付けても不動産業者が難癖を付けて親族の連帯保証人を拒否し、不動産業者の指定する「保証人サービス」を用いることを強要する。その保証人サービスを用いないと賃貸借契約を結ばないというケースも出現している。
保証会社は、家賃保証サービスを謳っているが、借主が家賃を滞納した場合、家主に対しては家賃を確かに保証する(B)-②。だが一方で立替払いした家賃は法的措置を採ってでも借主から強制的に回収する(B)-⑤。保証料を支払っているにも拘らず、借主に対しては何らの家賃保証をしない(A)-②。それどころか、保証会社から強制立退きを迫られる(B)-⑤。家賃保証(保証人)サービスを使用する場合、家賃の滞納があれば、自分で自分の首を締める結果になるのでくれぐれも注意したい。
賃貸住宅を借りる際に連帯保証人を付けるよう要求されるということが日本では常識のように思われている。しかし、世界の常識は連帯保証人或は保証人がいなくても住宅は借りられるということである。日本の賃貸住宅市場の特異性が保証人サービスを蔓延させている。
連帯保証人の責任義務に関する最高裁の判例はこちら
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賃貸住宅契約の難題
「 保証人」お金で解決 2007年2月27日読売新聞
賃貸のマンションやアパートを借りる際、連帯保証人が不要になるサービスが広がっている。保証会社が借り手から一定額を受け取り、貸主に家賃滞納時の支払いを保証するもので、「家賃保証サービス」と呼ばれる。両親が高齢の独身者や高齢者など、連帯保証人を見つけにくい人にとって便利だ。サービスを始める保証会社も増えている。
対象会社 事前確認を
家賃保証の最大手、リプラス(東京)が手がけるサービス「レントゴー」は、入居者が契約時に、管理費や共益費などを含めた月額賃料の50%を保証料として支払う。2年目以降の保証料は1年ごとに1万円。
日本賃貸保証(東京)の「JIDトリオ」は、契約時に月額賃料(管理費など含む)の30%、2年ごとの更新時にも30%を支払う。貸主が家賃の徴収を同社に委託するサービスを選んだ場合などには、契約時の保証料が月額賃料(同)の50%となる。
信販大手のオリエントコーポレーション(東京)の「住まいるパートナー」は、クレジットカードのオリコカードへ加入する必要がある。月額賃料(管理費など含む)の1・8%程度を月々支払うほか、カードの年会費も1312円(初年度は無料)かかる。
総合金融サービスのSBIホールディングスの子会社、SBIギャランティ(東京)も、2006年9月からサービスを始めた。月額賃料(管理費など含む)が20万円未満なら、賃料に関係ない定額制となるのが売りだ。保証料は契約時、更新時には必要なく、賃料が20万円未満の場合、1年ごとに1万円。これとは別に毎月525円かかる。一方、月額賃料(同)が20万円以上なら年間の保証料が2万円、30万円以上で3万円と賃料に比例して増える。
リクルートの子会社、リクルートフォレントインシュア(東京)も06年12月から、信販大手のUFJニコスと共同でサービスを始めた。入居時に月額賃料(管理費など含む)の50%を払い込む。以後、2年ごとに1万円が必要になる。
06年に新規参入した2社は現在、営業エリアが首都圏の1都3県に限られているが、今後、全国規模に拡大していく予定だ。
一方、家賃保証サービスは、保証会社ごとに利用できる不動産会社が限られている。各社のホームページなどで利用可能な不動産会社を調べてから、部屋探しを行う必要がある。また、中小も含めた多くの会社が扱うが、入居後にトラブルが起きないよう、信頼できる会社かどうか事前に確認するよう努めたい。
家賃保証サービス
保証会社が、親族らの代わりに連帯保証人を引き受けるサービス。連帯保証人を見つけにくい高齢者や、両親が定年退職して依頼しづらい独身者らが増えており、ニーズが年々、拡大している。貸主や不動産会社にとっても、家賃滞納などのトラブルを防げるメリットがあり、家賃保証サービスを利用する人には、敷金など入居時の費用を減らす物件も出ている。
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