保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人
自主的に組織された借地借家人のための組合です。
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池袋に14坪の借地をしている佐藤さんの土地は、バブルの頃から土地転がしにあって、地主が入れ替わり変わってきました。最後に土地を取得したH会社が、債務が払いきれず、競売になると昨年の秋に、裁判所から通知が来ました。
ところが今年に入り、競売をやめて新しくN会社が地主になったという通知を受けました。佐藤さんは組合のアドバイスにもとづいて、法務局にいって土地の登記簿を取り寄せたところたしかに新しい会社に登記が移っていることを確認しました。
その後、新地主の代理人という弁護士から「1ヵ月分の賃料相当額は、1平方メートルあたり1000円はする」という、現行賃料の4倍に相当する値上げを通告してきました。
組合と相談し、現行賃料は、「土地の価格、公租公課、又、近隣の相場からして妥当なものである」という通知をして、地代の値上げには応じられないので現行どおり振込むことにしました。
佐藤さんは「弁護士さんから内容証明の通知書をもらって、その通りにしなければいけないと考えていました。しかし、こんな大幅な値上げにはとても応じられないのでどうしようかと眠れませんでした。やっと落ち着くことが出来ました」と話していました。
東京借地借家人新聞より
東京・台東借地借家人組合
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判例紹介
借地人の地代減額請求が、借地上の建物の家賃を元に適正継続地代を算定すべきものとして棄却された事例 (東京高裁平成14年10月22日判決、判例時報1800号3頁)
(事案の概要)
Xは、横浜市中心部に店舗・共同住宅・事務所ビルを所有する借地人であり、Yは、その敷地の所有者である。XはYに対し、平成6年に定められた月額金176万7000円の地代額につき、公租公課の減額及び土地価格の下落を理由として、平成12年5月以降月額金113万1000円に減額請求した。
(裁判)
1審の横浜地方裁判所は、不動産鑑定結果に基づき、月額金135万6000円へ減額するとの判決を言い渡した。これに対し、Yは東京高裁に控訴を申し立てた。
東京高裁は、「土地の市場価格や公租公課の額が減少したというだけでは、直ちに減額されるべきでなく、地上建物の賃料をもとに土地残余法などによって算出される地代の額が従前の地代の額を下回る場合に、上記の算出される額を参考として減額することを検討すべきである。」とした。
そして、本件では、「賃借人がその所有の地上建物の賃料収入などを把握しながら、賃貸人の要請あるいは裁判所の勧告を無視して、これを明らかにせず、それらの資料が提供されれば、土地残余法による地代を算定すれば、現行の地代が適正水準であるかどうかが明確になるはずである。もし、その額が現行賃料を大きく上回ることがあるならば、一挙にその額に増額することは相当でないこともあるから、継続性を考慮して相当額の範囲にとどめたり、あるいは、これまでに地代以外に授受された金額を考慮して、調整することもあろうが、まず上記の適正額の算定をするのが先決ではないかと勧めた。ところが、Xは、このような開示を拒み、適正な地代額の計算の道を閉ざしたのである。Xは、自己の収受する建物賃料を開示しないのであって、これが下落したとの事実を認めることもできない。したがって、当裁判所としては、上記減額意思表示の時点でも、適正な地代の額は、現在の地代の額を下回っておらず、かえって上回っている可能性も残されていて、これを否定することはできないものと認定判断する。よって、Xの減額請求はすべて棄却すべきものである。」と判示した。
(短評)
東京高裁は、地代減額請求について、地上建物の賃料収受額をもとに、土地残余法(土地の収益還元価格を算定する上で必要な土地の適正な地代の額を算出する方法・国土庁平成6年9月26日「新手法による土地残余法」)及び東京高裁の3判例(平成12年7月18日判決、同年9月21日判決、平成13年1月30日判決)によって地代を算定すれば、適正地代額が明確になるとしている。他方、公租公課の減額、地価の下落は賃料減額の根拠にならないとしており、実務上参考になる。
(2003.02.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
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判例紹介
供託中の従前の金額を減額して供託したとしても、それだけで契約解除の事由にはならないとされた事例 (東京地裁民事49部平成13年6月15日判決 未掲載)
(事案)
YはXより借地しているが、昭和54年9月分以降の地代の改定をめぐってXと争いが生じ、以来、供託を継続している。
当初月額3947円を、昭和55年3月から平成10年6月分までは、4680円を、同年7月分から平成11年4月分までは1万920円をそれぞれ供託していた。
ところが、Yは平成11年5月分からこれを7800円に減額し、平成12年4月20日に9万3600円(7800円の12ヵ月分)を供託した。
Xは平成12年5月25日到達の内容証明郵便によりYに対し、平成11年5月分から12年4月分までの賃料につき従前の供託額1万920円と7800円の差額及び同年5月分1万920円を同月末日までに支払うよう催告し、これを支払わなかったときは、賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたが、Yは指定された日までに支払わなかった。
そこでXは賃料不払いを理由に契約を解除し建物収去土地明渡しを求めた事案。X敗訴。
(判旨)
「確かに前継続中にYが相当賃料を1万920円であると主張し、実際にも同金額で供託したところ、Xも前訴における弁論において同金額が相当賃料であることを争わなかったことが認められるものの、前訴はそもそも賃料額を確定するための裁判ではなく、本件賃貸借契約の存続期間の満了に基く土地明渡請求であることは前判示のとおりであるから、その口頭弁論における訴訟上の主張において一部争いのない部分があったとしても、それが本件賃貸借契約における賃料額に関する合意を変更するという実体法上の意思表示としての性質を有するものではない」。
「借地法12条2項所定の相当賃料とは、客観的にみて適正な賃料を指すものではなく、賃借人が自ら相当と認める賃料をいうものと解されるから、原則として供託額が減額されたことだけをとらえて不当することはできない」
(寸評)
当然の判決である。 しかし、借地人が自ら相当とする賃料がもともと近隣地代の実勢価格より低い場合とか、公租公課を下回っている場合に一方的に供託額を減額することは、債務不履行になることもあり、注意を要する。
(2001.12.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
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地代減額の請求で値下げが認められる
豊島区南大塚に住む田中さんは、戦前から借地して住んでいた。戦後、焼け跡の中から、家を建て住み続け、今日にいたった。地主の言う通りの地代を支払っていたが、地主も代替わりし、借地人も代替わりし、地代を調べてみると税金の5倍以上になっていた。
田中さんは、組合のアドバイスも受けながら、地主に地代減額の請求をした。地主からは「減額請求する人間がいるなんて聞いたことがない」と回答された。
インターネットなどで不動産鑑定協会などのデータや税金が平成9年以降下落していることなどを調べ上げて交渉にのぞんだ。地主は田中さんの請求に押され、現行の約半分とし、税金の3倍程度にすることで合意した。
田中さんは「かつては税金の3倍程度だったが、税金が下がっているのに地代は下がっていない。減額請求している人が少ないからです。ダメでもともと組合員は請求すべきです」と語った。
東京借地借家人新聞より
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判例紹介
建物所有を目的とする土地の賃貸借契約において、賃料を減額しない旨の特約があっても、賃借人から借地借家法第11条の規定に基づく賃料減額請求権の行使が認められた事例 (最高裁平成16年6月29日判決、判例時報1868号52頁)
(事案の概要)
本件土地賃貸借契約は、「3年ごとに賃料の改定を行うものとし、改定後の賃料は従前の賃料に消費者物価指数の変動率を乗じ、公租公課の増減額を加除した額とするが、消費者物価指数が下降しても賃料を減額することはない」旨の特約が付されていた。
これまで、本件土地の賃料は、本件特約に従って3年ごとに改定されてきたが、賃借人は、「その後土地の価格が4分の1程度に下落したことなどに照らして現在の賃料額は高すぎる」と主張して、賃貸人に対して賃料の減額を請求し、減額後の賃料額の確認を求めて本件訴訟を提起した。
これに対し、原審の大阪高等裁判所は、「本件のような賃料の改定をめぐって当事者に生じがちな紛争を事前に回避するために、改定の時期、賃料額の決定方法を定めておくものであり、本件特約は、消費者物価指数という客観的な数値であって賃料に影響を与えやすい要素を決定基準とするものであるから有効である。したがって、本件特約に基づかない賃借人らの賃料減額請求の意思表示の効力を認めることはできない」として賃借人の請求を棄却した。
そこで、賃借人は、原判決を不服として、最高裁に上告受理の申立てを行った。
(判決)
最高裁は、上告受理の申立を受理し、「本件土地賃貸借契約においては、消費者物価指数が下降したとしても賃料を減額しない旨の特約が存する。しかし、借地借家法第11条1項の規定は、強行規定であって、本件特約によってその適用を排除することができないものである。したがって、賃貸借契約の当事者は、本件特約が存することにより借地借家法第11条1項の規定に基づく賃料減額請求権の行使を妨げられるものでないと解すべきものである。」と判示した。
(短評)
本件は、賃料改定特約がある場合に、特約に基づく請求ではなく(本件では「減額することはないとの定め」があるためその余地はないが)、借地借家法第11条1項の規定に基づく賃料減額請求ができるかが争われた事案であるが、特約によっても減額請求を制限することはできないとのこれまでの最高裁判例を確認したものである。
本判決は、賃料の減額をしない特約が明らかに存する場合においても、賃借人からの賃料減額請求が認められた点において事例的な意義がある。
(2004.12.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
借地借家法
(地代等増減請求権)
第11条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
(強行規定)
第16条 第10条、第13条及び第14条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。
最高裁判決は、「借地借家法第11条1項の規定は、強行規定」としているが、借地借家法16条の強行規定のなかに11条は含まれていない。しかし、旧借地法では賃料増減請求権条項は強行規定と解されて、借地借家法でも強行規定と解されている。
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坪当り2500円は近隣地代の約3倍
練馬区に住む中曽根さんが4月に組合事務所を訪問してきた。今までずと地主の言いなりに地代の値上げを認めてきた。この先このまま値上げが続いたら年金生活では住み続けることが出来ないので、何とか地代を値下げ出来ないかという相談だった。
地代が近隣相場の約3倍の坪当たり2500円ということなので値下げ請求をすることにした。地主が近所に住んでいるというので組合の名前を出さずに文書を作成し、値下げの通知書を出した。
地主は不動産会社を代理人として「大幅に値下げします。坪当2000円で了承してください」という回答をしてきた。
だが、中曽根さんは納得がいかない。「大幅な値下げというが近隣相場の約2倍である。せめて1500円位にして欲しい」というのが希望である。
そこで、今度は組合名で「本来ならば1000円位が妥当な地代であるが、1500円ということであれば了承する」という旨の通知を出した。
程無く、地主の代理人から坪当り1500の地代で同意するという回答が来た。
中曽根さんは「組合の名前で通知したら、早速の、希望額での値下げ返事。さすが組合ですね」と感想を述べた。
東京借地借家人新聞より
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新地主から突然の高額地代請求され組合に加入
大江さんは葛飾区立石にて親の代より、50坪を借地している。契約書はなく、地主に直接地代を支払うのではなく、地主の代理人不動産業者に地代を支払っていた。約40年前に明渡しを求められ、賃料の受領を拒否されたため、やむなく供託とあいなって現在に至ったのである。
供託の賃料は長期間値上げしておらず、かなりの少額であった。突然、新地主である(所有権を取得した)という人物が現われ、地代15万円(坪当たり3000円)を支払え、又は底地を買取れと要求された。 大江さんは思い余って葛飾借地借家人組合に相談し、その場で直ぐに入会した。
あまりの高額地代の請求に当組合では土地の登記(所有権移転)を確認し、土地(固定資産税)の評価証明書により税額を算出し、適正と思われる賃料4万円(坪当たり800円)を現金書留郵便にて新地主に提供し、地主(静岡県浜松市在住)は受領した。
今後は地主の出方次第で臨機応変の対応となる。
全国借地借家人新聞より
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判例紹介
地代自動増額改定特約に基づく地代の増額が借地借家法11条1項の趣旨に照らし不相当になったとして、同特約による地主の地代増額請求が認められず、借地人による地代減額請求が認められた事例 (最高裁判所第1小法廷平成15年6月12日判決。判例時報1826号47頁)
(事案の概要)
Xは、昭和62年7月1日、Yから建物所有の目的で本件土地を賃借したが、その際、本件土地の地代について、3年後に15%増額し、その後も3年ごとに10%ずつ増額するという内容の地代自動増額改定特約を締結した。当時、本件土地を含む東京都23区内の地価は急激な上昇を続けており、以後も上昇を続けるものと考えられていた。
ところが、本件土地の1㎡当りの価格は、昭和62年7月1日が345万円で、平成3年7月1日には367万円に上昇したが、平成6年7月1日には202万円に、平成9年7月1日には126万円に下落した。他方、本件地代は、本件特約に基づき、平成3年7月1日には15%、平成6年7月1日にはさらに10%増額された。
しかし、Xは、平成9年7月1日の地代改定にあたり、本件地代を増額することなく従前の地代の支払を継続するとともに、同年12月24日には、本件地代を20%減額するようYに請求し、Yは本件特約により増額された地代の支払いを求めた。
そこで、Xは地代減額請求により減額された地代月額の確認を求め、Yは本件特約により増額された地代月額の確認を求め提訴した。原審(控訴審)は、本件特約が失効したとはいえないとして、本件特約に基づく地代の自動増額を認め、Xの地代減額請求を認めなかった。
(判決)
本判決は、「地代等自動改定特約は、その地代等改定基準が借地借家法11条1項の規定する経済事情の変動等を示す指標に基づく相当なものである場合には、その効力を認めることができる」が、「その地代等改定基準を定めるに当たって基礎となっていた事情が失われることにより、同特約によって地代等の額を定めることが借地借家法11条1項の規定の趣旨に照らして不相当なものとなった場合には、同特約の適用を争う当事者はもはや同特約に拘束されず、これを適用して地代等改定の効果を生ずることはできない。また、このような事情の下においては、当事者は、同項に基づく地代等増減請求権の行使を同特約によって妨げられるものではない」として、地価が当初の半額以下になった平成9年7月1日の時点では、本件特約は地代増額の効果を生ぜず、同年12月24日時点におけるXの地代減額請求権の行使に妨げはないとして、Xの請求を認めた。
(寸評)
地代等自動改定特約につき、借地借家法11条1項との関係に着目してその効力を論じた初めての最高裁判決であり、バブル期に締結された地代等自動増額改定特約に苦しむ借地借家人に参考になる判決である。
(2003.11.)
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葛飾区立石で借地をしているYさんは当葛飾借組の同地域の組合員の紹介で入会をした。Yさんの借地面積は約42坪、1ヶ月の地代は22万5000円で坪約5250円。
これは、近隣と比較してもかなりの高額な地代であった。そこで地代減額を書面で要求した。
しかし、地主に全く無視されたので調停を申し立てたが、1回で不調となった。 この結果に、納得できなかったYさんは組合の顧問弁護士に依頼をして本裁判に臨んだ。
Yさんは近隣の借地料を調べ資料として裁判所に提出した。数回の裁判の後、鑑定となった。
結局、鑑定額の1ヶ月相当地代15万2000円(坪3619円)という現行地代の30%の減額(1ヶ月7万円)で和解し勝利となった。 裁判費用も数ヶ月分の差額地代の返還があったのでYさんの負担は殆どなかった。
同地主と同時に裁判を闘っていた四ツ木地区のTさんの地代減額裁判も地主側の弁護士より和解の申し出があり、地代の鑑定をすることなく、こちらも地代の30%減額で勝利することができた。
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豊島区の池袋駅東口西武百貨店から歩いて2分位の駅前でお食事処を営業している大東さんは、親の代から借地していた。
バブルの前から地主の再三にわたる値上げ請求で,現在は坪当たり約8000円になってしまった。景気のよい時には何とか支払っていた地代も、この不況の中で大変きついものとなってしまった。何とかならないものかと思い民主商工会の事務所に相談した所、この問題は借地借家組合が一番適任ということで相談にきた。
組合では、いろいろ調べたところ、半分位の賃料でも高いと判断し、「地主に賃料値下げの請求と話合いに応じるよう」手紙を出した。話合いに応じた地主に裁判も辞さない決意である事を伝えた。地主は、税金の下げ幅に応じた賃料値下げ、即ち現行賃料の4割近い値下げを提案してきた。
大東さんと組合では、不十分さはあるものの裁判をせずに此処まで値下げできたので了解し、合意する事になった。大東さんは「月5万円以上、年間約70万円の値下げで、何とか商売を続けられます。組合のお陰です」と感謝の言葉を述べた。
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現行地代でも標準的な地代の1.5倍
台東区下谷の大山さんは24坪借地している。15年前に4階建てのビルを建てた。1~2階はテナント用にして、3~4階は居住にしている。
6月中旬、隣りに住む地主から地代の値上げをメモ用紙で通告された。現行の地代40.680年を一挙に53.000年に改定するというものだ。あまつさえ4月に遡っての値上げである(注1)。
余りの値上げに憤りを覚え、台東借地借家人組合へ電話し、「地代の値上げを阻止出来ないか」と相談した。 後日、組合に加入して標準的な地代を調べて貰うと1ヶ月26.400円ということであた。
組合のアドバイスを受け、値上げ阻止行動を実行した。
①先ず地主に従来の地代を持参し、地代の受領拒否を確認する。
②次に受領拒否された地代は法務局に即座に弁済供託する。
②の法定手続きをして措けば、地主が裁判に訴え、裁判所が適正地代を認定するまで、このまま従来通りに地代を支払っていればいい。そうすれば債務不履行(地代の不払)の責めを負わない。
仮に裁判が確定して支払い額に不足があれば、不足額に年10%の利息を付けて支払えば済むことである。そして、賃料増減請求権は5年で消滅時効が成立する。従って、5年以上過去へ遡って請求することは出来ない。
(注1)借地借家法11条1項の規定から値上げは過去へ遡って請求することは出来ない。
借地借家法
第11条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
東京・台東借地借家人組合
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13年前に地代の値上げを請求されたが
地代の増額請求に時効はないのか
(問) 平成2年4月地主から大幅な地代(5月分から)の値上げを要求され、以来、地代を供託している。ところが、平成13年10月、地代の再値上げを通告され、加えて、平成2年5月分からの差額地代についても請求された。地代の増額請求に時効はないのでしょうか。
(答) 増額請求権は形成権であるから貸主の増額する旨の一方的意思表示(増額の申入れ)が借主に到達した時に以後相当額に増額されたことになる(最高裁判昭36年2月24日判決)
地代家賃の増減請求権(借地借家法11条・32条)は、建物買取請求権、取消権、解除権等と同じく、請求権者が相手方に対して地代等を増減する旨の意思表示をすれば、相手方が承諾しなくても、値上げ値下げの効果が発生する権利である。
形成権は権利者の一方的な意思表示によって法律関係の変動(発生・変更・消滅)を生じさせる権利であるという。形成権は一旦権利が行使されれば法律関係の変動生じ、それ自体消滅してしまう権利である。従って、権利の行使による中断ということは有り得ない。
ところが、民法126条は、「取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する」と書かれている。学説の多数は、形成権の期間制限の規定は時効期間ではなく除斥期間を定めているものとしている。
除斥期間といのは、法律上、権利の行使や存続のために定められた一定期間をいう。権利行使期間という意味では、消滅時効期間と似ている。異なる点は、除斥期間の場合には当事者の援用を必要としない。もう1点は除斥期間には中断という制度がないことである。
従って、裁判所は、除斥期間を過ぎていれば、当事者の援用がなくても、その権利は消滅したものとして裁判が出来る。
地代・家賃の増減請求権は、条文上期間の制限がない。期間の定めのない形成権については、それぞれの権利の性質に応じた除斥期間に服するとされている。地代家賃等の賃借料は民法169条(定期給付債権の短期消滅時効)(註1)により5年で消滅時効になるので、増減請求権の除斥期間は5年となる。 即ち、貸主の値上げ請求の増加額分の請求権は5年で消滅する。
(註1) 民法169条「年またはこれより短い時期によって定めた金銭その他のもの物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。」
このように賃料増減請求権の行使に時間的な制限を加えて期間の限定を設ける。これによって、権利を有しながら長期間無為に行使しない「権利の上に眠る」貸主に、請求権行使に5年という枠を嵌め、裁判制度を使って短期に問題解決の決断を促すという点ではメリットがある。
しかし、最高裁の判例は形成権にも消滅時効は成立するとしている。形成権に関して、裁判例は期間5年を除斥期間ではなく、消滅時効期間という取扱いをしている。ここでは裁判例に従って消滅時効という見解で回答する。
月払いの地代は民法169条にいう5年の短期消滅時効にかかりかつ、地代値上げ請求にかかる増加額についても所定の弁済期から消滅時効は進行を始める(東京地裁昭和60年10月15日判決、判例時報1210号61頁以下)。
弁済期が定められた債権の消滅時効は弁済期が起算点になる(註2)。平成17年1月時点を例にすれば、賃料の支払いが後払いの毎月末日払いの場合、弁済期はその月の末日である。例えば、1月であれば、1月31日である。この場合の起算点は平成17年1月31日である。
但し、民法上の期間を算定するとき(日、週、月又は年によって期間を定めた場合)は初日を算入しない(民法140条)ということであるから、平成17年2月1日(起算日)から時効は進行する。このように請求されている地代の増額分は、毎月、毎月5年前の分が次々と時効で消滅していく。
(註2) 民法144条「時効の効力は、その起算日にさかのぼる。」、民法166条「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。」
結論、判例によれば、質問者の増額地代の差額分は平成13年10月の時点では、平成8年10月以前の分に関しては既に消滅時効が完成している。賃料債権は消滅したことになり、支払う必要はない。
なお、時効の利益を受ける者は、消滅時効が成立したと主張する必要がある(註3)。これを時効の援用という。勿論、黙っていたのでは時効の利益を受けられない。そこで、証拠に残すためにも、内容証明郵便で時効の援用をする。内容は、「増額請求権は民法169条の短期消滅時効により平成8年10月以前の分に関しては既に消滅時効が完成し、賃料債権は消滅している。従って、消滅時効部分の支払請求には応じられない」という趣旨のことを書き、配達証明付きにして地主に送り届けておく。これで時効の援用と増額請求の支払拒否の通知は終了である。
(註3) 民法145条「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」
援用の時期は何時までにしなければ、援用権が無くなるということはないが、要は債権者から請求があったときに援用すればいい訳である。勿論、裁判との関係で最終期限はある。第2審の口頭弁論終結までに時効を援用しなければならない(大審院大正7年7月6日判決)。
(*)賃料増減請求権は5年で消滅時効が成立する(大阪地裁平成12年9月20日判決・東京地裁昭和60年10月15日判決・名古屋地裁昭和59年5月15日判決)と各々の地裁が判決している。
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