いまいち取り上げられることが少ない1991年のUK作品。この人の作品と言えば、以前Diggin' Iceのミックステープに収録されたWhat The Child Needsというシングル・オンリーのナンバーが比較的よく知られていますが、本作はその少し前にリリースされたLPです。What The~のイメージが強いからかUKソウルにカテゴライズされているのをたまに見かけますが、本作に関して言うならば実際の内容はもう少しポップ。ダニー・ウィルソンやアンディ・ポーラックあたりのAOR系ネオアコに、当時流行っていたアシッドジャズのエッセンスを加えたような作風になっており、全体的にとても耳あたりの良い一枚に仕上がっています。何と言っても最大の特徴はその歌声。本作収録時に彼が幾つだったかは分かりませんが、このジャケット写真からはちょっと想像が付かない少年のような美声が気持ち良いです。当時シングルでもリリースされていたのは、A-1のChains Of LoveとA-2のCalm The Rage。どちらもミディアム~アップの非常に爽やかなポップナンバーで、休日の朝に聴くのにぴったりな名曲です。どこかスタイル・カウンシルやジャズ・デフェクターズあたりを思わせるB-1のLive Foreverや、こちらもシングルカットされたバラードナンバーのA-3、One More Dollarあたりもなかなかの完成度。ヒップホップ系から流れてきたようなUKソウルファンの求める音とは少し違うと思いますが、スタカンやレスポンド・レーベルの諸作が好みの方には最適な一枚かと思います。ちなみに1991年という比較的新しめのリリースながらCD/LP双方でリリースされているため、アナログ派の人は安心してLPを購入しましょう。ポップスおたく向けの作品としてはかなりのクォリティを持った作品です。お勧め盤。
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