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At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Pumpkin Pradise / Super Pumpkin

2013-03-20 | Japanese AOR
知っている人は知っている1978年にリリースされたシティポップスの名盤。数あるこの手の音楽の中でもマリン~オーシャン度がかなり高い一枚で、この手のジャンルに「真夏の海」のイメージを求める人にとってはぴったりな作品になっています。70年代後半という微妙な時期のリリースから、全体的にまだJ-AORというよりはシティポップスと呼んだ方が適切なサウンドメイクになっていますが、それでもその演奏の洗練度はかなりのもの。同時代の他ミュージシャン作品と比べても頭一つ抜けた存在と言えるでしょう。A-1の「フレッシュ・レモネード」から南国風味たっぷりなシティポップスを存分に聴かせてくれます。個人的にはやや南国度が高すぎるような気がしますが、こうした雰囲気が好きな人もきっと多いはず。そして続くA-2の「ハーバー・ライト」が本作最大のハイライト。静かに始まるイントロから一転、メロウなエレピとサックス、そして軽快なカッティングギターとビートに心躍る非常に爽快かつグルーヴィーなナンバーとなっています。偶然か否かは分かりませんが、同じ年にリリースされたオハイオのファンクバンドSunによるDance (Do What You Wanna Do) と良く似た雰囲気のライトファンクで、あの曲同様まさに「オマエもこの気持ちよさにやられちまいな」状態。国産のシティポップスでここまでグルーヴィーな曲は稀有だと思います。あのころSunを聴いて盛り上がっていた人なら間違いなく気に入るはず。また、個人的に気に入っているのはB-2の「風の中に」。派手さはないものの、「夏の木陰」系のしっとりとしたシティポップスでメロウなエレピの音色がたまりません。このアルバムを形容するときによく使われる「ハワイ風」というキーワードは個人的に正直あまりピンときませんが、それでも海を感じるシティポップスとしては最適な一枚。アナログはそこそこレアなので気軽にお勧め出来るというわけでもありませんが、気になった人はぜひ探してみてください。もしかしたら最近のJ-AORブームに乗じてそのうちリイシューされるかもしれませんが、今のところは残念ながら未CD化です。

Summertime Love Song / The Milky Way

2013-03-18 | Japanese AOR
昨年タワーレコード限定で再発され一部で話題になったLP。後に芳野藤丸らと共にAB'sを結成する松下まこと(松下誠)と、その彼がネム音楽院(現在のヤマハ音楽院)在学時にピアノを師事していた信田まことのデュオによる1979年の作品です。例のLight Mellow和モノ669誌上で「職人による知られざる奇跡の名盤」として大きくフィーチャーされている3作のうちの一つで、おそらく最近の和モノ系リスナーの間でも比較的評価が高い作品でしょう。共にスタジオミュージシャン気質の2人なのでヴォーカルについてはご愛嬌ですが、まるで夏の避暑地を思わせる洗練された演奏とアレンジが素晴らしく、巷で人気が高いのも頷ける一枚。いわゆるJ-AORというよりは純粋に良質な和製ポップス系作品なので、たとえばピチカートファイブの1st(=Couples)あたりが好きならドンピシャでハマるのではないでしょうか。収録曲には洋楽の日本語カバーと自身らのオリジナル曲の両方がありますが、全体的にアレンジの傾向はリゾート風味で統一されているので、おそらく特に違和感なく聴けるはず。夏の木陰でひっそりと聴くのには最適な一枚です。突出したナンバーこそないものの、逆に聴いていて嫌な感じを受ける曲もないので、スピーカーから何気なく流れていても気にならない空気のような作品。カフェなんかのBGMにしても良さそうですね。どの曲も均一に良い雰囲気ですが、あえて一曲を挙げるなら個人的に気に入っているのはB-3の「ひとりぼっちの渚」。信田かずおのペンによるソフト&メロウな跳ね系ポップスで、収録曲中でも特に初期ピチカート度が高い一曲です。ちなみに本作、実は発売から4年後の1983年には再プレス盤が出ており、僕が持っているのもその再プレス盤。ガイド本での扱いからつい誤解してしまいがちですが、この再発まで含めると実はそれほど極端なレア盤というわけでもありません。CDでも再発された今となっては、正直それほど血眼になって探すような作品ではないと思いますが、もしもどこかで見つけた際には是非聴いてみてください。

BGM / 藤丸バンド

2013-02-16 | Japanese AOR
SHOGUN結成前夜の芳野藤丸が77年にバンドを組んでリリースした作品。10年ほど前に一度VividからCDでリイシューされていますが、昨年行われた藤丸関連作の再発ラッシュからは漏れており、さらにオリジナルのLPもそれほど頻繁に見かけるものでもないので、CD/LPともに今では若干入手困難な一枚になっています。ただ、今の耳で聴くならば本作こそが藤丸作品の本命盤。時代的なこともあり、80年代以降のいかにもJ-AORと言ったクリスタルな雰囲気はまだ感じられず、全体的にいわゆるソフト&メロウな仕上がりになっていますが、フリーソウル~カフェブームを通過したリスナーにとってはそこが逆にお洒落に感じられるはず。なんとなく同時代のコンテンポラリー・ハワイアンに近い質感です。この翌年リリースされたOne Line Band名義での作品は実際にハワイで録音されていますが、ハワイっぽさで言うならばこの作品の方が上かと。特にB面の曲については全英語詞ということもあり、カラパナ風のソフトなボサノバで聴かせるB-3のDon't Ever Say Good-bye To The Sun、そしてサンセット・メロウ・フローターなB-1のCan't We Start It All Over Again辺りは完全にハワイの音です。さらに昇天するかのようなファルセット・ボイスが心地よいB-4のI Know It's Gonna Lastは、ライトメロウなミディアムアップでフロア向けのナンバー。最近は昔少し齧っていたDJの真似事もさっぱり休業状態ですが、もし自分が今フロアでかけるならこの曲を選ぶと思います。また、A面の曲はB面とは異なり全て日本語詞による曲ですが、A-2の「雑踏の中で」やA-4の「雨の昼下がり」を始めとし、こちらもライトメロウな佳曲がずらり。アルバム通して非常にクォリティが高い一枚です。一般にJ-AORの名盤と名高いSHOGUNやAB'sの作品を聴いてもいまいちピンと来なかった若いリスナーでも、おそらく本作については問題なく受け入れ可能なはず。最近のJ-AORの再発状況を見る限り、なんとなく近いうちにこれも再発されそうな気がしますが、その前に聴きたいという方は是非レコード屋に足を向けてみてください。オークションなどではそれなりの値段が付いているので、おそらく街のレコード屋で見つける方が良いかと思います。

Joy / 山下 達郎

2013-02-15 | Japanese AOR
ファンの間では名盤として非常に名高い1989年リリースのライブアルバム。彼の作品の中でも安定して人気が高い部類の作品なので、CDでは誰でも手軽に入手可能な一枚です。ただ、当時限定でリリースされていた3枚組アナログ盤の入手となると話はまるで別。ファンの数から考えるとそれほど極端に少ないプレス数ではないと思うのですが、それでも需要に供給が追いついていないようで現在では完全にプレミア化しています。僕自身は2年ほど前にニアミント状態の盤を1万円で買いましたが、店によっては3万円以上の値段が付けられていることもあり、正直普通の方には少し手が出しづらい作品かと。収録時間の関係上、曲順はやや異なりますが内容自体は同じなので、極端なこだわりがある方以外は素直にCDで聴きましょう。閑話休題。いきなり下世話な話になってしまいましたが、内容としては正に極上の一言。この手のライブ録音作品としては、ダニー・ハサウェイのLiveにも匹敵する完成度を誇る超名盤です。おまけに一晩のコンサートをそのまま収録するのではなく、81~89年に行われたライブの中から選りすぐりの演奏をピックアップした形式となっているため、いわゆる捨て曲が一つもなく、とにかく全編にわたって異常なまでにハイクォリティ。正直、日本人のライブアルバムでこれ以上の完成度を誇る作品は存在しないと思います。そんな名曲だらけの本作の中で個人的にフェイバリットなのはA-5の「プラスティック・ラブ」。86年に中野サンプラザで行われたライブからの収録で、ちょうどこの時期産休で休んでいた竹内まりやに以前提供した曲のセルフカバーです。これが「自分の奥さんに提供した曲をちょっとお遊びでカバーした」というレベルではなく完全に本気モード。竹内まりやが歌う原曲を軽く凌ぐライトファンクに仕上げています。こういうカバーはスタジオ録音作品にはないライブならではの試みで面白いですね。デルフォニックスのカバーとなるB-3のLa La Means I Love Youも同じ理由で好きです。A-2のSparkleやE-1のLet's Dance Babyを始めとしたお馴染みの楽曲群の完成度の高さは言うまでもありませんが、たまにはこうしたライブ盤のみに収録されている曲に耳を傾けてみるのも面白いと思います。

Merry Christmas from Tatsuro Yamashita / 山下 達郎

2013-02-02 | Japanese AOR
年に4回出される山下達郎さんのファンクラブ会報誌のうち、毎年クリスマス・シーズンに届くものには、一般リリースのないファンクラブ限定のCDが付録として付いてくるのは、熱心なファンの中では有名な話。以前はクリスマスにちなんだ曲のカバーが収録されていましたが、ここ最近は一般未発売のライブ音源が収録されるのが定番化してきているようですね。知っている人には今さら過ぎる話ですが、達郎さんはメディアでの露出が少ない分、ライブ活動に非常に力を入れている方なので、そのライブ音源の片鱗がこうして定期的にCDで聴けるというのは非常に喜ばしい話です。今回紹介するのはそんなファンクラブ限定CDの中でもとりわけスペシャルな一枚。2003年の付録で収録曲はなんとあのマーヴィン・ゲイの特大クラシックWhat's Goin' Onのカバーです。なんでもファンクラブ10周年記念として小ぢんまりと開催されたライブで披露された演奏とのことで、普段とは異なりギター&ピアノ&ベースの3ピース+ドラムマシンを使用したアコースティック・ライブながら、その演奏は非常に素晴らしい内容となっています。特に長年の盟友である難波弘之さんによるジャジーなピアノ演奏が全編通して絶品。達郎さんのヴォーカル・ワークももちろん素晴らしいですが、この曲は難波さんの都会的なピアノに酔い痴れるのが正解でしょう。元曲が元曲だけに、スタジオでもライブでもカバーは山ほど存在しますが、そんな中でもこのバージョンはダニー・ハサウェイの名カバーに匹敵する内容。達郎さんはライブで過去の洋楽カバーをすることが少なくないようで、幾つかは音源化されていますが、個人的にはこれが一番良いと思います。元々がファンクラブ限定CDということもあり若干手に入りにくいのが難点ですが、僕自身は2年ほど前にNHK FMで放送された「今日は一日山下達郎三昧」で最初に聴いてからすぐ探し始め、数ヶ月で手にすることが出来ました。同じタイミングで他の年のCDも目ぼしい内容のものは全てゲット出来たので、しっかり探せばわりと労せず手に入れることが可能かと思います。ちなみにこの盤以外では、2008年の付録である「モーニング・シャイン」も同じメンバーによる演奏でなかなかに良い感じ。音源の特性上、あまり広く一般には紹介されていませんが、このファンクラブ限定CDシリーズはどれも魅力的な作品なので、興味がある方は是非探してみてください。

Moonlight Island / 桑名 晴子

2013-02-01 | Japanese AOR
マッキー・フェアリーと共演した78年のデビュー・アルバムが、古くからジャパニーズ・フリーソウルとして知られる女性シンガーがJapan Recordsより82年にリリースした一枚。いわゆるオリジナル・アルバムではなく、全曲が70年代のシティポップスのカバーから構成された企画盤ですが、どの曲も完成度が非常に高いため、ひそかに愛聴している方も多いのではないでしょうか。ギター&コーラス&編曲を担当する芳野藤丸と松下誠を筆頭に、結成前のAB'sメンバーが全面的にバックアップしているところがミソで、いずれの曲もJ-AORのお手本とも言うべき仕上がりになっています。桑名晴子自身のヴォーカルもなかなかの本格派で好印象。とりわけ3つある英詞曲では、その素晴らしい演奏&アレンジと相まり、本場顔負けのグルーヴィーなソウルミュージックを披露してくれます。B-1のI Love Youはつのだ☆ひろのカバー。彼の名を一躍有名にしたメリージェーンのカップリング曲ですが、ここではそれをコンテンポラリー・ハワイアンに通じるスタイルで演奏しており、原曲よりグッとアーバンな雰囲気に仕上げています。続くB-2の「ムーンライト・サーファー」は石川セリの曲。原曲は日本語詞ですが、ここでは本アルバム用に新たに書き起こされた英語詞が採用されており、それがなかなかに良い感じ。この曲は藤丸が編曲を担当していますが、自身のソロアルバム曲の一つであるOne Shot Ladyと非常に似ているアレンジとなっており、なんというか微笑ましいです。そして何といってもこのアルバム最大の功績は、同じく本作オリジナルの英語詞で歌われるA-4のDown Town。オリジナルは言うまでもなくシュガーベイブですが、early 80'sの洗練された演奏と英語詞でカバーされたこの曲は、もはや完全に洋楽です。もしも何も知識がない人だったら、日本人がやっているとは絶対に気づかないはず。シュガーベイブの元曲の方がこの曲の日本語版カバーだと言われてもおそらく信じてしまうでしょう。全くと言っていいほど違和感がない仕上がりには、ただただ感服するばかり。J-AORというだけでなんとなく食わず嫌いをしている人もいるかもしれませんが、そういう人にこそ是非耳を傾けて頂きたい一曲ですね。ちなみにここでは紹介しなかった日本語詞の曲もどれも水準以上の完成度です。LP自体もさほど珍しくはありませんが、もしも探すのが面倒ならitunesにもあるので、まずはそちらからどうぞ。

Yoshino Fujimaru / 芳野 藤丸

2013-01-24 | Japanese AOR
先日Vivid Soundからも再CD化された、元SHOGUNの芳野藤丸がバンド解散後の82年にリリースした1stソロアルバム。例のLight Mellow和モノ669でも大きく取り上げられていて、この手のJ-AORとしてはわりと基本盤のうちの一枚かと思われますが、今回の再発が出るまで、LPはともかくCDの方は中古屋でもわりと高い値段がついていました。まぁ内容が良いので好事家に人気があるのは当たり前のような気がしますが、もう少し普通の人が気軽に買えれば良いのにと思っていたので、何かとJ-AOR復刻が盛り上がっている中での今回の再CD化はタイミング的にナイス。J-AOR界隈でもトップクラスの完成度を誇る一枚なので、まだ聴いたことがなく、レコードが聴けるような環境にないような方は、素直に今回のCDを買っておいた方が良いかと。。。桑名晴子とのデュエットで幕を開けるA-1のWho Are You?から得意のカッティングギターばりばりで気持ちいいです。この手の曲をやらせたら、日本人で山下達郎とこの人の右に出る人はいないのではないでしょうか。ちなみに調べてみたところ、この二人は同い年で共に今年で還暦だそうです。なんとなく藤丸の方が少し下の世代だと勝手に思っていたのでちょっと意外。続くA-3のOne Shot LadyにA-4のFree Way 5 to South辺りも、これぞ正にJ-AORと言った雰囲気の爽やかかつライトメロウな曲で素晴らしいです。フリーソウル経由でAORが好きな人が求めるサウンドって多分こういうものではないでしょうか。そして何といっても絶対の名曲なのは、全英語詞で歌われるB-1のGirl's In Love With Me。出だしの洒落たサックスと跳ねるドラムから「いかにも」と言った雰囲気の一曲で全編に渡り西海岸サウンドが爆発。これはオーシャン系のAORファンならばきっと誰もが気に入るはずだと思います。声や歌唱法は間違いなく日本人のそれですが、歌詞が英語なので海外のAORに混ぜて聴いてもそれほど違和感がないし、実際僕もこの前の夏に作ったFMラジオ風セレクトCDにこそっと入れました。最初に書いたとおりJ-AORとしては基本盤なのでこの辺り少しでも齧ったことある人は当然聴いている盤だと思いますが、この曲に関しては和モノに抵抗のある人でもすんなり聴けると思うので、むしろそういう人にこそオススメ。LPでは比較的よく見るし値段もそれなりに安いです。

Relief 72 hours / 国分 友里恵

2013-01-16 | Japanese AOR
昨日の間宮貴子と並ぶ、もう一枚のJーAOR本命盤。現在は山下達郎のバックコーラスとしても活動しているシンガーソングライター、国分友里恵嬢による1983年の1stアルバムです。彼女のアルバムは次作のStepsがCD/LP双方で、それ以降の作品はすべてCDでリリースされているはずですが、今の感覚で聴いて最も内容が良いのが、唯一未CD化のこのアルバムなのだから困りもの。もっとも昨今の和モノ復刻状況から鑑みると、近々復刻が予定されているような気がしなくもないですが。。。現在のところCDで聴けるのは、以前Light Mellowのコンピ(これも今となってはレア&高額ですが)に収録されたEPO風爽快ポップスのA-2「恋の横顔」と、ダンサンブルなB-4のJust A Jokeのみ。残念ながら、それ以外はこのLPのみで聴ける音源となっています。この2曲に限らず全編に渡りシティポップス~JーAORでもトップ水準な内容なので、是非とも聴いてみていただきたいのですが如何せん高額。おまけに最近の和モノ人気を受け、ここ1年くらいで更に高騰しているような気がするので、マニアの方以外には簡単にはお勧めしにくいのが残念です。さて、それはともかくこのアルバム最大の聴きどころはミディアム~バラード路線。具体的にはA-3のWeekend LoveにA-4のLove Song、さらにB-3の「パーティーを抜け出して」とB-5のLast Woman。4曲すべてライトメロウな質感の極上J-AORなので、昨日の間宮貴子が好きな人なら間違いなく気に入ることでしょう。特にB-3「パーティーを抜け出して」に関してはフリーソウル指数も相当高めなので、クラブOB諸氏にも満足の行くナンバーだと思います。個人的なヘビーローテションはA-4のLove Song。タイトルからして直球ですが、朝焼けの似合うラブソングで気にっています。この手のナンバーはともすれば過剰に雄大な歌い上げ系のバラードになってしまいがちなところを、抜群のシンセ/キーボード使いでライトメロウな仕上がりにまとめる辺り流石です。清楚なお嬢様系で聴かせるボイスで聴かせる国分さん自身のヴォーカル・ワークも好感度大。気軽に買えるレコードだとは思いませんが、苦労をしてでも手に入れる価値のある一枚だと思うので、興味のある人は是非探してみてください。この辺りのシティポップス系LP全般に言えることですが、もしかするといつかどこか街の中古レコード屋さんでひょっこり安く見つかるかもしれませんので。

Love Trip / 間宮 貴子

2013-01-15 | Japanese AOR
再開第一弾は今もっとも旬なこのLPを。昨年末にタワーレコード限定で念願の銀盤化が行われた間宮貴子嬢の1982年作です。復刻前から内容を知っている方には最早説明不要だと思いますが、J-AOR界隈では非常によく知られたレア盤で、とにかく全編に渡りクオリティが非常に高いレコード。金澤寿和さんが書いたLight Mellow和モノ669に端を発するこの辺りのレコードは正直玉石混交で、いくら演奏が良くても声と歌詞が古臭くて今聴くと恥ずかしいような盤も多数あるのですが、このLPについては演奏・歌詞・ヴォーカルの三拍子がパーフェクトという稀有な一枚です。最も一般に全く知名度がないところを鑑みるに、発売当時はあまりセールスが振るわなかったと思いますので、今聴くからこそ逆に良いのかも知れませんが。。。個人的な印象としてはルックスを含め10年早かった古内東子と言った感じ。この雰囲気は正にアーバン・メロウ。80年代特有のクリスタルで過剰なまでのゴージャスさは良い意味で少ないものの、70年代のようなアナログな質感でもなく、音数は少なめながら非常に洗練された90年代的なAORをやっています。時代柄ボトムは90年代のそれと比べ弱いものの、全体的な質感としてはインコグニート辺りの洗練されたアシッドジャズに近い印象。貴子嬢自身のヴォーカル・ワークもまた素晴らしく、この辺りの和モノとしては理想的な声質。吉田美奈子や大橋純子のようなこの時代特有の太い声質ではなく、かと言って変に癖があるわけでもなく、日本人女性として最も適当な声を持っています。全英語詞であるB-5のWhat A Broken Heart Can Doを聴いても、一聴して日本人が歌っていると分かる声質は、欧米の女性にはない一つの魅力。やはり同じ日本人なので、この手の声が聴いていて一番耳に綺麗に響きます。同じ曲の日本語バージョンであるA-1のタイトル曲、クラブOBに人気のある跳ね系AORのA-3「真夜中のジョーク」辺りがキラー曲としてよくピックアップされますが、個人的に一番好きなのはA-2「チャイニーズ・レストラン」。しっとり系でライトメロウな好曲です。ちなみにB-2のOne More NightはMr.Melodyで有名な香港のTeresa Carpio(杜麗莎)が日本制作のLPで歌っていたりもするので、興味がある方は探してみてください。とりあえず全編に渡って好曲揃いの一枚。いつまでプレスされ続けるか分からないので、在庫あるうちに購入ください。アナログは昨今のJ-AOR人気から非常に高い値段が付いていますので。