Aters Or Recordsの001番であり、Sunaga t Experience名義でのオリジナル記念すべき一曲目。僕はSunaga t~の楽曲と言えば今でもこれが一番初めに思い浮かびます。アコースティックとエレクトロニカの不思議な融合、コラージュによる英語と録音によるハングル語で展開されるナレーション、その全てが絶妙にマッチした完璧なライブラリー・ミュージック。聴いているとまだ見ぬ宇宙への憧憬が一気に広がっていきます。ちなみにSunaga t~楽曲ではお馴染みのAsiana嬢による美声ナレーションをフィーチャーしたのは多分これが最初。裏には当時ヒップホップからドープなエレクトロニカ~アブストラクトへと活動の場を移し始めたIndopepsychicsによるリミックスを収録。こちらも趣は違いますがなかなか良い感じ。コズミック・ダブとでも言うべきなのでしょうか?同じく宇宙へ目と耳を向けたくなる一曲です。Indopepsychics版はCD化されましたが、Sunaga t~版は今のところフルコーラス聴けるのはこの盤かOrgan b. SUITE No.4のみ。どちらも今となってはレアなアイテムですが、案外ユニオン辺りにたまに見つかったりもします。ジャケが秀逸だしアナログで是非コレクトしておきたい一枚。It's Youより好きです。
ジャパニーズ・オールド・スクールの記念碑。サバービアの橋本徹さん風に言うとこんな感じでしょうか?まぁ彼らのようなメジャーフォース人脈を日本のオールドスクールと位置付けると面白くないB-Boyもいるのでしょうけれど、この盤に収録されたB-1のReturn Of The Original Art-Formは無敵のパーティー・ブレイクス。もはやヒップホップに限らずあらゆる日本のクラブ・ミュージックの最重要クラシックスなのでここらへんで紹介しておきます。凄く良い曲なのにあんまりネットでのリコメンを見たことないので・・・。とにかく理屈ぬきでカッコいい。これをヒップホップと呼ぶかハウスと呼ぶか、そんな七面倒な定義づけはどうでもいいんです。一度でもマトモなクラブで踊ったことある人間ならば、この曲聴いてカラダが反応しないはずはありません。未だに色あせることのない日本のオールドスクーラーが生んだ奇跡の名曲です。ちなみにHiroshiとはファッション界でも雑誌などに引っ張りだこの藤原ヒロシ氏。当時のDJはみんなこの藤原ヒロシ氏のプレイに憧れ真似をしていたそう。この曲を含め当時のメジャーフォースの功績は、後にイギリスのジェームス・ラベルなどに再評価されました。再評価もなにも何でそれまでこの曲の良さに気づかなかったのでしょうか?
北欧クラブジャズが注目を浴び始めた中、2002年にリリースされたアルバムがそこそこの好セールスを記録したノルウェーのクラブジャズ・ユニット。CD版のOrgan b. SUITEに2曲も収録されたりして話題にもなりましたが、これはそんな彼(たしか一人ユニットだった気がします)のスマッシュ・ヒット・シングルの限定7インチ・リミックス盤。すぐに市場から消えたので今では手に入りにくいのですが、それもそのはずこのリミックスが凄いのです。なんと既述した僕の大好きなクラブジャズ・クラシックス、Dudley Moore TrioのAmalgamへの愛あるオマージュ。全編に渡ってあの気高くも美しいフレーズを流用しまくりです。ちなみにリミックスを務めるのはイタリアの伊達男Nicola Conte。途中4ビートに変わっての繊細なピアノ・ソロもとてもオシャレ。ちょうど僕が長かったヒップホップ歴から抜け出し、突然クラブジャズに本格的に傾倒しかけた頃にこの曲がリリースされたので、当時の僕はもう完全にNicola Conteの虜になりました。あの頃はダドリー・ムーアなんて知る由もなかったので、これがAmalgamの引用だと分かるまでには結構な時間を費やしましたが・・・。ちなみに7インチはレアでオリジナル・アルバムにも未収ですが、P-Vineの国内企画コンピでCDでも聴くことが出来ます。手ごろにオシャレな感覚を味わいたい時にオススメ。
日本が誇るクラブ・ジャズ・クラシックス最高峰。2003年にリリースされたこのアルバムは日本以外でも大ヒットを記録しましたね。スピリチュアル・ジャズを基調としながらも決して難解な演奏ではなく、僕のようなジャズの素人でも分かりやすいカッコ良さも同時に兼ね備えています。まずはA-1、Ai-No-Kawa。12インチもバカ売れした素晴らしき現代版ハードバップ。そしてB-1にはそれをさらに深いところまで潜り込ませたような続編Ai-No-Umiも収録。この2曲だけで買いです。どちらも宇宙を思わせる壮大なイントロから一転してサックスが吹きまくる高速な展開が最高。気迫とダンディズム溢れる荒々しい演奏のなかにも、要所に泣きの要素が散りばめられている為に聴いてると次第に感動すら覚えてきます。この辺のKyoto Jazz Massive~Especial周辺人脈って最近まで敬遠していたのですが、やはり何事でも食わず嫌いは禁物ですね。今年の初めにたまたま思い立って買ってみたその日から、もうひたすら彼らの虜です。生演奏ライブ見てみたいなぁって思ってます。辰緒さんやNicola Conte辺りの音とはまた少し違うけれど、これももう一つのクラブジャズの形。僕のように食わず嫌いしていた方もぜひチェックしてみてください。
一昨年から昨年にかけて異常なくらいヒットしたので今さら語るのも何なのですが、Rasmus Faberの大傑作1stシングルです。誤解を招かないように言っておくと、僕はこのシングル発売時から持ってますから・・・。別にヒットの煽りを受けてミーハー的な気分で購入したわけではないです。一昨年作成したMix CDで前述のDoctor Abstractと繋げて収録しました。イントロの長~い4つ打ちのドラム・ブレイクから一瞬にして静まりかえり、ノン・ビート上を疾走するソウルフルな女性ヴォーカルのリフレインから徐々に盛り上がりっていく展開。ホーンの入ってくるタイミングやハンド・クラップ、再び入ってくる4つ打ち。まさにパーフェクトです。この辺のクロス・オーヴァーなブラジリアン・ハウスでは間違いなく他から頭3つくらい飛びぬけてカッコいい屈指のフロア・キラー。ハウスDJならば持ってなきゃ嘘です。ラテン・パーカッションを交えた躍動的なA-2のSamba Repriseも良いですが、ここはやはりA-1のMain Mixでしょう。ちなみに僕が作成したMix CDではReggae Disco RockersのI Saw The Lightのハウス・リミックスへと繋げてみました。ちょっとエディットしてBPMを合わせたらなかなか良い感じに繋がるんですよね。ヒットし過ぎて今でも多分普通に買えます。DJではなくても聴いておいて損はない一枚。
この辺りの音には詳しくないので良く分かりませんが、どうやらロフト・クラシックスとして知られているらしいディープ・ハウスの名盤です。青山Galleryで行われているパーティーのコンピレーションに収録されたことで一昨年あたりに再び話題を呼び、一時期はD.M.R.などにも置かれるようになっていました。他の収録曲は全く琴線に触れませんでしたが、A-1のSo Goodに関しては本当に素晴らしい。基本的にはLast Tango In Parisからの引用フレーズなのですが、リードを取るギターのリフがどこまでも暖かく、美しいエレキ・ギターのお手本的な存在。夜中に一人で聴いていると感動すら覚えます。さらに心地よい4つ打ちビートと優しい女性スキャットまで配しているので、その気持ちよさはまさに無限大。まぁそもそもLast Tango In Parisのメロディ自体がとてつもなく素晴らしいので、それを引用した曲が悪いわけがないのですが、それにしてもやっぱり秀逸な展開には圧巻です。普段あんまりハウスはチェックしていない僕ですが、さすがに試聴しただけで買ってしまった一枚。リイシュー盤に関しては探せば今でも新品であるはず。どこに売っているのだか分かりませんがCDでマキシも出ているそう。ダンクラ~ハウス~ジャズまでクロスオーヴァーにプレイ出来そうな曲なので、その辺りのDJで知らない人はチェックしてみてください。
2年位前にクラブヒットしたSandboyのデビュー12インチ。まぁ基本的にはフューチャージャズ以降の浮遊感漂うクラブジャズなのですが、打ち込みの無機質感と生の有機的な暖かさが良い感じに融合されていて、僕は結構気に入っています。A-2のViverは辰緒さんのヘビー・プレイもあってヒットしたボッサ基調のクロスオーヴァー・サウンド。メロウな女性ヴォーカルもなかなかです。スポークンというかポエトリーがカッコいいB-1のThe Hikeも良い感じ。こちらはViverよりも一層ジャズ度が高めな一曲と言えましょうか?B-2のLes Eclairsも良質なブロークン・ビーツという感じ。この手の量産されまくっているクラブ系サウンドの中では比較的に残りそうな一枚だと思っています。流行りモノでは終わらないというか、きっと後世においても再評価されるのであろうなぁと思う盤。Sandboyはこの後にアルバムも出て、たしかここに収録されている4曲は全てアルバムにも入っていたような気がするのですが、淡い色使いのジャケの美しさもあって、こちらの盤の方を押しておきます。水色とベージュとピンク、ありそうでなかなか考え付かない色の組み合わせです。素晴らしい。
一連のアシッド・ジャズ・ブームも下火になった1997年にThe Brand New Heaviesがリリースしたモンスター盤。跳ねたミディアムR&Bとしても良質なA-2のSometimesなどアルバム通して佳曲は多々ありますが、この盤と言えば何よりもとにかくC-2のYou Are The Universeが奇跡。フリーソウル~ハウス~ヒップホップとジャンルを超えて全てのパーティーでクラシックとなっている余りにも素晴らしすぎる一曲です。ハウス・リミックスもリリースされましたが、やっぱりここで聴けるAlbum Versionが一番。当時はこのヴァージョンは12インチ化されなかったのですが、後年になってからD.M.R.企画で12インチ化しましたね。とにかく日本人好みするメロディラインで、出だしからラストまで、ひたすら込み上げっぱなしのソウルフルな極上のアゲアゲ・チューン。ベースのラインやホーン隊、微かに聞こえるピアノからヴォーカルまで全てが完璧。これ聴いてカラダが動き出さなきゃ嘘です。アシッド・ジャズ・ブームからは直接は離れた時期のリリースですが、今では究極のアシッド・ジャズ・クラシックスともなっている一曲。そして同時に永遠のダンス・クラシックスでもあります。聴かずに死ねない屈指の名曲。MuroさんもかってMix CDのラストに収録していました。超オススメ!
Schema SextetやNicola Conteの2ndにトロンボーン奏者として参加している他、Conte & Petrella名義でも12インチをリリースしているGianiuca Petrellaのソロ・プロジェクト。まずA面のタイトル曲ですが、人気が出たColor BlindのNu Swingをもう少しモダンにした感じのジャズ・ハウス。4ビートをもくもくと展開する打ち込みのベースラインが渋いですね。そして、その上で展開されるホーン。どうやらGianiuca Petrellaが一人でトロンボーンとトランペットの両方を演奏しているよう。声ネタのカッコ良さも手伝って、とても渋いグルーヴィー・チューンに仕上がってます。そしてB面のMarching To A Different Drumはスペーシーなアフロ・ブロークン・ビーツ。最初だけ聞くと、まぁわりとよくありそうな凡庸なクラブ・チューンなのですが、中盤で突如被さってくる鳴きのサックス・ソロ(多分)がどこまでも美しくグルーヴィーに展開。このソロが入る一瞬が一番の見せ所なのでしょうが、これが見事にばっちり決まっているため曲全体の雰囲気がグッとよくなっている気がします。リリース媒体としてはアナログのみですが、コンピなどでCDでも聴けるはず。カッコいいです。
TangoをもじってGotan、タンゴ・ミュージックとエレクトロニカ・サウンドを融合させて話題になった彼らの傑作アルバムLa Revancha Del Tangoからカットされた10インチ。アコーディオンの哀愁溢れるサウンドが遠くアルゼンチンの郷愁を漂わせながらも、あくまでベースには最新の硬質ブロークン・ビーツが敷かれているため決して懐古的というだけでは終わらない一枚。ダンス・ミュージックとリスニング・ミュージック、アコースティックとエレクトロニクスの心地よいフュージョンが展開されています。タンゴ・ブロークン・ビーツとも言うべきA-1のタイトル曲ももちろん良いのですが、裏に収録されているB-1、Last Tango In Parisがあまりにも美しすぎる。もともと原曲自体が素晴らしく優美な曲なので当然なのですけれどね。ここでブレイク・ビーツの上で展開されるピアノとアコーディオンの対話はまるで、長年離れていた親子が久々に再開したかのよう。繊細なピアノと雄大なアコーディオンの対比が抜群です。わりと良くレコード屋なので見かける一枚なので、見つけたら試聴してみてください。ネットでも多分どこかで試聴できるはず。