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At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

On The Underground Road / Santucci = Scoppa

2006-05-09 | Contemporary Jazz
久々のブログ更新となる本作は、トロンボーン奏者のCicci Santucciとテナー・サックス奏者のEnzo Scoppaによる1971年録音のLP。Right Tempoクラシックとして、以前から知っている人は知っている的な盤だったようですが、昨今のユーロ・ジャズ・ムーヴメントにて雑誌等で再びクローズ・アップされていますね。つたない僕のジャズ知識では、イタリアものと言うとすぐに例のBasso=Valdambriniみたいな音を想像してしまいがちなのですが、本作はそれとは若干毛色が異なる雰囲気の一枚。71年という微妙な録音時期のせいか、いわゆるストレート・アヘッドな欧州ハードバップではなく、全体的にジャズ・ロックだったりフリーだったりと言った実験的な曲で構成されています。曲によってエレピなどを使用しているせいもあるかもしれませんが、どちらかと言うと「夜ジャズ」ではなくレア・グルーヴという括りの方がしっくりきそう。そんな中で比較的今っぽい雰囲気の曲がA-3のTip Cat。陽気なリズム隊とトロピカルなピアノを従えたラテン風味のジャズ・ダンサーです。BPM的にも早すぎず遅すぎず尺も短めなので、DJ的にもよろしいのではないでしょうか。ちなみに掲載ジャケはRight Tempoから90年代に再発されたもの。最近はあまり中古レコ屋で見ることもありませんが、あれば多分それほど高くはないのではないでしょうか。なおオリジナルは黄色いジャケットなので悪しからず。

Reflections / Quartetto Lo Greco

2006-03-22 | Contemporary Jazz
Soulstance名義での新譜も先ごろリリースされ、4月にはQuintetto Lo Greco名義でのCDも控えているLo Greco兄弟による2003年リリースの作品(ちなみに録音は2001年らしいです)。当然ながらリリース元はイタリアのSchemaなのですが、アナログのリリースはなくCDのみです。まぁ昨年の暮れにQuartetto ModernoとShcema Sextetが突然アナログ化されたので、これもそのうちアナログ化されないとも限りませんが…。肝心の内容の方はと言うと、基本的にはテナー・サックスを従えたワンホーン・カルテットで、かなり本格的なモダン・ジャズをやっています。「夜ジャズ」な感じでなかなか宜しいかと思うんですけれど、どうもワンホーンだと野暮ったく感じてしまうのが残念。やっぱり管楽器を入れるなら個人的には2~3管が望ましいです。ただ例外はフルート。ピアノ・トリオ+フルートのカルテットだと、どことなく小洒落た感じになるので好きなんですよね。と言うわけで、このアルバム中で最も気に入っているのはM-3のGiant Steps。先日紹介したNew York Jazz Sextetも取り上げていたコルトレーンの曲です。New York~と比べてグッと洗練された質感になっていて、これぞ正にヨーロピアン・ジャズと言った趣き。「洒落ている」という形容がよく似合う大人のジャズ・ボッサです。どこにでも置いてある類のCDではありませんが、見かけたら買ってみても面白いかと思います。

Double Trouble / Deborah Brown

2006-03-02 | Contemporary Jazz
ずっと気になってはいたのですが、今まで出会えず仕舞いで買えなかった1枚をようやくゲット。アメリカ出身のヴォーカリストDeborah Brownが、ポーランドの国営Poljazzレーベルにて89年に吹き込んだ一枚。若干相場より高い値段ではありましたが、この手のポーランドものとしては状態がトップクラスであったこと、89年という微妙な時期のリリースで意外に市場に出回っていないこと、1枚通して聴けるLPだということを自分への言い訳にして、ついつい買ってしまいました。ちなみに3つ目の理由は後付け(笑) 家に帰って聴いてみてびっくりしたのですが、このLPは1~2曲だけ良い曲が入っているというのではなく、全編通してクォリティが非常に高いんです。録音時期が新しいこともあって、うさんくさい作品が多いポーランドものの中でも抜群の洗練度。Zbigniewa Namysłowskiego(おそらくZbigniew Namyslowskiと同人物)のコンボが奏でる音が、とても華やいでいて良い雰囲気を醸し出しています。Ernestine AndersonのBig Cityなんかを始めて聴いた時みたいな感動がありました。曲単位で言うとB-1のSunshine Expressがアルバム中でもきらきら輝いた疾走ジャズ・ボッサでミラクル。Irene Sjogren Quintetの人気曲と双璧の内容と呼べそうですね。安い値段で見つけたらもちろんのこと、そこそこ値段が張っていても買う価値のある1枚ということにさせてください(笑)

Just Buddy's / Buddy Childers Big Band

2006-02-21 | Contemporary Jazz
中古レコード市場において、安くて良い音源が多いということで有名なレーベルがDiscovery。そのDiscoveryの傘下であるTrendから85年にリリースされた本作は、なかなかに格好いいモダン・テイストなビッグ・バンドです。Horace Silver作のクラブジャズ大定番であるA-1のNica's Dreamは、タイトなリズム隊と豪快なホーン・セクションが小気味良くクラブ映えすること間違いなし。B-3に収録されたPrettyもなかなかの佳作ですね。そしてそんな中で一際輝いているのが、B-4のTry A Little Tenderness。若干間延びしてるイントロが気にならなくもないですが、いざ曲が始まってしまえばそんな気分もなんのその。あっという間に夢心地にトリップできます。正直なところ各ソロはどうでもいいのですが、ブリッジ部分のホーン・セクションの高揚感が抜群。僕が大好きなルパン三世チックな都会的な音で、否が応にも気分を盛り上げてくれる快演です。素敵な週末の夜の始まりはこういう曲で迎えたいものですね。6分近くある尺が決して長く感じられないのも不思議なところ。ちなみにこの盤に限らずDiscovery関係が高く売られているのを時々見かけますが、こんなの探していればそのうち3000円程度で見つかるので、何も高いお金を払って買う盤ではないと僕は思います。でも、どこにでもありそうで、意外になかなか見つからなかったりもして…うーん、微妙なところですね。

Colours / Judy Bailey Quartet

2006-02-10 | Contemporary Jazz
1976年にEurekaというオーストラリアのマイナー・レーベルからリリースされたフュージョン作品。このJudy Baileyという女性キーボーディストは他にも何枚かLPをリリースしているらしいのですが、やはり本命は各種ガイド本にも掲載された本盤だと言えるでしょう。かなり長めの神秘的なエレピのイントロから一転して、怒涛のような高速ブラジリアン・フュージョンに展開するB-1のColours Of My Dreamは、文句なしのキラー・チューンです。曲自体の雰囲気のみならず、曲構成という観点から見ても、Olivier Peters Quartetの大人気曲Full Moonと非常によく似たナンバー。生ピアノではなくフェンダー・ローズを使用しているという違いがありますが、そこが逆に味になり曲全体のメロウネスを増大させているように思えます。また、フュージョンではなく本格的なジャズが好きと言う方にはA-2のToledoがオススメ。前のめりに疾走する高速3拍子の上を吹くフルートの音色が哀愁に満ちていて絶品です。Dusko GoykovichのKosmet辺りにも少し似た雰囲気ですね。もちろんJudy Bailey本人のエレピ・ソロも冴えまくり。もしかすると今のフロアにぴったりなのは、こちらの方かもしれません。ヨーロッパのハードバップなんかとも相性が良さそう。オーストラリアのマイナー・レーベルものと言うことで探すとなかなか見つかりませんが、これは本当に最高の一枚です。久々に良い買い物をしました。

A3 / Jazzanack

2006-02-10 | Contemporary Jazz
87年という微妙な時期に南フランスでリリースされた本作は、打ち込みのビートの上にサックス+シンセ+女性ヴォーカルのトリオが乗るという構成の一枚。僕はよく知らないのですが、数年前に一度デッドストックが出回ったそうで、本来はプレス枚数が少ない時期の作品ながら、都内近辺では結構ちょくちょく見かける盤です。全体的にはその当時の時代性を感じさせるようなフュージョン作品なんだけれど、ただ1曲抜群に素晴らしいのがB-1のBossa Bosseeという曲。♪トゥットゥトゥルーという気持ちよいスキャットに導かれて始まるこの曲は、Balancoなどの初期Schema作品にも通じる軽快なブラジリアン・フュージョンです。どことなくDe Wolfe辺りのライブラリー作品にも近い雰囲気。打ち込みのビートも決してキツいものではなくむしろ耳に馴染みやすいサウンドなので、聴いてて全く苦になりません。途中のサックス・ソロもかなり良い感じ。ブラジル本国の音楽にはないヨーロッパならではの洗練性が節々から感じられ、この手のブラジリアン・フュージョンものでもアタマ一つ飛び抜けて美しい一曲だと思います。ちなみに時々そこそこの値段で見かけることもありますが、某量販店にて叩き売りされていたりもするので、変にお金を出して買わないように。こういうのは安くゲットしてなんぼな一枚だと思います。後期のOrgan b. SUITEシリーズやNicola Conteの1st辺りの雰囲気が好きな人にはオススメ。ラウンジーです。

In The Light Of Day / Rigmor Gustafsson Quintet

2006-01-20 | Contemporary Jazz
一般の人にはほとんど知られていないながら、コンテンポラリー・ジャズのシーンではかなり知名度があるスウェーデンの女性ヴォーカリストRigmor Gustafssonによる97年の1st。当然ながらアナログはリリースされていないので、僕が持っているのはCDです。なんと言うか北欧らしい透明感に満ちた一枚。最近の傾向と言うことでボトムが強めではありますが、それ以外では同郷のIrene Sjogren Quintetなんかにも近い雰囲気が漂う北欧ジャズですね。どことなく優良再発レーベルCelesteのラインにも共通点が見出せるので、その辺りが好きな人ならばきっと気に入ると思います。アルバムではテンポが速いものから遅いものまでバラエティに富んでいますが、その中で白眉としたいのはM-1のRain Just Rain。メンバーのピアニストであるTino Deradoのオリジナルながら、若干フュージョンがかったアップテンポのサンバ・ジャズでかなり良い感じです。北欧産と言うことでアップテンポと言えど決してバカみたいに明るいわけではなく、ほのかに陰影を孕んでいるところもポイントですかね。特に中盤以降のピアノ・ソロが気持ちよく歌っていて気に入ってます。西ロンドンの影響なども感じさせるM-6のEl Doradoも秀逸。高速6/8拍子に呪術的で神秘的なスキャットがひたすら乗るスピリチュアルなナンバーです。ちなみに廃盤ではないのですが、若干古めの輸入盤になるので店頭で手に入れるのはなかなか難しいかも。

Mad About The Boy / Cybill Shepherd

2006-01-17 | Contemporary Jazz
とてつもなく洗練されたジャケットが印象的な一枚。美人女優Cybill ShepherdがInner Cityというレーベルからリリースした本作は、Stan Getzを向かえ76年にレコーディングされたヴォーカル・アルバムです。とにかくこのジャケットの為にお金を払ってもいいと思えるくらいモノクロームのアート・ワークがお気に入り。広い家に住んでいたなら、どこかに飾っておきたいですね。ただ、内容の方も決して悪くなく、むしろこの手の女優モノにしてはかなりクォリティが高い一枚に仕上がっています。暖かく包み込むようなゲッツのテナー・サックスはやはり唯一無二だし、あどけなさの残る彼女の声もかなり好み。ジャズもボッサもスタンダードもやっているんだけれど、全体としてはとてもスマートにまとまっていて、そこがとても都会的で良い感じです。ブリザブラジレイラやサバービアでもリコメンドされているA-1のTristeは、数あるこの曲のカヴァーの中でもかなり上位に入る出来。Tania MariaのSamba De Orlyなどと並んで明け方を彩るメロウ・ジャズ・ボッサ屈指の一曲でしょう。華やいだスウィング・スタイルのB-3、Speak Lowも素晴らしい。これぞゲッツ節と言えるような甘いテナーが秀逸です。それほどレアなアルバムと言うわけではありませんが、いざ探してみると何気になかったりします。CDでも再発されているので、オシャレな音楽が聴きたいなと思う方は買ってみてください。特に女の子にはぜひオススメの一枚です。

And Let The Music Play / Greetje Kauffeld

2006-01-02 | Contemporary Jazz
オランダの才女Greetje Kauffeldがヨーロッパ中から優れたアーティストを集めて録音した1966年のヴォーカル作品。あまり知られていないながら、当時はジャケ違いで日本盤もリリースされていたようです。ちなみに僕が所有しているのは数年前にリリースされた再発盤のLP。現在市場に出回っているSonorama盤とは違い、きちっとオリジナル仕様のジャケットで復刻されたものですね。さて、このLPですが何が素晴らしいってA-5のLuis Bonfa作によるTristezaに尽きます。これまでもSergio Mendes & Brasil '66のヴァージョンを始め何枚か紹介してきましたが、このヴァージョンもそれらに劣らず素晴らしい出来。フリューゲル・ホーンによる牧歌的なイントロから伸びやかなコーラス&ヴォーカル・パート、さらに転調後のビッグ・バンド・セッションに至るまで本当に完璧なアレンジ。これで盛り上がらなかったら嘘でしょう。わずか2分半の演奏ですが文句の付けようがありません。ちなみに僕は最近Paul LoukaのJe Suis Venuから繋げてかけるのが気に入ってます。テンポが近いのでハマりがいいんですね。その他の曲はと言うとA-2のDay By DayやA-3のCabaret、それからB-2のA Time For Love辺りがなかなかの佳作。クラブでガンガン踊れる盤と言うよりも、昼下がりのカフェでしっとり聞きたい系の一枚としてオススメです。

Make Mine Swedish Style / Monica Zetterlund

2005-12-30 | Contemporary Jazz
多分この盤が今年最後の紹介となるのでしょうか?先日不慮の死を遂げたスウェーデンの歌姫Monica Zetterlundによる64年録音の快作。モニカと言えばクラブ界隈のみならず世界中で人気のジャズ・ヴォーカリストなので、今回の件についてはひどく残念です。心からご冥福をお祈りします。で、このアルバムですがBill Evansと共作でリリースしたあの大名作Waltz For Debbyとほぼ同時期な64年にリリースというわけで、当然の如く悪いわけがありません。山ほどある彼女のアルバムの中でも、Waltz For DebbyやChicken Feathersと並んでサバービア大定番なA-1、Speak Lowが収録されているだけで充分買う価値ありです。わりと古い時期の録音ながら、流麗なピアノトリオをバックに伸びやかに歌い上げる様は、ヴォーカル・ファンなら必聴でしょう。前述のRita Reys辺りのアルバムが気に入ったなら、是非この盤も手にするべき。素敵なヨーロピアン・ジャズ・ヴォーカルが思う存分に堪能できます。個人的にはA-3でThe More I See Youあたりをカヴァーしているのも嬉しいところ。とりあえず持っていない人は外資系CDショップへ行きましょう。素敵な夜を味わえること請負です。