(前回からの続き)
「Brexit」(英国のEU離脱)決定でマーケットがリスクオフ・モードに振れたこともあり、いま欧州各国では巨額の不良債権を抱える銀行の株価が下げ止まりません。まあイタリア(不良債権額3600億ユーロ!?)は分かるとして、スゴイのはユーロ圏の盟主ドイツ・・・の銀行、なかでも独銀最大手のドイツ銀行株の急落ぶりです。ブルームバーグ報道によれば、ドイツ銀の時価総額は一時、純資産の1/4の水準にまで落ち込み、他銀行によるM&Aの可能性まで取り沙汰されているとのこと。で、ドイツ銀の合理的な買い手として投資家に想定されたのが何と!英銀バークレイズやスペインの最大行サンタンデールなのだとか・・・。公的資本注入が不可避の(?)英国やスペインの銀行がドイツの銀行を買収する(!?)って・・・ホント、気を失いそうです・・・
いっぽうのアメリカでは株価が史上最高レベルに達しています。そのうえ米国債もまた高値をつけ(長期金利は1.6%付近にまで低下して)、ハイイールド債のスプレッド幅も今年2月以降は小さくなってきている・・・ってことは、「双子のバブル」(株&債券)がまたもや再生してきたわけです・・・(?)。市民戦争すら危惧されるほどの異様な状況なのに(!?)、いったいなぜ・・・
・・・って、以前から書いているように、この明らかに高過ぎの株価&債券価格はもはや米実体経済とか企業業績予想などではなく、もっぱら現状の主要中銀(とくに黒田日銀!)の緩和的な金融政策、そしてさらなる同緩和への期待すなわち近い将来、FRB(中銀)は現在の利上げ(バブル収束)路線を断念し、再度の利下げそしてQE4(量的緩和策第4フェーズ)に乗り出すほかない、なんて観測の反映でしょう。そう、アメリカにはそれしか―――QE継続による永遠のバブル膨張路線しかないのだから・・・って、これで短期的に株価は上がるかもしれませんが、ドルは・・・
・・・以上からも容易に推察がつくように、そして本ブログでしばしば指摘しているとおり、欧米諸国(ついでに中国)にはとっくの前から通貨の大増刷しか道はありません。あとはそれがいつド派手に始まるのか、ですが、Brexitを機に英国でいま起きている不動産ファンドの解約停止騒動はそのスタートが間近いことを知らせてくれているのではないでしょうか。2007年の米サブプライム・ローン・バブル崩壊も仏銀BNPパリバ傘下の同種ファンド解約停止から始まりましたからね・・・