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【トランプ氏、バブル扇動とFRBを攻撃!】「トランプ叩き」が示唆する米経済の混迷ぶり②

2016-10-17 00:04:17 | アメリカ

前回からの続き)

 以前こちらの記事に書いたように、次期の米大統領候補としてのヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏とを比較した場合、「経済」に限れば個人的にはトランプ氏のほうがアメリカの実態により則した認識を持っていると考えています。

 決定的なのは同氏が、米経済はバブルにある(We’re in a bubble.)、とズバリ指摘していること。これって至極当然のようで、いまのアメリカではけっこう勇気のいる発言です。有力者が「バブル」と口にすることが株や不動産の価額の雪崩のような暴落を招きかねない(?)からです。それほどにこれらの価格はちょっとしたきっかけで一気に下がってもおかしくはないくらいの高値にあるということです。そんなリスキーな状況をもたらしたものは何度も書いているとおり、FRBの量的緩和策(QE)・・・

 そこでトランプ氏はFRBを激しく攻撃します。実際に同氏は、バブルを煽るためにあまりに長いこと利上げをしないままだったとFRBを批判したうえ、ジャネット・イエレンFRB議長については、政治的な理由(political reasons)で低金利政策を続け、利上げ再開時における株式市場の危険性をいっそう高めている、などと、FRBと同議長があたかもオバマ現民主党政権に肩入れしているかのような見方を示しています。このトランプ発言に対しては、おもにマーケットに近い人々から、中銀(FRB)の独立性を脅かすものだ、といった非難の声が湧き起こっているところですが・・・

 このあたりのトランプ氏の見解も半分は正しいと思っています。FRBがQEでバブルを生み出した、というところは正解。でもそれはけっして政治的なものではなく、それしか策がなかった、というのが実情だったはずです。サブプライムローン・バブルの崩壊に始まった米金融不安は2008年秋のリーマン・ショックで危機のピークに達しました。本来ならその時点で米当局は日本がやったようなバブル最終清算(不良債権の抜本的処理、金融機関への公的資金注入等)を断行しなければならなかったけれど、それに必要なおカネが巨額過ぎて用意できないものだから、代わりに銀行の保有資産価額を押し上げることでその自己資本を救う手に出た。それがQE、ということになります。

 で、このQE由来の低金利マネーが、わずかな利ザヤを求めてあらゆる資産に注ぎ込まれました。その結果、株、債券、不動産などなど、資産と名の付くすべてのものの価額が合理的な説明がまったくつけられないくらいの高みに至った状況が、いま(からちょっと前、2014年の夏くらい?)のアメリカ、というわけ。

 といった感じでバブルのあまりの膨張ぶりに恐怖したFRBは現在、利上げ等を通じてその「燃料」となったQEマネーの回収を図ろうとしています・・・が、リーマン時にできなかったことが、それから8年間もバブルを上乗せしたいまになってできるわけはなく(?)、結局FRBは金融引き締めを断念し、QEを再開してとめどもない紙幣増刷に走るしかない・・・(?)

 ・・・と考えてみると、トランプ氏・・・ならずともアメリカ人ならば「こんなにバブルをでっかくして、いったいどうしてくれるんだFRB!」と詰め寄りたくなってしまいそうですが、それしか手がないのだから仕方がない(?)。なのでトランプ氏の上記コメントでFRBおよびイエレン同議長に対する批判の部分は少し筋違いかな、という思いがします。しいて責めるとしたら、禁じ手の(?)QEに乗り出してしまった前議長のバーナンキ氏のほうかな・・・(って、同氏にはQE以外の選択肢がなかったから、やっぱりこれも無茶か?)

続く

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