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スペインの街角にみるユーロ圏統一への多難②

2012-03-23 00:00:32 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 続いてカメラは午後の繁華街に向かい、一軒の居酒屋に入っていきます。そこでは早めに仕事を終えた人々が集まって、すでに酒を飲み交わしていました。やがて上機嫌になった彼らはなじみの歌を合唱し始めます。その歌はこのようなものでした。

 酒を飲もう、ツケは誰かが払ってくれるさ~♪

 ・・・。思わず「ツケはアンゲラ(アンゲラ・メルケル独首相)が払うと思っているんでしょ?」と胸の内でツッコミを入れてしまいました。意地悪い考えですが、酒を飲んでツケを誰かに払わせる、というこの歌は、国力以上に国債を発行して借金をし、その借金を他国(つまりはドイツ)に支払ってもらおうとするどこかの国のことを歌っているように聞こえました。もしかしてスペインもそうなってしまうのでしょうか。

 ユーロ圏が、わが国や経済大国アメリカ、成長著しいアジア各国と競いながら発展していくためには、繰り返しになりますが、財政共通化を含めたユーロ圏の統合が条件となるでしょう。しかしその前提として、これまでに作った借金は、あくまでそれを作った国が自助努力で返す必要があります。そうしなければ、それこそいくつかの国々が「誰かが返してくれるさ」とばかりに国債を乱発し、その償還を他国に委ねるなどのモラルハザードに陥るリスクが高まります

 実際、今回のギリシャの「借金棒引き」を見ても分かるように、すでにユーロ圏ではこうしたモラルハザードが発生する気配があります。こうしたことが繰り返されることで、通貨ユーロは通貨としての信認をどんどん喪失していくでしょう。そして欧州諸国の市民の多くは緊縮財政によるリセッションと通貨乱発にともなう激しいインフレに苦しむことになりそうです。

 ユーロ圏統合への加速化が唱えられるなか、「独立」や「他人(他国)まかせ」を連想させるこうした光景は印象深いものでした。もちろん、以上は私の超個人的な感想に過ぎません。スペインの市民の多くが統合欧州に希望を持っていると思うし、今後、スペインもヨーロッパも、言語や民族、信条や習慣などのさまざまな違いを乗り越えて統一に向かっていくことに変わりはないと思っています。それしかユーロ圏に生き残る道はなさそうですから。

 3月12日のユーロ圏財務省会合で、スペインは2012年中の追加的な財政赤字削減策を求められました。ギリシャに続いてスペインも正念場を迎えています。

(「スペインの街角にみるユーロ圏統一への多難」おわり)

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