(前回からの続き)
わが国に対する外国企業の投資行動を見てみても、日本の最先端ぶりが感じられることがあります。
外国企業の日本市場からの撤退が相次いだり、外国から日本への投資が減っているのは、日本経済に将来性が見込めないからだ、とか、日本に非関税障壁が多すぎるからだ、などと彼ら(のみならずわが国の経済評論家)の一部は言います。違うのではないでしょうか。彼らはこの日本の市場で稼ぐ力がないから(悔し紛れに?)そう言うのでしょう。
日本で勝つには新しい価値観を持つ商品を提供する必要があります。しかし日本の後追いをしている外国に拠点を持つ彼らは、日本企業がすでに開発し、すでに日本人の多くが手にしている商品やサービスの後追いコピー程度しか供給できません(HV車など、新たな価値を創造するのは多くの場合、日本企業です)。品質や安全面での要求レベルが世界一高い賢明なわが国の消費者に、価格以外の魅力が乏しい彼らの商品やサービスはなかなか受け入れられません。だからこそ、多くの外国企業が日本市場から負けて出て行くし、また新規参入に苦しむのでしょう。
いま、わが国は、世界に先立って時代の変わり目に立っています。
上述のような時代を先取ってきた歴史も、モノづくりやサービスも、そしてファッションや音楽、文化、サブカルチャーに至るまで、あらゆるジャンルで世界をリードし続けるわが国は、現在、新たな世界の創造に向けた胎動期にあるといえます。昨年の大震災と原子力発電所の事故が、否応なくわが国の背中を押しました。この国のすべての人々が、いま自分にできることは何かを自らに問い、そして自分の持ち場で力を尽くしています。
これからわが国は、絆を旗印に、さまざまな試行錯誤を繰り返しながらも、世界が憧れて後追いしたくなるような新しい価値を次々に生み出していくことでしょう。これまでの歴史を見てもわかるように、これからも「日出る国」であるわが国は、後から日の出を迎える世界の国々のお手本であり続けるでしょう。それこそが時代の最先端国・日本の定めと思っています。
3月11日、震災一周年の日に、「Cool Japan」(カッコいい日本)の将来に大いに期待を込めて。
(「日本の後追いをする世界・世界の最先端を行く日本」おわり)