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「前門のインフレ後門の金利上昇」ジレンマに悩むFRB①

2012-03-24 00:04:35 | アメリカ

 何だか経済新聞のコラムのタイトルみたいですが、いまの米国準備制度理事会(FRB)の金融政策スタンスの難しさを表現するとこんな感じなのではないでしょうか。

 今年に入り、度重なる金融緩和の効果がようやくあらわれたのか、アメリカ経済は景気回復が窺われる基調となってきました。雇用統計をみる限り、新規雇用が増えるとともに失業率は少しずつ低下してきました(2月8.3%で3年ぶりの低水準)。さらに株価も上昇し、年初の12,000ドル台前半から3月中旬には13,000ドルを超えるところまで上昇してきています。

 また、経常赤字も拡大してきたようです。3/14の商務省の発表によれば2011年の経常赤字は前年比0.5%増の4,734.4億ドルと2年連続の増加で、赤字額は2008年度以来3年ぶりの高水準とのことです。アメリカは景気が回復してくると経常赤字が増える傾向があることから、やはりアメリカは徐々に景気が回復する過程に入ったということなのでしょう。

 こうした経済状況をふまえ、FRBは3月中旬の公開市場委員会でアメリカ経済について「緩やかな成長を続ける」との見通しを示しました。一方で事実上のゼロ金利政策を少なくとも2014年終盤まで継続する方針は続けるとしています。

 この反面、気になる兆候も目立ってきました。インフレです。アメリカではこのところ物価上昇のペースが速くなっています。たとえばガソリン価格は今年に入ってからだけでも約17%もの上昇を示しています(低燃費の日本車はシェア拡大のチャンス!)。それ以外にも食料や衣類など、市民の日常生活に直接関わるものの価格が前年同月比で5%程度値上がりしています。

 FRBがゼロ金利政策を維持していることから、物価上昇を勘案すると実質的な金利はマイナスになっていると思われます。そのため、金融機関などは、低金利の国債などを売却して株式投資等を行なってより高い利益を得ようとしています。さらに借金でレバレッジをかけてリスキーな金融投資等を拡大しているかもしれません。

 他方、ほとんどの市民は、賃金が上がらない中でガソリンや食料などの生活必需品の価格が高騰しているため、景気回復が報道されている割には、生活がむしろ苦しくなっていると感じていると推察されます。事実、ミシガン大消費者マインド指数の3月の数値が対前月でマイナス(75.3→74.3)となったことや、インフレ期待は逆に高まったことなどから、アメリカGDPの7割を占める個人消費が復調したとは言えず、個人消費増→企業設備投資増のサイクルを描く本格的な景気回復が始まったと判断するのは早過ぎるでしょう。

 名目GDPなどのマクロ経済指標や株価などの見た目の数字は良くなってきたけれど、大多数の消費者の景気回復感が乏しい上にインフレが影を落とすという微妙な経済情勢となっています。

(続く)

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