(前回からの続き)
現在、とくに欧米諸国では大規模な金融緩和により大量のマネーが市場にばらまかれています。これらと比較すれば、わが国は通貨供給量を穏当にコントロールしてきたので、為替レートは円高/外貨安のトレンドを辿ってきましたが、とうとう(一部の政治家やマスコミによる「円高=悪」の声に抗しきれなくなったのか?)日銀も大掛かりな金融緩和に踏み切りました(まあ、効果が乏しい上に巨額の為替差損を被るリスクの高い政府・日銀の「外貨買い/円売り介入」よりはマシと思っていますが・・・白川日銀総裁の本音をぜひ伺ってみたいところです)。そのため、わが国は、株価上昇等の金融緩和効果を享受しつつも、マネー過剰散布の悪影響、つまりインフレに細心の注意をはらう局面を迎えたといえるでしょう。
もっとも、欧米諸国は近いうちにさらなる金融緩和に追い込まれるものとみています。ヨーロッパではギリシャおよび他の重債務国のソブリン危機が再燃し、ECBは「最後の貸し手」としてこれら諸国の国債を買い支えることになるでしょう。アメリカも、ヨーロッパの金融危機の飛び火などで金融システムが動揺し、FRBはさらに多額のマネーを市中に供給せざるを得なくなるでしょう(いわゆるQE3の発動ですね)。繰り返される金融緩和によるマネー大増刷の果てにあるのは「ハイパーインフレ」です。実際、欧米諸国はひょっとしてこのハイパーインフレに向かっているのではないかと大真面目に心配しています(ちょっと大げさかも?)。
わが国は、インフレの恐ろしさと円高メリットも十分に認識しつつ、日銀には中央銀行としての本来の目的「物価の安定と金融システムの安定」(日銀HP)に基づく金融政策の堅持を期待し、副作用の大きな金融緩和競争へのこれ以上の参加には慎重であってほしいと思っています。
(「【インフレ注意報発令】日銀金融緩和の副作用」おわり)