(前回からの続き)
以前から、EU(欧州連合)との合意無き「Brexit」(英国のEU離脱)も辞さないと強気に訴えてきたボリス・ジョンソン英保守党党首が先日、正式に首相に就任したわけですが、Brexit期日が3か月後に迫り、交渉相手のEUが現離脱協定の見直しはしないと断言する中、新首相にできること、というより受け入れざるを得ない展開はひとつしか考えられません、あくまでもこれまでの主張を曲げないのならば。すなわち時間切れで「ハード・ブレグジット」(EUと何らの合意をしないまま、期日経過後に英国が自動的にEUを離脱すること)となる、という流れです・・・
個人的には、いまだに「まさか」とは思いますが、ホントにそうなる可能性を相当の確率で見込む必要が出てきたように感じます。前回綴ったように、あれだけ現協定案を批判し、だからこそ多くの支持を得て首相の座に就いたジョンソン氏が君子豹変して、その4回目(!?)の議会承認を図るとはまず考えられないし、だからといって対案を作るには時間がなさ過ぎるし、そもそもEUは、他はない!とクギを刺しまくっているわけで、であれば残るは・・・となるのが自然な成り行きに思えてしまいますが・・・
・・・っても実際には、これまでの経緯からみて、この先は紆余曲折でしょう。まず英議会は合意の無いBrexitに猛反対するはずです。そこで野党議員らは首相に対する不信任を動議し、これが成立してしまうかもしれません・・・し、ひょっとしたら保守層の一部もこれに乗っかるかも? これに対してジョンソン氏らは・・・一か八かの(?)総選挙に打って出る可能性もありますね。で勝算は?ですが・・・英高級紙「オブザーバー」の5月の世論調査によれば、ジョンソン氏が属する保守党の支持率は11%で、EU離脱是非を問う2回目の国民投票等に前向きな最大野党の労働党(21%)を大きく下回って全体の4位・・・と一見、厳しそうです。でもこれ、あくまでもメイ前党首の頃の支持率であり、いまはジョンソン新党首に代わっているし、そして微妙なのが・・・同調査結果でトップ、34%もの支持を得たのが・・・何と「ブレグジット党」つまり早期Brexit達成を掲げる政党となっている点。つまり現時点でも英国民の1/3以上は上記協定のあるなしとは無関係にBrexitを願っていると読めます。であれば、ジョンソン氏や保守党は、Brexitに限れば、支持率1位のブレグジット党と共同歩調をとることも不可能ではないだろうから、このまま突っ走ることができてしまいそうです、たとえEUとの合意がなくても・・・(?)
といった具合で、Brexitを巡って何ともスリリングな展開が予想される今後の英国ですが、わたしたちはこれをクールな目線でとらえるべきでしょう。つまり・・・Brexitにともなう損失を回避するため、少なくとも経済面では「Jaxit」―――日本の英国からの脱出―――をできるだけ早く進めるのが得策だということです(?)。