(前回からの続き)
ギリシャ債務の抜本的な解決策が打たれることはなく、問題が先送りにされ続けたあげく、EUは近い将来、手の施しようがない事態―――イタリア等による多額の金融支援要請、ESM(欧州安定メカニズム)の資金枯渇、一部の国(おそらく経済力がフランス以上の国)のEU離脱、などなど―――に至り、ECBが債務埋め合わせの通貨増刷に乗り出すしかなくなって・・・結局、インフレで沈んでいく―――というのが個人的なEUの未来予想図です。現時点で、この予報を修正するべきあらたな動きは・・・残念ながら見られませんね・・・(?)
本稿の最後に、上記と日本について考えるところを申し添えたいと思います。わが国の国家債務の対GDP比率(236%:2017年)がギリシャのそれ(182%)をはるかに超えて世界ワーストであることを指摘し、「日本もギリシャの二の舞になりかねない」みたいな悲観論があります。あらためていうまでもなく、この日本とギリシャの比較は意味がなく、したがって悲観するべきポイント(下述)を誤っているといえます。上述のように、そして先般こちらの記事で述べたとおり、日本はその債務を自国民によってファイナンスしてもらっており(日本国民が日本国債を買っており)、大半を対外マネーに頼るギリシャとは対極にあるわけです。そしてわたしたちが日本国債を買うのは、何も国家に強制されているのではなく、それが合理的だから―――実質金利が最も高いから(円>ドル>ユーロ>新興国通貨)―――にほかなりません。
とはいっても、この世の中に100%リスクフリーの経済とか資産などはあるはずがなく、その意味で上記の慎重な見方があるのは分かります・・・が、問題は、日本が危ないというのならどうしろというのか?ということ。まさか、円からユーロ建て資産にマネーをシフト?・・・って、上記からすれば、あり得ないでしょう? どう考えても日本よりEUとユーロのほうがアブナイのですから・・・
では、ドル&アメリカは?って、まあ・・・ユーロ&EUよりはマシな程度で、円&日本には明らかに及びません。ドルは円よりも下位にある(実質金利はアメリカは日本の下)---ドルの信認は日本が買い支えているから保たれている面があるためです。それにこちらの記事等でしばしば書いているとおり、ドルにはEU危機の波及リスクを含めた様々な価値低下(インフレ)要素があるため、事と場合によってはユーロ以上に値を下げるかもしれませんし・・・
以上からすれば、わたしたちが警戒するべきは、日本国債の暴落(長期金利の急騰)などではなく、いま手にしているユーロやドル建ての資産の先行きのほうでしょう。したがって、もっとも強い日本に対して悲観するくらいにリスクに敏感ならば、これらの価値暴落を真っ先に恐れ、これらをいまのうちに売り抜け、それで得たマネーで・・・円以上に安全な「金」(ゴールド)を仕込む、という選択以外にないのでは?
というように、わたしたちが合理的に(?)悲観するべきは、ギリシャでありEUであり、そして・・・ですからね(?)。
(「これから始まる?真のギリシャ危機」おわり)
金融・投資(全般) ブログランキングへ