木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

日本の岐路「新自由主義」との決別

2017年07月25日 | Weblog

「国鉄分割・民営化」は新自由主義の先駆けだったと鎌倉孝夫埼玉大名誉教授
1973年の第一次オイルショック以降、世界的にスタグフレーション(不況時に物価が上昇する現象)が始まり、物価上昇と不況の深刻化でそれまでのケインズ主義による経済政策は機能不全に陥った。
ところが日本はそこからいち早く抜け出す。労働運動を抑え込み徹底した合理化と減量経営によるコスト切り下げで乗り切るのである。輸出産業の中心、自動車、造船、鉄鋼、電機などの大企業の労組に協力させる。現在の連合の中心を担う同盟系の労組を抱き込んで、労働者を犠牲にしながらコストダウンをはかる新自由主義路線の始まりだ。
米国ではレーガン大統領、英国ではサッチャー首相、日本では中曽根康弘内閣による新自由主義政策。①公的事業の解体・民営化と不採算部門の切り捨て②社会福祉・教育の財政支出の削減と「自助努力」の協調③規制緩和の推進。
現在まで続くこの政策の下、まだ資本の支配が及んでいなかった官公労組合、特に国鉄労組が狙われた。鉄道の公共性を否定し資本の利潤追求の場に変え、抵抗する組合に対して徹底的に攻撃した。
資本による「搾取の自由」を最大限保証する新自由主義を推進すると必ず暴力が伴う。新自由主義の自由とは「カネ儲けの自由」、「弱肉強食の自由」であり、それを「能力主義」、「競争原理」という名目にすり替え、労働者の団結を破壊した。
国鉄は当時実質的資産が200兆円ありながら「37兆円の赤字で倒産した」として偽装倒産が行われた後、全員解雇、JRへの選別採用という不当労働行為により「分割・民営化」が強行された。
マスメディアと結託し、ヤミ・カラだとして既得権をはく奪、組合差別による仕事取り上げと配置転換、業務命令の乱発と従わなかった組合員に対する恫喝、組合脱退や退職の強要など国家による不当労働行為・人権侵害が横行。
85年から1年半の間に判明しているだけでも65人の自殺者が出た。
そして今、JRは豪華列車と新幹線を競い、地方では交通の要としての鉄道を捨て去ろうとしている。
政治学者の原武史はそうした日本の鉄道の在り方に対して他のアジアの国、中国、台湾、韓国に目を転じて見れば新幹線が開業する一方、在来線の特急や急行を無くしていない。新幹線でしか旅行できないダイヤにするのではなく、どういうサービスを優先させるか個人の判断にゆだねていて、それは当局が安く行きたいとか旅情を楽しみたいという客にも配慮しているからだと指摘している。
長野県は信越本線の一部区間廃止を許してしまった。スキー客を乗せた夜行列車は走れなくなった。昨年1月軽井沢の国道18号碓井バイパスで起こった転落事故は改めて運転手のハンドル一つに乗客の命が託されているバスの怖さを印象付けたとも。
全てを資本に都合のいい「モノ」とみなす「新自由主義」に流されるだけで生きるのか、日本の岐路である。

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