庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

安倍政権の政策は国民の安心感を増やすのとアベコベだ。

2014-05-15 | 暮らし・健康問題

豊かな国民生活は、ある程度の「国内総生産」[GDP]によって成り立つことは言うまでもないが、究極の目標ではない。

日本の場合は、与えられた国土と気候を活かしながら、「快適な生活を持続できる」ことが、一番に優先されなければならない。

それ故に、「エネルギー基本計画」においては、『安心感のある国内自給可能なエネルギーによって立国』する、社会的な環境を創り上げることに尽きる。

この目標にすれば、「原子力発電」に依存する選択はあり得ない。

 

その上で、持続できる豊かな社会の基盤としては、『優れた人材の層が厚く維持される』ことも重要な目標になる。

安倍政権は、「国土強靭化」戦略と称して、またまた、「コンクリートに依存した景気対策」を最重点に打ち出して、先祖がえりをしてしまった。

自民党政権の最大の失政は、人材育成への配慮が希薄で、硬いモノ、国土をコンクリートで覆うことや、目につき易い「ハコモノ」やインフラの公共事業ばかりに取り組んできてことにある。

 

その一方で将来の国を支え、付加価値を生み出す人への投資がおろそかにされてきた。

長年に渡って、少子化の弊害が訴えられてきたにもかかわらず、出来ることさえ有効な施策を打ってこなかった。

端的にいえば、「共働き世代が増えて育児の苦労が増える」コトに対する支援政策実現が、全くお粗末な状態である。

未だに、各地での「保育園の不足」による待機児童の問題が解決できない。

無用に近い公共施設のハコモノを作る補助をしながら、保育園の充実も出来ない政権は、情けないばかりの政策実行能力である。

 

安倍首相は、日本をもっとも仕事をし易い国にして行く、と意気込むが、その中身は産業界が人を解雇し易くして、雇用の柔軟性を高めようというのである。

これでは、働く人の職場の安定感が減るばかりで、解雇されるリスクが増えるので、それこそ『子育ての意欲』が減少させる政策の典型であろう。

それでなくても、現在の少子化の原因である、「特殊出生率」は1.42のレベルで、人口構成は高齢化するばかりである。

特に、仕事をし易い環境にある東京都が一番、特殊出生率が1.1以下であって、大企業が仕事をし易くすることは、人口減少に拍車をかけるのだ。(続)


目先の経済成長の数値ではなく実質の国民の豊かさを。

2014-05-14 | 暮らし・健康問題

安倍政権の最優先政策は『デフレ脱却』によって、産業の活性化を図って経済成長と進めることにある。

資本主義社会をとる国では、確かにデフレ経済は産業を委縮させるばかりでなく、社会的弱者にしわ寄せがいって、底辺での生活を強いられる人が増加する。

日本は20年近くに渡って「デフレ経済を克服することが出来なかった」。

この重要問題を従来の様な経済対策や、規制緩和による構造改革などで、こう着状態を乗り越えようとしたが、果たせなかった。

 

デフレ経済では、恒常的に物価の下落や停滞が起きる。

需要が飽和した先進国経済では、物価の下落は経済活動の縮小を引き起こすので、とにかく物価上昇を金融政策で引き起こすことが、提言されてきた。

その目的のために「超金融緩和」によって、市場に潤沢なお金が供給されれば、物価上昇への圧力が高まって、インフレ傾向に市場がなる筈である。

しかし、実際に起きた現象は、「超金融緩和」の動きを、金融資産の値上がり、バブルの好機と見た、外国資本の流入が起きて「円安誘導」がおきた。

これにより、輸出企業が有利な状況で、輸出促進が起きることになった。

 

しかし、日本はすでに貿易立国の構造ではなく、多くの生産拠点は海外に移転している。

輸出は増えても、輸入品の値上がりの影響の方が大きく、貿易収支は大幅な赤字の転落してしまった。

海外に進出した企業の利益や、海外への投資・債権の利益を還元する「所得収支」が、日本の収入の大きな割合担っているのである。

それで、金融関係企業や大手企業は利益が最大に回復したのも事実である。

安倍政権は、この事態と自分たちの政策の効果だと、満足げに披露している。

 

デフレ経済の停滞した気分を塗り替えたかもしれないが、本当の国民生活への恩恵はほとんどない。

「国内総生産」[GDP]の数値は、20世紀の時代には、国民生活の豊かさにつながった。

しかし、グローバル化して先進国経済では、一部の超富裕層、大企業資本が裕福になるだけで、そのお金は国内に還元されずに、海外での投資資金に向かう。

日本の1月~3月の[GDP]は前期比で2%成長し、年率換算で5.9%だと発表されたが、国民の9割は[GDP]成長とは関係なく、貧困化している。


これからの最重要指標は安心できる社会の構築である。

2014-05-13 | 暮らし・健康問題

国が豊かになることは、国民生活に還元されて快適で健康的な暮らしができる明かしであった。

しかし21世紀の社会では、国の豊かさを現わす[GDP](国内総生産)の指標は、国民の生活環境の充実とは関連が薄れている。

政府がひとつの政策を実施しようとして、[GDP]の増加になるから、この政策方向は正しい、と主張しても通用しない時代になってきたのである。

典型的な事例を次に挙げてみよう。

 

日本における電力政策は、今までの説明では、日本の産業と国民へのインフラサービスとして、「安定供給・安価」を謳い文句にして決められて来た。

それが、日本の原子力発電を主力の電源とする「国民への説明」の根幹である。

しかし、【肝心の安全性に大きな手抜き】があって、「安定供給・安価」の主張に信用がなくなっている。

政府と電力会社は、原発を廃止すると、経済成長を阻害する原因になって[GDP]を減少させる原因になるとしている。

 

つまり、[GDP]の減少は、国民の豊かさの減少につながるから、とにかく安全性の基準をクリア―した原発は、【再稼働させる】のが豊かさにつながる。

この論法は、「国の豊かさ≒国民の満足」という、硬直化した考えである。

先進国としての成熟した社会で、わずかの経済成長の有利さを追求するよりも、国民が切望する「安全、安心のエネルギー供給」を、最重点の政策に据える時代になっている。

出来る限り【安心感の少ない原発依存】から脱して、産業界も国民生活でも『原発ゼロの電力社会』を実現するのが、「社会進歩指標」面での充実ができる。

 

日本は地震・津波の被害が多く、毎年の様に大型台風が襲来する厳しい自然条件の国である。

その一方で、雨量に恵まれて「作物の生育に適した気候」であり、山間部にはゆたかな森林が再生する「森林資源大国」である。

さらに四方を豊かな海と海流の恩恵で、世界でもまれにみる漁業資源の宝庫でもある。

それを一次的に放棄してしまい、先進国に追いつけ、追い越せとばかりに、「国内総生産」[GDP]の増加ばかりに集中してきた。

やっと、「社会進歩指標」の様に、真の豊かさ、快適な生活を求める時である。


国の豊かさではなく国民の豊かさの指標は別にある。

2014-05-12 | 暮らし・健康問題

一国の全体の国内総生産[GDP]の順位が上位だからといって、国民が豊かで快適な生活が出来ているとは言えない。

中国の様な統制の強い国での生活は、精神的にも健康状態も、開発途上国の段階の低レベルであろう。

アメリカの生活も、国連の定めた「人間開発指数」では、世界第3位にさがり、別の指標である「社会進歩指標」(ソーシャル・プログレス・インデックス)では、132カ国のなかで、16位に甘んじている。

 

この「社会進歩指標」は豊かな生活という観点からの評価が含まれて、アメリカ人の健康は70位、衛星の普及34位、基礎教育39位、個人の安全では31位。

つまり、国全体での富裕度は世界一でも、1%の超富裕層に大半の富が集中し、国の政策では軍事費に回すお金が多すぎて、他の政策面はおろそかになる。

この指標を統括しているNGOの責任者は、これまでは「子供たち」よりも、「無人機」にお金をかけるアメリカの現状を、社会サービスの削減で、社会はもろくなっていく、と批判している。

 

この「社会進歩指標」の上位は、1位のニュージーランド、以下、スイス、アイスランド、オランダ、と続いている。

国民の快適な生活を優先し、ニーズに応える社会を作っているモデル国だ。

この指標では、中国は90位に甘んじ、大国のロシアは80位である。

ハーバード大学の経営学教授で共和党員であるマイケルポーター氏らが、2年を費やして、多くの要素を反映したデータに基づいて、この指標を作成した。

もとの狙いは、経済を成長させる研究をし続けた結果、学校教育や健康面や社会的な要因が、経済成長を支えていることにたどり着いた。

 

それでは、世界3位の[GDP]の国、日本は「社会的進歩指標」では、どうか。

アメリカよりも、かろうじて上位の14位に留まっている。

1990年代のバブル崩壊以後に、社会的な不公平の増大や、非正規社員の比率増加などの、社会的な不安、不満が増加していることが原因になっている。

自民党政権の「既得権益の守旧産業」の保護や、原発利権重視のエネルギー政策にゆがみで、社会的サービスの欠如が、放置されてきた影響も大きい。

その結果は、世界で最低水準の出生率であり、晩婚化によって、若年世代の恒常的な減少のよって、地域社会の慢性的な衰退がおきている。

この取り残された社会的サービスを充実させるのが、政府の最優先課題である。


国の豊かさを現す指標は?

2014-05-11 | 暮らし・健康問題

日本は今では世界第3位の国内総生産[GDP]のレベルになっている。

一時期は、世界一のアメリカについで、[GDP]第二位の経済大国となり、国が豊かになったと感じていた。

しかし、1990年代のバブル崩壊以後は、豊かさの指標として[GDP]だけを追求するのは、どうも違っているのではないか、という疑問が生まれてきた。

現在は中国が台頭して、世界第二位の地位を奪っているが、2000年以降に急激な経済成長を果たして4倍の[GDP]水準になっている。

だから中国は豊かな国と言える、とはだれも思わなくなっている。

 

[GDP]は一国の経済活動の尺度として、規模を評価する効果はあるが、生活水準や豊かさとは、直接の指標ではない。

一人当たりの[GDP]でいえば、アメリカの様は中国よりも5倍の高さで、日本が中国に抜かれることは当分はない。

国の豊かさとは別に、国民の生活が豊かであるかは、経済的な成長度だけではなく他の尺度のレベルに注目すべきであろう。

国連が定めた「人間開発指数」での評価では、中国は世界186カ国中で101位と低レベルで、開発途上国の段階にある。

 

日本の成功にならえとばかりに、隣国の韓国では経済成長の加速を目指して、大資本を優遇し、国家戦略的に財閥の企業活動を支援してきた。

貿易立国の先進的取組を重ねて、世界の貿易中継基地の成功事例では、日本の遅れが批判される事態になったりもした。

しかし、この度の旅客船沈没事故によって、その基盤となる産業活動が「安全性の追求をおろそかにして経済性を極短に重視」した、砂上の楼閣に等しい。

自由貿易の追求の美名も元に、大資本権益事業者が潤い、国内の小規模企業や農業事業者は斬り捨てられた様な、ゆがんだ経済成長であった。

 

アメリカは、いまだに経済大国の抜群の実力であるが、軍事力の世界一を維持するために多大の国費を投入している。

世界一の経済力は、1%の超富裕層をさらに豊かにする政策が優先される仕組みになっている。

[GDP]が世界一の超大国であっても、99%のアメリカ国民は、世界一の豊かさの恩恵を受けるわけではない。

「人間開発指数」では、アメリカは3位だが、他の指標では16位のレベルだ。


1990年代の不良債権処理先送りが経済停滞を招き、再び?

2014-05-10 | 核エネルギー・原子力問題

東京電力管内では、すでに福島県の原発の6基は廃炉に決定し、福島第二原発の4基に対しては、県民の意思は廃炉にするコトで一致している。

この影響で、すでに新規発電事業者の参入計画が相次いで、設備投資が活発になる効果を説明した。

さらに、新潟県の柏崎原発も7基あるうちの大部分は、廃炉にせざるを得ない段階になる。

東京電力管内は、原発ゼロで十分に電力供給は可能になり、さらに、新規参入の発電事業者との市場競争の喚起によって、電力料金も値下げ出来る。

 

この日本の中央部における電力事業改革の潮流に対して、関西地区は大幅に遅れているのは、どうしたわけであろう。

関西電力の美浜原発1~3号機は、すでに37年から43年を経過している。

建設時の投資は十分に償却済みである上に、このママ中途半端に保守していても経費がかさむだけである。

廃炉に決定しても、廃炉の損失処理は昨年秋に改訂された新ルールで、複数年で処理すれば、電力企業の大きな負担はない。

 

さらに、高浜原発1号機(39年)、2号機(38年)の老朽機も廃炉にすべきだ。

大飯原発1、2号機(34年)も追加の安全対策をしても6年間の稼働で廃炉にすべき対象になる。

この様に関西電力管内では、7基の原発が早期に廃炉決定となるから、その代替になる火力発電設備を、新規参入の発電事業者に開放して行くべきだろう。

この決定は、関西電力会社側からは、持ち出せない状態だから、関西電力管内の自治体と国が関与して、強く要請を出すべきである。

この決定によって、関西電力管内でも発電事業への投資が活性化して、地元への波及効果も大きいだろう。

 

この様な経済効果の大きい政策決定が、安倍内閣の曖昧な電力政策によって、引き延ばされている。

その間に電力会社が自己防衛のために、原発再稼働に向けた安全対策投資が、無駄になる可能性が大きいにもかかわらず、ずるずると継続されていく。

最終的には、国の役割は、原子力規制委員会の安全審査に合格したならば、「再稼働を認める」というポーズだけの電力行政に留まる。

それは、何もしないで【不良債権処理】を先送りしたことを同じ過ちである。


従来の常識を超える政策の実行が将来への展望を開く。

2014-05-09 | 快適エネルギー社会問題

日本のデフレ経済を克服する最優先の政策は、「長年に渡って放置されてきた賃金減少」を、何を差し置いても対策をすることである。

安倍政権もやっとそのことに気がついて、今年の4月のベースアップには、政府としては最大限の介入を実施した。

マスメディアの石頭の論説委員などが、賃金交渉は労働側と経営者側の交渉で決めるのが原則で、政府の介入は異例だと批判的だが、それは時代遅れだ。

成熟した資本主義社会では、政府が積極的に賃金上昇に関与するべきなのだ。

 

エネルギー基本計画においても、政府が脱原発依存を明確にうちだせば、電力企業も原発設備の非合理性を理由に、撤退作戦に転じることができる。

しかし、電力会社の目先の経営にとっては、原発の維持がもっとも合理的な経営上の判断になるので、撤退の選択はできない。

新規制基準の中途半端な安全対策の実施を隠れ蓑にして、ずるずると原発を維持して、無駄な安全対策への投資を続ける状態では、経営刷新は無理である。

今こそ、原発事業の後始末に先陣を切って、政府が関与して撤退作戦を打ち出せば、経済への活性化効果は驚異的に起きる。

 

既に東京電力管内では、新規の発電設備への新規参入と投資計画が軒並みに生まれ、実現へ向けて競争が起き始めている。

その最大の理由は、原発の廃炉が確定している【東電管内の600万KW】の電力供給の置き換えが狙いである。

福島第一原発の1号機~4号機は大事故で、5号機6号機は廃炉処理決定で、600万KW以上の電力供給の補填が必要になった。

さらに、電力事業の改革で発電事業の新規参入を促す制度の改革が進みだして、新規事業へのハードルが引き下げられ効果である。

 

従来は、原発廃炉は経済的にマイナス効果とされてきたが、「創造的破壊」でなくても、従来の権益破壊で参入機会を増やせば、経済活動が促進されるのだ。

最新鋭の天然ガス発電所の設置には、沿岸部に適地を持った企業が多く、製鉄会社や製紙会社が、この機会に発電事業参入を図っている。

ガス会社も既存の設備を活かしながら、発電事業への参入の絶好の機会ととらえ、新規投資の拡大を計画している。

原発設備を維持するよりも、圧倒的に総需要の喚起と、周辺地域への経済波及大きいのが原発撤退戦略の効果であるから、経産省も考え直す時期であろう。


総需要不足を補う政策の常套手段はケインズの古典的手法。

2014-05-08 | 経済問題

日本の経済が長い間、停滞したままデフレ状態に落ち込んで20年近くなる。

その対策として、超金融緩和による株式バブル、富裕層資産バブルを起こして、気分的な景気浮揚には成功している様だ。

デフレ状態に落ち込んだ最大の原因は、【賃金の継続的引き下げによる購買力の低下】で、国民に消費力が落ち込んだママの【賃金デフレ】である。

安倍政権は、円安誘導によって業績が一時的に回復した輸出関連企業に、ベースアップの要望をしてみたが、企業はホンのわずかだけの賃金アップに留めた。

 

この様な微々たる賃金上昇では、「4月からの消費税アップ」によって、実質賃金はマイナスであるから、消費意欲縮小せざるを得ない。

一次的な株高景気や輸出企業の業績回復はバブルであるから、そのうちに凋んでしまうのは確実である。

そこで、安倍政権は昔からの常套手段である[ケインズ政策]を手広く始めた。

これは、マスメディアで報道されている「各地での公共事業」のことを言っているのは当然であるが、それだけではない。

【隠された公共事業による総需要の補填】が、安倍政権の特徴である。

 

国土強靭化と称して、従来では公共事業の対象にならなかった土建事業も、大量の国債を発行して予算の大判な振る舞いをしている。

これらは、万が一の災害を減らす意味合いで、それなりの意義はあるが優先度が高い事業とはいえず、経済への波及効果はほとんどない。

そこで、安倍政権は、原発の安全対策も【公共事業の一部である】と想定して、電力各社が「再稼働に向けて安全対策工事」を目論んでいることを容認した。

原発の安全対策費用は、2013年1月では約1兆円であったが、安倍政権は原発再稼働の容認に前向きに転じたために膨張し始めた。

 

2014年1月で約1.6兆円に膨張し2015年には、2兆円以上になる。

特に、中部電力の浜岡原発の安全対策は3000億円以上になり、それが実施された後に、2016年1月に再稼働の承認を得ようとしている。

この日本中で一番危険性の高い、且つ、大事故の被害が甚大であることが予想される原発を、あえて再稼働させる必要性は全くないのに、である。

これは、「公共事業による総需要増加」の効果を目論んで、無駄に終わることを承知の上でも、「穴を掘って、そのあと埋めるだけ」の事業のなのである。

これを「ケインズ政策のムダ」と言われる典型的な【最悪の景気対策】である。


自民党の政治家達は老人よりも頭が老朽化している様だ。

2014-05-07 | 快適エネルギー社会問題

安倍内閣の守旧派ぶりは「エネルギー基本計画」の中身が、旧時代の産業を守ることばかりを優先していることで、明確に国民に示された。

原発の既得権益に固執する勢力におもねっていることは、日本の将来への新産業を生み出すことにブレーキをかける効果が絶大である。

「創造的破壊のイノベーション」を起こして行く姿勢が、他の先進諸国に比べて頭が1990年代に停止したままの様である。

これでは2020年には、日本の新産業は完全に立ち遅れるであろう。

 

その最たる懸案は、原子力エネルギーに対する方針が、安倍内閣になってから迷走状態を続けて、政策がさらに旧時代に戻ってしまったことである。

昨日のブログに書いた様に、原発への依存度を下げると言いながら、廃炉にする優先度や道筋を全く提示出来ないでいる。

使用済核燃料の後始末は、再処理をしてプルトニウムをとりだす方針にしがみつき、とにかく先送りをする無策ぶりだ。

原発の再稼働を言いながら、原発敷地内での使用済み核燃料の置き場は数年以内に満杯になってしまう。

 

この事態には、1990年~2006年までに、日本の政治改革に少なからぬ功績のあった元首相の二人が、過去の人と言われようと黙っていられなくなった。

前回は、東京都知事選挙という、場違いでの戦術をとって、『脱原発』の主張が空回りになってしまった。

それでも、基本的な方向は、脱原発を明確にした候補者の得票総数は7割以上に達して、東京都民は原発依存を拒否したのである。

ところが、【モノゴトが見えないマスメディア】は、脱原発路線が惨敗したと報じて、曖昧な安倍政権に追い風を送る不始末を露呈している。

 

その後のあまりにテイタラクな安倍政権とマスメディアの守旧ぶりに、「創造的破壊」をもたらす原発ゼロの方向を旗印に、再挑戦をするコトになった。

多くの著名人(ほとんどは老人)が、発起人、賛同者に名を連ね、今度は選挙ではなく国民運動にして、原発の廃止を迫る世論を盛り上げていく。

これに対して、老人の暇つぶし、タワゴトで、意に介さないフリをしている政治家達は、モノゴトが見えなくなっている老朽化した石頭である。

古い設備、考え方を「創造的破壊」の対象として、日本中の若者も老人も女性も、じっくりと考える機会を増やし、イノベーションに向かう時である。


政府が原発の老朽機の廃炉方針を決めないから電力は停滞。

2014-05-06 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権の「エネルギー基本計画」では、原発は安全性を最優先事項としながらも、世界一の安全基準に沿って厳格に審査し、基準に適合したら再稼働を認める、としている。

【あと5年以内で40年を迎える原発】の「追加の安全対策」をするかどうかを、電力会社としての経営上の判断に任せてしまった。

国民の大多数が原発の廃止を要望し、残りの原発維持路線を支持する国民も、原発への依存度を可能な限り少なくして行く事を期待している。

 

だから今回のエネルギー基本計画では、35年以上経過した原発は廃炉にするとの方向を政府として打ち出せば、電力会社は原発依存を減らす覚悟ができた。

ところが政府は、電力会社の経営上の問題として、逃げの姿勢を示したので、「関西電力の原発7基の処遇が、中途半端な状況におかれてしまった。

美浜1~3号機(44年~38年)、高浜1,2号機(40年、39年)、大飯1、2号機(35年)の老朽化した原発の、再稼働を無理にしてもすぐに寿命になる。

この7基を、無理やり稼働させても、電力コストが下がる見込みはない。

 

東京電力の原発は、福島第一では、1~4号機が大事故で廃炉、5,6号機は、汚染水処理の不始末の影響で廃炉に決定した。

福島第二原発の1~4号機も、福島県全体に県民の意思を尊重すれば、当然、廃炉に決定すべきである。

残りの新潟県の柏崎原発は1~7号機は、地元の信頼を失って、再稼働の同意を得ることは困難な状況である。

結局、東電の管内では原発ゼロが定常化しているので、このママ、代替電源へのりプレースを「経営の最優先課題」にすべきなのである。

しかし、安倍政権が曖昧な姿勢のため、迅速な経営判断にブレーキがかかった。

 

他の電力会社も、30年以上の老朽機を抱えているが、安倍政権の再稼働の方針がホンモノであるか、その場しのぎのポーズであるか、不信な状態だ。

この様な状態が続けば、電力会社としての廃炉方針が決められずに、置き換えの発電所計画に優先度をつけるわけにもいかない。

電力会社の経営刷新と、技術革新への投資の決定が先送りされ、ただ、発電送電の分離の制度だけは進んで行く。

再生可能電力事業への参入意欲を持った気鋭の経営者も、このママでは本格的な投資の時期を判断できず、経済活性化に有効策が打てない状態が続く。


安倍政権の既得権重視の政策では経済停滞を招くばかり。

2014-05-05 | 経済問題

経済の活性化を最優先するとして安倍政権が発足してから、既得権を持った組織ばかりが恩恵を受けている。

超金融緩和による円安誘導では、株式市場にお金の流入を招く効果で、株高を起こさせて大企業とそれを取り巻く金融関係業者が、既得権を回復して潤った。

一般国民と中小企業、農林漁業関係者は、輸入品の高騰の影響で損失を受けるばかりで、ほんのわずかの収入アップのしずくが、滴り落ちる程度である。

 

日本の企業が一番活動し易い国にするとして、経済成長のためには大企業の負担をさらに減らしていけば、投資を活発にすると意気込む。

しかし、大企業の投資の大部分は海外事業に向くばかりで、新規需要が見込めない段階では、国内への投資はわずかである。

仕方なく、自民党政権のお家芸である「国債増発による公共事業のバラマキ」を始めて、災害に強い国を作ると言い出した。

これで、既得権の象徴である土建業界が好景気になったが、肝心の技術者や職人が不足して、工事は軒並み、遅れるばかりである。

 

やっとエネルギー政策の出直しで、「再生可能エネルギー産業」の育成を打ち出すと期待されたが、相変わらずの原子力産業界への配慮ばかりが目立つ。

「エネルギー基本計画」では、原発の温存と規定路線の再処理事業で、延命策ばかりが強調され、原発業界への救命政策ばかりが並ぶ。

オマケに、世界の潮流に逆らって石炭火力発電に力を入れるとして、重厚超大産業への配慮が優先し、次世代の重要産業になる「再生可能エネルギー」への取り組みは、中身の薄い口先だけの「最大限加速する」との一文だけしかない。

これほど、旧来の既得権業界への配慮ばかりでは、新進気鋭の経営者や新規投資を構想する企業がいても、日本国内への本格的な投資は見送るであろう。

 

資本主義の停滞は既存産業が成熟した段階から起きて、それを打ち破るのは、『想像的破壊を引き起こす』しか、突破する方策はない、とされている。

これは、有名な大経済学者のシュンペーターの学説だが、世界の先進国はこの「イノベーションに挑戦する」ことが、最大の課題になっているのだ。

しかし、安倍政権の実施していることは、株式バブル、不動産バブル、金融バブルを引き起こして、寿命を迎えた旧来産業を延命しているだけである。

自民党の体質は、イノベーションを起こす気質の薄い政治家の集団である。

革新を起こそうとした「革新勢力」は、失敗に懲りてダンマリをするばかりだ。


安倍政権の自治体軽視の姿勢は将来への禍根を残す。

2014-05-04 | 快適エネルギー社会問題

「エネルギー基本計画」において、原発は重要なベースロード電源と宣言しているが、肝心の放射性廃棄物の最終処分の方法や処分地は未決定のままである。

また、運転開始から35年以上経過している原発の廃炉処理も、電力会社の都合を優先させて、廃炉処理を計画にいれていない。

「原発への依存度を可能な限り低減させていく」、としているがどの様な方針の下に原発の廃炉と放射性廃棄物を安全に処理するかは、不明のままにしている。

原子力発電に対する安全性の基準は、多くの国民から信頼を失っているのだから、【35年以上経過した原発は廃炉にする】のが基本であろう。

 

また福島県の様に、地元自治体が県内の原発はすべて廃炉にすべきと要求しているところは、基本計画で廃炉にする方針を明確にすべきだ。

それもしないで、立地自治体には「リスクを押し付ける計画」を決めてしまう様な、【自治体の意思の軽視をするエネルギー基本計画】は、成り立たないのだ。

政府は原発に対する不信感を極力和らげるために、「福島の再生・復興に向けた取組」を、政府の最優先課題としている。

その中身は、1号機~4号機の廃炉・汚染水処理を上げ、原子力賠償、除染、中間貯蔵施設事業、風評被害対策など、原発大事故の後始末ばかりである。

 

これらは、最重要であるにしても、福島県が将来の自立的経済に向かう「新産業の創出」には、成り得ない取組である。

その中で特筆すべき課題は、「福島県沖で実施している浮体式洋上風力発電」の本格的な事業化の実験である。

2018年頃までに商業化を目指すとしているが、その先の目標や具体策は曖昧なままで、これでは口先だけに終わる恐れがある。

商業化の見通しが立った時点で、浮体式風力発電のウインドファーム(100基程度をまとめて建設する)の計画を推進すべきである。

 

福島第一原発と第二原発には、大容量の送電線網が既に敷設されている。

この送電線網を活用して、首都圏に大量の電力を送ることができる様にすれば、福島県側の経済効果も、大きくできるであろう。

この様を計画を「エネルギー基本計画」に入れないのは、いまだに福島県内の原発(福島第二の1号機~4号機)を温存する「地元軽視の姿勢」があるからだ。

これらの原発は既に32年~27年経過した老朽機で、再稼働はあり得ない。

早急に地元の意思を反映して廃炉にし、その後はウインドファームにするのだ。


再生可能エネルギーの促進は自治体の意思で加速できる。

2014-05-03 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権の「エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーの導入目標を具体的に示さないで、最大限、加速していく、としている。

民主党政権が策定した「再生可能エネルギー電力の導入目標は2030年に約2割」としていたが、それを上回る水準の導入量と曖昧にしている。

大震災で被災した岩手県は、2020年には「電力需要の35%を再生可能エネルギーで賄う」という目標を掲げて、国よりもはるかに積極的な取組を開始した。

 

福島県では県内の原子力発電はすべて廃炉にすることを国と東電に求めている。

2040年頃までに福島県内のすべてのエネルギー需要を再生可能エネルギーにすることをビジョンに掲げている。

国の「エネルギー基本計画」においても、「福島再生のため必要なすべての課題に対して地元とともに、国も東京電力もなすべきコトを一日でも早く」とした。

その具体策として「福島再生可能エネルギー研究所」の開所がある。

原子力災害の後始末は、当然の優先課題であるが、同時に「エネルギー産業・技術の拠点」として発展させる、としている。

 

この様に自治体の意思を最大に尊重する姿勢が国に出来るならば、日本中の意欲のある自治体は、「再生可能エネルギー」の開発拠点をして実現可能になる。

長崎県の五島列島には、日本での『洋上風力発電』の将来性を探る実証機が設置されている。

日本の海岸線で、風況が極めて良い環境で、風力発電の設備利用率は40%が期待されて、陸上風力の2倍にもなる。

この実証機での成果を、九州地区の発電量の大部分を「風力発電により賄う」目標を立てれば、九州の一大産業になるであろう。

 

北海道地区は、以前から「風力発電の適地」と言われてきたが、2011年3月までは、北海道電力の都合で、新規の風力発電の建設が抑制されてしまった。

送電線網の弱体を理由にして、原発を維持するためには、「風力発電の増加」は、邪魔になるとしたのである。

いまや、コストの高い「原発を維持する路線」よりも、風力発電を主力にして、需要変動を補う「バイオマス発電」を大量に建設すれば、再生可能エネルギー電力で、北海道の電力需要を賄える様にできる。

国は、本州へ送る送電設備の増強を支援することで、北海道経済の振興を図るべきである。

原発の維持路線は、北海道経済には何の貢献もしない負の遺産だ。


日本のリーダー層は化石燃料依存で化石時代の石頭。

2014-05-02 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権が閣議決定した「エネルギー基本計画」は、歴代の自民党政権が継続してきた「化石燃料依存に頼りっきり」の政策から、何の進歩もしていない。

オマケに、あれほどの大事故を引き起こした「原子力族依存」の既得権擁護体質からも、抜け出すことが出来ないでいる。

世界の潮流は、2000年代初頭から、脱化石燃料依存を明確に掲げて、あらゆる政策を、「再生可能エネルギーを主力」に育て上げる方向になっている。

ところが、日本では「再生可能エネルギーは基幹電力にはならない」との、否定論を掲げる電力企業の「石頭経営陣」の主張に引きずられたままでいる。

 

海外諸国の状況は、ドイツは早々に脱原発依存を国策として2011年に決定した。

それ以前から、「再生可能エネルギー」の普及拡大には、多くの政策的な支援策を講じて、今では、国の基幹電源としての役割を果たしている。

同時に、この再生可能エネルギーの技術開発によって、多くの波及効果を生みだし、雇用創出効果は自動車産業をしのぐ勢いである。

隣国のオーストリアは、森林資源の有効利用を促進して、今では林業関連に先進技術で国のエネルギーと輸出力に増強に貢献している。

 

当初は立ち遅れていたイギリスは、今や『洋上風力発電』の最先進国である。

このブログでも何度か紹介したが、北海側の遠浅の海岸線には、世界最大規模の洋上風力発電のウインドファームが建設された。

この様な新規の投資によって、「電力に占める再生可能エネルギーの割合は、現在11%」である。

これをさらに加速させて2030年には、30%まで引き上げる目標としている。

再生可能エネルギー関連の産業による経済成長率への貢献は3割以上になり、新規雇用は100万人に近い。

貿易収支への貢献も年間で50億ポンド(約8500億円)に達している。

 

日本の電力企業のトップ経営陣は、いまだに【化石燃料の発電】の置き換えにこだわり、【石炭火力発電を主力】にしようと言う、化石人の感覚である。

[CO2排出]が大幅に増加していることに対しては、全く責任感もなく、「原子力発電の再稼働」に反対する国民の責任であるかのような石頭である。

欧州の先進国が、2000年初頭から「再生可能エネルギー」の技術開発と産業化に力を入れてきた経緯に目をそむけて、いまだに、再生可能電力はあてにならないと、否定ばかりする「エネルギー敗戦の責任者」を何時まで居座らせるのか。


世界の先進国としてのエネルギー技術での貢献をせよ。

2014-05-01 | 快適エネルギー社会問題

現在の技術レベルにおいては、電力をもっとも安く供給するには、「石炭火力発電」を増設することが選択される。

しかも、石炭火力発電所のレベルは、発展途上国では【安価な建設費】で成り立つ、【低効率の燃焼ボイラーによる蒸気式発電】である。

この旧式な発電設備では、石炭に含まれる硫黄成分などを状況出来ない為に、発電所から出る排出ガスは、人体に有害な成分が大気中に放出されている。

中国で大量に「石炭火力発電所」から出される排気ガスによって、日本にも「PM2.5」の汚染が拡大されていることも、日常茶飯事に起きている。

 

この様な旧式で低効率な石炭火力発電所を、できる限り「最新鋭の石炭火力発電技術(IGCC)」に置き換える様に支援する意義はある。

途上国などでは、天然ガス発電を導入するには、あまりにもインフラ設備が不足しているし、世界での絶対量が不足するのは、目に見えている。

「再生可能エネルギー電力」を導入できる場合は、そちらを最優先するにしても、発電コストがまだ高い段階では、途上国に強いるのは無理がある。

その場合には「石炭火力発電の最新技術」を積極的に普及させる効果もある。

 

しかし、日本の国内での火力発電を置きかえる場合に、単に発電効率が良いから「石炭火力の最新技術」を使っても、許されるわけにはいかない。

先進国では、2030年までには、「温室効果ガスの排出を50%削減」する責務が、確実に控えているのだ。

石炭火力発電を設置する場合には、今後は、排出する[CO2ガス]を、分離して大気中に放出することはしないシステムを実現しなければならない。

この技術は、先進国では研究をされているが、いまだに実用化された例はない。

 

この様な世界が必要としている技術を、どこよりも早く実現することが、日本に期待されている。

それには触れないで「経済的で現在に発電コストが最も安い】という理由で「重要なベースロード電源」としているのは、意識の低さを現わしている。

今すぐに実現できなくても、例えば2020年以降には、[CO2ガス]が分離されて貯留するシステムを追加で設置できる様に、開発を義務付けるべきである。

この技術が実用化されれば、途上国での石炭火力発電所に順次普及させて行き、

経済性と環境性能を両立させる技術革新に貢献できるのである。