「エネルギー基本計画」において、原発は重要なベースロード電源と宣言しているが、肝心の放射性廃棄物の最終処分の方法や処分地は未決定のままである。
また、運転開始から35年以上経過している原発の廃炉処理も、電力会社の都合を優先させて、廃炉処理を計画にいれていない。
「原発への依存度を可能な限り低減させていく」、としているがどの様な方針の下に原発の廃炉と放射性廃棄物を安全に処理するかは、不明のままにしている。
原子力発電に対する安全性の基準は、多くの国民から信頼を失っているのだから、【35年以上経過した原発は廃炉にする】のが基本であろう。
また福島県の様に、地元自治体が県内の原発はすべて廃炉にすべきと要求しているところは、基本計画で廃炉にする方針を明確にすべきだ。
それもしないで、立地自治体には「リスクを押し付ける計画」を決めてしまう様な、【自治体の意思の軽視をするエネルギー基本計画】は、成り立たないのだ。
政府は原発に対する不信感を極力和らげるために、「福島の再生・復興に向けた取組」を、政府の最優先課題としている。
その中身は、1号機~4号機の廃炉・汚染水処理を上げ、原子力賠償、除染、中間貯蔵施設事業、風評被害対策など、原発大事故の後始末ばかりである。
これらは、最重要であるにしても、福島県が将来の自立的経済に向かう「新産業の創出」には、成り得ない取組である。
その中で特筆すべき課題は、「福島県沖で実施している浮体式洋上風力発電」の本格的な事業化の実験である。
2018年頃までに商業化を目指すとしているが、その先の目標や具体策は曖昧なままで、これでは口先だけに終わる恐れがある。
商業化の見通しが立った時点で、浮体式風力発電のウインドファーム(100基程度をまとめて建設する)の計画を推進すべきである。
福島第一原発と第二原発には、大容量の送電線網が既に敷設されている。
この送電線網を活用して、首都圏に大量の電力を送ることができる様にすれば、福島県側の経済効果も、大きくできるであろう。
この様を計画を「エネルギー基本計画」に入れないのは、いまだに福島県内の原発(福島第二の1号機~4号機)を温存する「地元軽視の姿勢」があるからだ。
これらの原発は既に32年~27年経過した老朽機で、再稼働はあり得ない。
早急に地元の意思を反映して廃炉にし、その後はウインドファームにするのだ。