安倍政権の「エネルギー基本計画」では、原発は安全性を最優先事項としながらも、世界一の安全基準に沿って厳格に審査し、基準に適合したら再稼働を認める、としている。
【あと5年以内で40年を迎える原発】の「追加の安全対策」をするかどうかを、電力会社としての経営上の判断に任せてしまった。
国民の大多数が原発の廃止を要望し、残りの原発維持路線を支持する国民も、原発への依存度を可能な限り少なくして行く事を期待している。
だから今回のエネルギー基本計画では、35年以上経過した原発は廃炉にするとの方向を政府として打ち出せば、電力会社は原発依存を減らす覚悟ができた。
ところが政府は、電力会社の経営上の問題として、逃げの姿勢を示したので、「関西電力の原発7基の処遇が、中途半端な状況におかれてしまった。
美浜1~3号機(44年~38年)、高浜1,2号機(40年、39年)、大飯1、2号機(35年)の老朽化した原発の、再稼働を無理にしてもすぐに寿命になる。
この7基を、無理やり稼働させても、電力コストが下がる見込みはない。
東京電力の原発は、福島第一では、1~4号機が大事故で廃炉、5,6号機は、汚染水処理の不始末の影響で廃炉に決定した。
福島第二原発の1~4号機も、福島県全体に県民の意思を尊重すれば、当然、廃炉に決定すべきである。
残りの新潟県の柏崎原発は1~7号機は、地元の信頼を失って、再稼働の同意を得ることは困難な状況である。
結局、東電の管内では原発ゼロが定常化しているので、このママ、代替電源へのりプレースを「経営の最優先課題」にすべきなのである。
しかし、安倍政権が曖昧な姿勢のため、迅速な経営判断にブレーキがかかった。
他の電力会社も、30年以上の老朽機を抱えているが、安倍政権の再稼働の方針がホンモノであるか、その場しのぎのポーズであるか、不信な状態だ。
この様な状態が続けば、電力会社としての廃炉方針が決められずに、置き換えの発電所計画に優先度をつけるわけにもいかない。
電力会社の経営刷新と、技術革新への投資の決定が先送りされ、ただ、発電送電の分離の制度だけは進んで行く。
再生可能電力事業への参入意欲を持った気鋭の経営者も、このママでは本格的な投資の時期を判断できず、経済活性化に有効策が打てない状態が続く。