豊かな国民生活は、ある程度の「国内総生産」[GDP]によって成り立つことは言うまでもないが、究極の目標ではない。
日本の場合は、与えられた国土と気候を活かしながら、「快適な生活を持続できる」ことが、一番に優先されなければならない。
それ故に、「エネルギー基本計画」においては、『安心感のある国内自給可能なエネルギーによって立国』する、社会的な環境を創り上げることに尽きる。
この目標にすれば、「原子力発電」に依存する選択はあり得ない。
その上で、持続できる豊かな社会の基盤としては、『優れた人材の層が厚く維持される』ことも重要な目標になる。
安倍政権は、「国土強靭化」戦略と称して、またまた、「コンクリートに依存した景気対策」を最重点に打ち出して、先祖がえりをしてしまった。
自民党政権の最大の失政は、人材育成への配慮が希薄で、硬いモノ、国土をコンクリートで覆うことや、目につき易い「ハコモノ」やインフラの公共事業ばかりに取り組んできてことにある。
その一方で将来の国を支え、付加価値を生み出す人への投資がおろそかにされてきた。
長年に渡って、少子化の弊害が訴えられてきたにもかかわらず、出来ることさえ有効な施策を打ってこなかった。
端的にいえば、「共働き世代が増えて育児の苦労が増える」コトに対する支援政策実現が、全くお粗末な状態である。
未だに、各地での「保育園の不足」による待機児童の問題が解決できない。
無用に近い公共施設のハコモノを作る補助をしながら、保育園の充実も出来ない政権は、情けないばかりの政策実行能力である。
安倍首相は、日本をもっとも仕事をし易い国にして行く、と意気込むが、その中身は産業界が人を解雇し易くして、雇用の柔軟性を高めようというのである。
これでは、働く人の職場の安定感が減るばかりで、解雇されるリスクが増えるので、それこそ『子育ての意欲』が減少させる政策の典型であろう。
それでなくても、現在の少子化の原因である、「特殊出生率」は1.42のレベルで、人口構成は高齢化するばかりである。
特に、仕事をし易い環境にある東京都が一番、特殊出生率が1.1以下であって、大企業が仕事をし易くすることは、人口減少に拍車をかけるのだ。(続)