日本のデフレ経済を克服する最優先の政策は、「長年に渡って放置されてきた賃金減少」を、何を差し置いても対策をすることである。
安倍政権もやっとそのことに気がついて、今年の4月のベースアップには、政府としては最大限の介入を実施した。
マスメディアの石頭の論説委員などが、賃金交渉は労働側と経営者側の交渉で決めるのが原則で、政府の介入は異例だと批判的だが、それは時代遅れだ。
成熟した資本主義社会では、政府が積極的に賃金上昇に関与するべきなのだ。
エネルギー基本計画においても、政府が脱原発依存を明確にうちだせば、電力企業も原発設備の非合理性を理由に、撤退作戦に転じることができる。
しかし、電力会社の目先の経営にとっては、原発の維持がもっとも合理的な経営上の判断になるので、撤退の選択はできない。
新規制基準の中途半端な安全対策の実施を隠れ蓑にして、ずるずると原発を維持して、無駄な安全対策への投資を続ける状態では、経営刷新は無理である。
今こそ、原発事業の後始末に先陣を切って、政府が関与して撤退作戦を打ち出せば、経済への活性化効果は驚異的に起きる。
既に東京電力管内では、新規の発電設備への新規参入と投資計画が軒並みに生まれ、実現へ向けて競争が起き始めている。
その最大の理由は、原発の廃炉が確定している【東電管内の600万KW】の電力供給の置き換えが狙いである。
福島第一原発の1号機~4号機は大事故で、5号機6号機は廃炉処理決定で、600万KW以上の電力供給の補填が必要になった。
さらに、電力事業の改革で発電事業の新規参入を促す制度の改革が進みだして、新規事業へのハードルが引き下げられ効果である。
従来は、原発廃炉は経済的にマイナス効果とされてきたが、「創造的破壊」でなくても、従来の権益破壊で参入機会を増やせば、経済活動が促進されるのだ。
最新鋭の天然ガス発電所の設置には、沿岸部に適地を持った企業が多く、製鉄会社や製紙会社が、この機会に発電事業参入を図っている。
ガス会社も既存の設備を活かしながら、発電事業への参入の絶好の機会ととらえ、新規投資の拡大を計画している。
原発設備を維持するよりも、圧倒的に総需要の喚起と、周辺地域への経済波及大きいのが原発撤退戦略の効果であるから、経産省も考え直す時期であろう。