庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

国の豊かさではなく国民の豊かさの指標は別にある。

2014-05-12 | 暮らし・健康問題

一国の全体の国内総生産[GDP]の順位が上位だからといって、国民が豊かで快適な生活が出来ているとは言えない。

中国の様な統制の強い国での生活は、精神的にも健康状態も、開発途上国の段階の低レベルであろう。

アメリカの生活も、国連の定めた「人間開発指数」では、世界第3位にさがり、別の指標である「社会進歩指標」(ソーシャル・プログレス・インデックス)では、132カ国のなかで、16位に甘んじている。

 

この「社会進歩指標」は豊かな生活という観点からの評価が含まれて、アメリカ人の健康は70位、衛星の普及34位、基礎教育39位、個人の安全では31位。

つまり、国全体での富裕度は世界一でも、1%の超富裕層に大半の富が集中し、国の政策では軍事費に回すお金が多すぎて、他の政策面はおろそかになる。

この指標を統括しているNGOの責任者は、これまでは「子供たち」よりも、「無人機」にお金をかけるアメリカの現状を、社会サービスの削減で、社会はもろくなっていく、と批判している。

 

この「社会進歩指標」の上位は、1位のニュージーランド、以下、スイス、アイスランド、オランダ、と続いている。

国民の快適な生活を優先し、ニーズに応える社会を作っているモデル国だ。

この指標では、中国は90位に甘んじ、大国のロシアは80位である。

ハーバード大学の経営学教授で共和党員であるマイケルポーター氏らが、2年を費やして、多くの要素を反映したデータに基づいて、この指標を作成した。

もとの狙いは、経済を成長させる研究をし続けた結果、学校教育や健康面や社会的な要因が、経済成長を支えていることにたどり着いた。

 

それでは、世界3位の[GDP]の国、日本は「社会的進歩指標」では、どうか。

アメリカよりも、かろうじて上位の14位に留まっている。

1990年代のバブル崩壊以後に、社会的な不公平の増大や、非正規社員の比率増加などの、社会的な不安、不満が増加していることが原因になっている。

自民党政権の「既得権益の守旧産業」の保護や、原発利権重視のエネルギー政策にゆがみで、社会的サービスの欠如が、放置されてきた影響も大きい。

その結果は、世界で最低水準の出生率であり、晩婚化によって、若年世代の恒常的な減少のよって、地域社会の慢性的な衰退がおきている。

この取り残された社会的サービスを充実させるのが、政府の最優先課題である。