現在の技術レベルにおいては、電力をもっとも安く供給するには、「石炭火力発電」を増設することが選択される。
しかも、石炭火力発電所のレベルは、発展途上国では【安価な建設費】で成り立つ、【低効率の燃焼ボイラーによる蒸気式発電】である。
この旧式な発電設備では、石炭に含まれる硫黄成分などを状況出来ない為に、発電所から出る排出ガスは、人体に有害な成分が大気中に放出されている。
中国で大量に「石炭火力発電所」から出される排気ガスによって、日本にも「PM2.5」の汚染が拡大されていることも、日常茶飯事に起きている。
この様な旧式で低効率な石炭火力発電所を、できる限り「最新鋭の石炭火力発電技術(IGCC)」に置き換える様に支援する意義はある。
途上国などでは、天然ガス発電を導入するには、あまりにもインフラ設備が不足しているし、世界での絶対量が不足するのは、目に見えている。
「再生可能エネルギー電力」を導入できる場合は、そちらを最優先するにしても、発電コストがまだ高い段階では、途上国に強いるのは無理がある。
その場合には「石炭火力発電の最新技術」を積極的に普及させる効果もある。
しかし、日本の国内での火力発電を置きかえる場合に、単に発電効率が良いから「石炭火力の最新技術」を使っても、許されるわけにはいかない。
先進国では、2030年までには、「温室効果ガスの排出を50%削減」する責務が、確実に控えているのだ。
石炭火力発電を設置する場合には、今後は、排出する[CO2ガス]を、分離して大気中に放出することはしないシステムを実現しなければならない。
この技術は、先進国では研究をされているが、いまだに実用化された例はない。
この様な世界が必要としている技術を、どこよりも早く実現することが、日本に期待されている。
それには触れないで「経済的で現在に発電コストが最も安い】という理由で「重要なベースロード電源」としているのは、意識の低さを現わしている。
今すぐに実現できなくても、例えば2020年以降には、[CO2ガス]が分離されて貯留するシステムを追加で設置できる様に、開発を義務付けるべきである。
この技術が実用化されれば、途上国での石炭火力発電所に順次普及させて行き、
経済性と環境性能を両立させる技術革新に貢献できるのである。