庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

消費増税後には経済の落ち込みが確実でデフレに逆戻り。

2014-03-16 | 経済問題

昨年の10月~12月期の実質経済成長率が、年率0.7%に下方修正されたと発表されたが、その前の期間の7月~9月期も、年率0.9%に下方修正されている。

昨年後半からは、前半の経済成長率4.1~4.5%に比べて大きく落ち込んでしまっている。

生産を増やす為の設備投資をする動きは、急速に冷え込んでいる、と見れる。

個人消費も0.4%増にとどまり、増税前の駆け込み消費が増えると見られていたが、消費は振るわない。

 

安倍政権は従来の消費税増税後の景気引き下げの影響は十分に承知していて、この落ち込みを防ぐ方策として、「5.5兆円の公共事業」を中心とした、総需要の落ち込み対策を実施する。

しかし、この様なお金のバラマキでは、一時的な落ち込みを防ぐ程度の効果しか期待できない。

従来の経済対策では、必ず牽引力となる新産業に、重点的に投資を誘引して、それが波及効果を及ぼして、日本全体に経済成長を押し上げて来たのである。

政府は、それを「第3の矢」と称して、経済成長戦略を打ち出すとしている。

 

日本は産業政策として、太平洋戦争後の集中産業は、まず石炭産業へ投資で、

その次は、糸へんと呼ぶ紡績、繊維産業、そして鉄鋼産業、家電産業、自動車産業へと、集中的に投資を行い、多くの雇用機会を創出してきた。

その後は、雇用を大きく創出できる産業の育成には、失敗し続けている。

バブルに踊ってリゾート開発などは不毛におわり、アメリカの真似をしようとした金融ビッグバンは、不詳事と金融業界の輸送船団体質で失敗した。

その後は、イット産業(IT情報通信産業)だと、素人首相のミスリードで、すべては海外勢に対して、大型投資が遅れて敗退してしまった。

 

これらの教訓を安倍内閣は承知しているが、野党時代にサボっていたために、政権復帰後にやっと着手した「政府直轄特区制度」によって、新産業の芽を重点的に育成する戦略を作った。

これが、やっと2014年1月に活動開始したくらいで、「従来から言われているスピード感を持った実行」には、ほど遠い進展である。

欧米の後追い時には、真似する見本があるので、政府も民間も足並みをそろえてスピードを上げられる。

しかし、新産業の育成には、多くの人材の協力と時間が不可欠なのだ。


安倍政権の金融緩和政策の感覚は素人的な曲芸で危険だ。

2014-03-15 | 経済問題

日銀の黒田総裁が財政規律の改善を求めて、自民党政権が実施しようとしている「法人税の減税」に、批判の矢を放っている。

消費税の増税を強行しておきながら、法人税を安易に減税する姿勢は、国民の生活を犠牲にしておきながら、企業には恩恵を施こそうとする「その場の都合を優先する規律のないバラマキ」政策であろう。

日銀の超金融緩和政策は、政府の国債を買い入れて金利水準を意図的に低金利に維持するための、異常事態の金融政策である。

あらゆる犠牲を払って、物価上昇を引き起こしながら、国債の金利を低水準に抑制するのは、綱渡りの様な微妙な曲芸なのである。

 

日銀のデフレ脱却目標の「物価上昇率2%程度」は、まだ道半ばとしている。

今年1月時点での実績は1.3%の上昇率で、「国民生活の水準」は、それだけ低下しているのだが、デフレ経済からの離脱を最優先する日銀と政府は、とにかく「超金融緩和政策の続行」によって、国民の犠牲はモノともしない。

ここで、日銀が最も懸念しているのが、「日本の財政の信頼」の維持である。

現状よりも財政規律が低下する様では、海外の投機資金が「日本の弱みと見て、国債の売り浴びせ」を仕掛けて、金利水準が跳ね上がる危険性がある。

 

前例をはるかに超えた「超金融緩和マネー」の持続は、金利水準を低くするのが前提である。

この低金利を維持するもっとも大事な「財政規律の信用」を失うことは、厳重に回避しなければならない。

それには、法人税を減税した場合には、恒久的な財源を確保することを実施する必要がある。

ところが、自民党の大甘政治家達は、法人税減税の甘い政策には乗り気だが、社会保障制度の歳出引き締めなどには、及び腰で誰もが逃げ回る始末だ。

 

アベノミクスの一連の政策では、大甘の予測、想定に基づいて、輸出産業が伸びるとしてきたが、大きく想定を外れる低水準に留まっている。

13年度の経済成長率の目標の2.6%も、すでに達成は不可能な状況である。

そして、貿易赤字の大幅増加によって「経常収支の赤字額は過去最大」を更新して、慢性的な経常赤字国家の路線を進みだしている。

これを見て、海外の投機資金が日本の国債暴落を仕掛ける条件は着々と進む。

これほど危険性が増大しているのに、法人税減税の愚策は転落への道である。


マスメディアが景気低迷の負の循環を助長してきた20年。

2014-03-14 | 経済問題

近年のデフレ経済に落ち込んだ最大の原因が、労働分配率の低下による【賃金の減少】であることはもはや自明のことである。

それまでは、日本の国際競争力と維持するためには、人件費の削減を含めた「コストダウン」が必須であり、賃金の引き上げは競争力を低下させるとした。

大手企業も含めて、日本中が賃金の抑制に走ったために、働く人の消費力が慢性的に減少して【総需要不足】を引き起こした。

景気が低迷しているから、企業の新規投資が控えられて、さらに景気の足を引っ張るコトになった。

 

このコストダウン要求が人件費の引き下げにつながり、消費力の減退、総需要不足、新規投資の抑制、そして景気低迷のデフレ経済とつながる。

この負のスパイラルを助長したのが、「マスメディア」の大半の論調であった。

1990年代には、マスメヂィアが「価格破壊」と称して、安売りを仕掛ける急進企業を「庶民の味方」であるかの様に持て囃してきた。

この裏には、非正社員の増加や低賃金で働くパート社員の拡大が進んで、人件費の抑制が進んだ企業ほど、安売り競争の勝ち抜いてきたのである。

 

その次には、国内での生産では、土地代、電慮気料金など経費がかさむので、これらが安い「新興国での生産」に工場を移転する動きが活発化してきた。

この動きに対してもマスメディアは、「海外進出に積極的な企業」の国際企業化の拡大を、ほめそやしてきた。

国内の小さい市場だけを相手にする企業では、先行きの経済力強化には限界があるから、今のうちに「海外進出」を積極的に進めるべきだ、と言う理屈だ。

そして、家電製品をはじめとして、高度な産業である自動車生産も、次々に海外への生産移転を進めて行った。

 

この様な企業群を国際企業と一ランクも上に位置づけて、国内特有の価値観に沿っている「国内優先商品」を作り続けることは、「ガラパゴス化」と卑下した。

海外に出る企業経営者が優れていて、国内事情を優先する経営者は遅れている経営感覚だと、単純に思い込む「マスメディア」の論調が大半であった。

その結果が、国内産業の空洞化であり、人件費の抑制による【賃金デフレの深刻化】である。

今頃になって、賃金引き上げを渋る企業経営者は、景気回復策に協力しない「遅れた経営陣」であると、批判の論調に転じている。

誰がその主犯なのか?


グローバル化時代の経済の認識に遅れたマスメディア。

2014-03-13 | 経済問題

自民党政権が経済政策の誤りに半分程度は気がついて「公約達成のため」に、打ち出す新奇の政策は、これからも期待を持って見守る必要がある。

「過ちを改めるにはばかることなかれ」の古来の教えのとうりに、気がついたら最大の努力を払って、その修正をして行く事が良いとされている。

ところが、それを邪魔する「守旧的教条主義の囚われた組織」が、いまだに経済の好転にブレーキを賭けている。

それは、間違いなく大手の「マスメディア」の旧時代感覚の論説者たちである。

 

安倍首相をはじめとした政府の閣僚は、マスメヂィアの論調には大きく左右される「世襲型政治家」である。

確たる信念と何事にも恐れない「強い意志で目標達成に少しもぶれない芯」を持っている剛傑ぞろいではない。

今回のベースアップ要求を、【官製春闘】と書く様な大手のマスメディアもあり、

官が主導する賃金引き上げを異端視する様な、硬直化した認識に留まる。

働く人の収入をあげることが、「政治家の最大の使命」であることを忘れて、古い経済理論の虜になっているのだ。

 

第一の誤りは、「賃金は労使交渉で決めるべきものである」という労働市場の原理を持ち出すことにある。

これによって、20年間の賃金減少を招き、デフレ経済を深刻な状態に長期化させてしまった。

グローバル化した世界経済の中では、労使交渉に賃金を任せたら、世界の低賃金国との競争に晒されている企業は、間違いなく【賃金の抑制】に走るのだ。

それには政府が介入してでも、総需要不足に陥らないレベルの収入を確保することが、政治の最大の使命であるから、賃金交渉に口をはさむのが当然なのだ。

 

第二の誤りは、今回の大手企業の労組が、物価上昇率に届かない様な低レベルのベア要求をしたことを黙認し、その上に、それに応えてのベア回答が0.26~1.01%に留まっている状況を、好評価していることにある。

今年度の物価上昇率見込み0.7%をやっとクリアー出来るかどうかの上昇率なのに、これで大手企業は従業員の働きに報いているかのような報道ぶりだ。

2014年度の賃上げ交渉なのに、2014年度物価上昇率見込みの2~3%には、全く及ばない水準で、大部分の従業員が生活水準ダウンを強いられる。

これでは経営側が応えていると言えない上に、安倍自民党の成果でもない。


政権交代の公約がことごとくカラ手形となる自民党の愚。

2014-03-12 | 経済問題

安倍政権の経済政策は明らかな誤りであることが、経常収支の赤字額が最大になったことで証明された。

超金融緩和の円安誘導は「貿易赤字が増し悪影響をひきおこす」元凶である。

原発を数基再稼働したからと言って、海外からの化石燃料に輸入費用が減るのはわずかなものである。

そして、株価の上昇は企業の収益力が増加したこととは関係ないので、従業員のベースアップはわずかに留まる。

 

低所得で働く人へのしわ寄せは、賃金は上がらないママに、物価高と消費税増税の負担ばかりにかぶさってくる。

これが間違いなく、「消費力減少による総需要不足」で、景気後退とデフレ経済への落ち込みが進み一方であろう。

安倍政権も昨年の半ばからは、その誤りに気がついたと見えて、「経済の好循環なくして、デフレ脱却はない。」と言い始めた。

それを具体化するには、大企業の経営者に「従業員の収入を増やす必要がある」と給料のベースアップを要請して来た。

 

大企業の連合体である「経団連の守旧経営者」は、国際競争に晒されている企業は、政府の言うとうりにベースアップすることは不可能で、一時的な業績の好転時には、ボーナスで応えるのが妥当だ、と突っぱねてきた。

マスメディアの論調も「賃金は労使の交渉で進める」の正常で、政府が口をはさんでベースアップを要求するには、異例のことで、本来はするべきではない、との論旨を守ってきた。

ここにきて、やっと『経済の好循環は、働く人の収入増加から』という現代の論理が、どうやら一般の常識になり始めている。

 

自民党の旧時代の人たちは、高度成長時代の成功事例に浸って、現代のグローバル化時代の経済の循環が理解出来ない状態になっていた。

つまり、大企業が円安で輸出を増やして業績の向上を達成すれば、増加した利益を人材確保の狙いで、相応のベースアップとボーナスで応える。

それは、外注している下請け企業の働く人たちへも波及して、【トリクルダウン効果】で、消費力が大幅に増加する。

消費が勢いついて企業は積極的に新規投資を始めて、経済の活発化に向けて回りだす。この誤りにやっと気がついて、公約達成が危うくなっているのだ。(続)


2011年は日本再生の出発点であると再確認せよ。

2014-03-11 | 快適エネルギー社会問題

3月11日は、日本の歴史にとって「悪夢のような一日」であると同時に、旧時代の悪弊を断ち切る記念すべき日でもある。

天災に対しては、人命の保護を最大に追及したインフラと、避難・救援体制を万全に準備し、いざという時にもうろたえずに被害を最小に抑える。

政府の復興に対する予算は潤沢に用意できても、各地の自治体の調整能力をレベルアップする必要があり、それを無理に予算消化の駆け込み的な復旧をする必要はない。

ここは、将来に地域社会の在り方を地元の住民合意をしっかりと、時間を掛けてでも着実に進める路線を堅持するべきである。

 

その一方で、原発依存政策の間違いと安易な想定のひ弱な実態と、国民が知る機会となった。

電力会社は自分たちに利益と権益を重視することばかりを優先して、事故は起きないと過信してしまった。

これを謙虚に反省したら、日本の様な天災の条件が不利な地盤で、人口も過密な国土に多数の原発を設置した愚かさを悟るだろう。

それを、世界一の安全基準を作ったから、これに「適合出来たら再稼働は問題ない」と、大甘の認識で減圧維持を強弁するのはもってのほかである。

 

国民は【経済性の面で有利な原発電力】に依存することを拒否しているのだ。

将来に国に根幹には、安全神話に頼るのではなく、国際紛争の被害を受けない、『再生可能エネルギー』を最重点にする「エネルギ基本計画」を望んでいる。

それを全く無視するかの様な「旧時代のママのエネルギー基本計画」を持ち出す政治感覚は、日本再生の出発段階のリーダーには全く不適確である。

国民は『安心して心豊かに暮らせる社会と国土』を望んでいるのだ。

 

その政策に第一は、快適に利用出来るエネルギーへの、転換政策である。

再生可能エネルギーへの集中的な投資と促進政策は、その一番目の柱である。

それが、本格的に普及して大きな割合を占める様ぬする「時限を定めた普及目標」を国民に示すべきなのである。

それには、どうしてある程度の期間が必要になるから、その間を原発の再稼働でつなぐのではなく、天然ガスのよる「ベターなエネルギー利用の拡大」が必要になる。

その様な「安心で快適なエネルギー」の普及が国創りの根幹になるのだ。


安倍政権は先祖がえりで旧時代復活。新産業にブレーキ。

2014-03-10 | 快適エネルギー社会問題

再生可能エネルギーの技術開発には、日本の将来を賭けて最大限の資金と人材を投入すべきである。

安倍政権は、「導入を最大限加速する」と政権交代以後もいいつつけているが、すでに14カ月以上も経っているのに、有効な政策を打ち出さずにいる。

その一方で原発の再稼働については、たびたび、電力会社を後押しする様な発言を繰り返すので、再稼働に向けた追加の工事と準備作業が活発化している。

そのあおりを受けて、天然ガス火力発電所の建設が遅れたり、福島原発の汚染水処理作業が手抜きになったりしている。

 

日本人はいざと言う時には、汗と知恵を絞りだして目標を達成する能力は、世界でもトップクラスの能力と情熱を持っている。

それは、将来に向けて多くの人たちが結集出来る目標を明確にして合意が出来たあとでは、驚嘆すべきスピードで乗り超えていく。

ところが、お上が決めたことに形だけは、従って最小限の義務を果たす様な目標では、一向に成果は期待できない。

生活のためには、企業の上部の言うことを聞いて従っていくが、無理をしないで最小のリクスで無難な方法で取り繕うだけに終わる。

 

旧時代の産業や原子力産業の保護と延命ばかりにしがみついている安倍政権の政策には、ほとんどの国民が疑問と不安を持っている。

いくら安倍首相が「株式バブルの再現」によって、景気上向きの空気を作りだしても、身の回りが豊かになって行く実態が感じられなければ、誰も信じない。

アベノマジックは、すでに種切れで手品の仕掛けもばれているから、国民はしらけてみているだけになる。

4月以降の消費税増税が決定的に不安社会に突入するのだ。

 

もし、今からでも、原発とは縁を切る宣言をして、『未来に向けたエネルギー政策』を高い目標を掲げて進む意思を鮮明に打ち出せば、国民は活性化する。

エネルギーを利用する方向を、「精神的に快適さを求める未来社会」にふさわしい形態に革新をして行くビジョンを描く。

それは、小泉元首相が言う様に、政治の決断力とリ―ダ―シップを発揮すべき最重要な国創りの根幹である。

日本国内に豊富にある「再生可能エネルギー源」を積極的に開拓して、「快適な生活に向けて進む自立したエネルギー」を追求するのだ。


新産業の育成の制度は民主党政権の功績。自民党はゼロ?

2014-03-09 | 快適エネルギー社会問題

日本が長期的な国創りの目標を決めて、それに向かった新産業を育成することに全力を挙げて取組む必要がある。

その新産業として、もっとも基本となるエネルギー供給の自立と環境適合性を目指す『再生可能エネルギー産業』を起こすことが優先される。

このブログでは、その中でも『風力発電産業』、特に世界では実用化が課題になっている『洋上風力発電』の技術開拓に力を傾注すべきとして書いてきた。

その一端は、3013年7月3日、7月18日、8月18日に、日本の取組、世界の動き、先進のイギリスの状況などを説明してきた。

 

今回の『再生可能電力の固定価格買取り制度』の買取り価格の改訂によって、『洋上風力発電』の買取り価格が特別枠で優遇されることになった。

陸上風力発電は、2012年7月に22円/kWh.での買取価格に設定されたが、『洋上風力発電』も同じ扱いであった。

しかし、技術開発が初期段階においては、設置における投資額が過大になって、事業としての採算性は、不利になるので、設置計画を遅らせることになる。

それ故に、『洋上風力発電』は36円/kWh.での買取価格に設定して、新規の投資計画が進むように配慮した。

 

2014年4月から実施の予定であるが、この制度[FIT]自体は、民主党の管直人政権時代に原発大事故のあとで、代替電力の必要性が高まった、やっと国会で成立した法律による。

それまでは、自民党政権時代には、提案があっても国会審議に懸けることすらしないで、原発依存度をあげることばかりに重点を置いていた。

民主党政権に交代してから、やっと、具体的な法案作成が進み、奇しくも2011年3月11日の午前中の閣議で決定されたのである。

もし、原発大事故がなかったならば、自民党は先頭に立ってこの法律を批判して、反対に回ったであろう。

 

2012年の7月から施行されたこの制度によって、日本の再生可能エネルギーへの新規投資が増える状況になった。

日本の各地で、太陽光発電や風力発電への投資意欲が高まって、停滞していた経済活動の効果的な制度となっている。

しかし、これはあくまでも民主党政権の成果であり、安倍自民党は新たな政策を何も打ち出していない。


本来の経済政策は国創りの信念に沿って新産業を育成だ。

2014-03-08 | 快適エネルギー社会問題

安倍政権の経済政策は、その場しのぎの景気浮揚策であって、しかも特定の富裕層と土建業界に恩恵がもたらされる「不公平なお金の拡散」に終始する。

その拡散したお金が広がっていくことで、恩恵のおこぼれにあずかれる人もいるだろうが、マスメディアは未だに、アベノミクスを持ちあげているだけだ。

1年前よりも景気回復は鮮明になっている、として成長戦略の中身のお粗末さをそのまま放置して、有効な批判や論戦を展開する気概もない。

成長産業を育成する上で、弾みとなる筈であった「TPP交渉」は、既得権産業と守る方を優先して、交渉は妥結出来る見通しは全くない。

 

「エネルギー基本計画」の原案を閣議で決めたが、原子力維持や核燃料再処理の方針は、懸案を何も対処しない先送りの姿勢である。

これでは、代替の電力への転換策は遅れる一方で、新規の投資が停滞する。

特に、再生可能エネルギーの普及促進は、新産業育成の面で最有力な分野であるが、民主党政権時に打ち出した「固定価格買取り制度」の維持をして、小手先の修正をしているだけで、成り行きを見守る姿勢のままでいる。

「エネルギー基本計画」には、「導入を最大限加速する」とお題目を唱えるだけにして、新たな促進策を打ち出す意気込みすらない。

 

この内容に対して、自民党の若手を中心とするグループからは、普及促進に政府の責任を課す様に、導入目標の数値を記載すべきだと要求している。

この目標を明確にして進めるやり方は、欧州の再生可能エネルギー導入先進国では、ごく当たり前の政策手段であるから、それを見習えば良いわけである。

ところが、旧時代の頭に凝り固まった自民党の守旧派からは、目標数値を記載するのは基本計画ではなく、情勢を見ながらの柔軟性を持たせるべきだ、として、達成の義務を回避したい逃げの姿勢だ。

 

この様に、従来の既得権産業ばかりを優先して保護する政策では、新規投資も活性化しない。

新産業に芽になる革新技術への研究投資は、リスクの多い挑戦であるから、政府の確たる信念に沿った国創りの方針を打ち出さねば、企業は思い切って踏み込んで行けない。

再生可能エネルギーこそが、日本の将来を背負う「重要な輸出産業」の成長する可能性があるのに、口先だけの安倍内閣では、活性化する可能性はゼロだ。

「アベノミクス第三の矢」は、マトに届かないへろへろの力不足の矢ばかり。


安倍政権発足後の経済政策で勤労者の収入は減少するだけ。 

2014-03-07 | 経済問題

アベノミクスの経済政策で、株価が上昇したことは事実だが、それは、富裕層や大企業の経営陣など、株価上昇による恩恵を受ける人達だけが資産増加に浴しただけである。

8割以上の勤労者は、2013年の「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省2月20日発表)によれば、給料の金額は殆どが減少となっている。

フルタイムタイムで働く正社員の平均基本給は、月額29万5700円で、前年より0.7%減少した。

また、正社員だけのデータは、31万4700円で0.7%減。非正規労働者は19万5300円で、0.6%減となっている。

 

2013年は物価下落から上昇に転じているので、勤労者の大部分の人は生活水準を落とさなければ暮らしていけない。

特に短時間勤務をするアルバイトや契約社員の時給で見ると、一番、生活費がかさむ年代の35~39歳では、平均時給が1167円で2.9%減少し、40~44歳では1191円で3.6%の減少である。

安倍政権が発足後の経済政策では、中間層にも厳しく、特に低所得者層は全く報われない給料に甘んじていたのである。

 

その一方で、2014年度からは消費税増税をはじめとして、厚生年金保険料の増加など、負担増加が目白押しに控えている。

年収400万円の世帯の負担増加は、6万2千円(1.5%)増加で、給料の減少0.7%分と家計負担1.5%増加分で、2.2%の生活水準ダウンを強いられる。

平均的な正社員ですら、この様な実質収入減にさらされ、非正規雇用の臨時雇用者は、35~44歳の年代で4.4~5.1%モノ実質収入の減少に脅かされる。

安倍自民党政権の実績は、全くない状態であり、有効な政策を打ち出さなければ、確実に消費購買力の減少で、経済は低迷するのは間違いない。

 

ところが、政府の2014年度の経済成長の見通しでは、1.4%成長を目論み、甘い期待だけが先行している。

民間の調査機関13社が2014年度の見通しを、平均では0.8%成長と下方修正している。

企業業績の回復や収入増による消費の伸びは、大企業や富裕層に偏ってお金が流れ、その恩恵は勤労者層には回ってこない構造は明らかになっている。

安倍政権の経済政策に期待する空気が作られるのは、メディアのねつ造である。


富裕層政党が半数の支持を維持する理由はメディアにある。

2014-03-06 | 経済問題

安倍政権の基盤である自民党は、広い支持層を獲得する「資本主義経済」を信奉する政党であった。

それが1980年代以降は、成功した資本主義の体制と既得権層を守る「保守政党」の性格を強めていった。

既得権構造は、社会の革新的な活動を排除して、旧来の制度、従来の産業構造を守ることが最優先の姿勢になって、腐敗構造を生みだし、停滞する社会に落ち込んでいく。

この構造的腐敗で、失われた10年を日本は漂流することになった。

 

これでは将来はないとして「自民党をぶっ壊す」のスローガンを打ち出した小泉政権の下で、官僚と産業界の癒着構造にメスを入れて、一部の構造改革には成功した。

しかし、後を引きついだ安倍政権は、次々に癒着した勢力の巻き返しにあって、革新への動きを削いでいき、遂には自民党は政権から追放されるコトになった。

しかし、交代した民主党政権も、「既得権構造」に対する挑戦の意思はあっても、実力不足、実行の意志薄弱で迷走を続けてしまい、ついに国民から見放されて3年で政権から転落して失われた20年となってしまった。

 

敵失により大勝した自民党は、以前に国民から見放された原因が何であったかを忘れてしまって、「既得権勢力」を最優先する政策を次々に実施している。

富裕層に有利な「消費税増税」を実行することで、財政悪化の規律が緩んで、「既得権を失いつつあった土建業界」を救う、「国土強靭化政策」に邁進している。

富裕層の資産を上昇させるために、超金融緩和による【株価上昇】を目論んで、経済活動が上向きになった空気を作りだした。

その代わりに一般国民には、物価高のしわ寄せを当然のごとく放置している。

 

表向きは産業界に給与アップの要請をして、勤労者の生活を配慮する姿勢を見せているが、低所得者層には冷たく、中間の勤労者の給与増加には、全く無策の状態で、打つ手がない状態である。

それでも、安倍自民党政権の支持率は、大幅に下がらない理由はなんであろう。

筆者は、その責任の半分以上は、【マスメディアの能力不足が原因】とにらんで、このブログで一部を書いてきた。

消費増税による悪影響を、ほとんど伝えていない上に、間違った理論をさも正しい様に扱う記事を掲載して、世論をあきらめムードに誘導している。(続)


働く人の生活水準を維持する姿勢もなく、安倍の身内だけ。

2014-03-05 | 経済問題

「安倍のミクス」を成功させるために自ら実践する、との情報が新聞の4面に掲載された。(2014年3月4日朝日新聞朝刊)

いよいよ、安倍首相も事態を飲み込んで、賃上げの先頭に立つ意識に転換したようだ、と期待も持って記事を読むと、私設秘書の給料のことだった。

いや、これは、ブラックジョークかと思いきや、本当の話であるが、「物価が上がるのに対応出来るよう、しっかりと引き上げたい。」

参院の予算委員会で述べて、私設秘書4人の賃上げを約束すると答弁した。

何かの間違いではないか、4人ではなく4000万人のことではないのか。

 

大企業に勤める人達は、それでも、責任感がある経営者ならば、物価上昇の見合うだけのベースアップは検討するであろう。

会社の経営が厳しくても、発展する力を引き出すインセンティブとして、働く人を最優先で優遇するこを企業方針に掲げ、給与で業績の成果に報いる。

しかし、中企業以下の人たちは、富裕層や大企業従業員が報われても、給与が上がる仕組みにはほど遠いのである。

では、どうすれば、この人たちの収入アップのつながっていくのか、それは、明確な方法が判っているのだが、オバマ大統領は実行しようとしている。

 

その方法は、最低賃金で働く人たちの給料を、法律で引き上げることである。

最低賃金を強制的に法律で規定して、それ以下の給与では、働くコトが出来ない制度のすれば、確実に給与の引き上げが出来る。

すると、それ以上の給料の段階の人たちも、給与水準が押し上げられて、同等以上の収入アップにつながる。

ところが、アメリカでは、野党の共和党が反対で、すんなりとは、最低賃金引き上げは実施出来ないで、苦戦している。

 

一方、日本では絶対多数を握った与党のトップの安倍総理大臣は、わずか4人の給料を引き上げることしか念頭にない様だ。

最低賃金の引き上げ法案を提出すれば、確実の物価上昇の分以上の収入アップの恩恵を、4000万人以上のもたらすことができるのに、その様なリーダーシップの気配すら感じられない。

自分の身内のことだけしか、頭に浮かばない位に小粒のリーダーでは仕方がないが、政権与党の内部からも、「最低賃金引き上げ法」の動きもないのは、やはり、自民党は、金持ち、富裕層を代表する政党だからであろう。


全勤労者が生活水準ダウンを4月1日から・・。ウソでしょ。

2014-03-04 | 経済問題

「アベノミクスの第一の矢」は、超金融緩和によって企業が借り入れる金利が低いことを利用して、国内への投資を活発にすることを狙いとした。

その投資増加による需要増によって、市場価格が上昇して【デフレ状態】から離脱ができて、物価上昇率が2%前後になって推移する。

ところが物価上昇率2%の状態になっても、働く人の収入が増えなければ、消費需要は増えることはない。

むしろ、物価上昇分が消費購買力を削ぐので、2%以上の消費減小になることは、理の当然である。

 

いくら無知な安倍内閣でも、勤労者の給料が増えることは必要だと言い出して、経団連や中堅以上の企業にはベースアップを実施して欲しいと懇願している。

さすがに、大企業経営陣も、ここにきて「ベースアップ」は出来ないと拒否したら、社会的に制裁を被るおそれもあるので、とにかく、交渉には応じる。

ところが、大企業労組のベースアップ要求額は、3500~4500円/月で平均賃金の1~1.5%程度の少額である。

これでは、物価上昇率目標の2%を下回るので、ベースアップが満額回答でも、生活水準は低下するのである。

 

忘れっぽい「マスメディア」の論調は、リーマンショック時以降はベースアップ要求がゼロであった時期と比較して、久々の「ベースアップ要求」であり、企業側も交渉のテーブルにつく意思表明をしたことを、無邪気にほめている。

忘れてもらってはいけない第一は、2014年4月から消費税が3%増税になることである。

この分をベースアップ要求額に入れなければ、収入減少と同じで1%以上の賃下げ状態が4月以降の全勤労者の生活にのしかかってくるのだ。

マスメディアの責任は、要求金額が間違っていると労組を叱咤するべきなのだ。

 

もっと忘れてもらっては困るのが、「オイルショック時に労組のベースアップの要求基準」が何であったか、である。

当時は原油価格が急上昇して、諸物価の値上がりで、便乗値上げも含めて物価上昇率は23%に達し、第二次オイルショック後も15%上昇した。

勤労者の生活を守るのが、民間労組の最大責務であるから、当然、ベースアップ金額は、『物価上昇率にプラスアルファ』であった。

経営側の回答は満額ではなくても、生活水準を守るレベルの回答を引き出した。


計画性もバランス感覚もない安倍政権は物価上昇だけ成功。

2014-03-03 | 経済問題

「アベノミクスの第二の矢」は、景気対策の常套手段である「国債に依存した公共事業のバラマキ」である。

3・11の大地震・津波災害の恐怖を二度と繰り返さない為に、災害地は「復旧・復興の大工事」に邁進して、一日でも早い工事完成が待たれている。

その上に、「国土強靭化」の大義名分の下に、これまた、各地のインフラの地震対策や老朽化対策は、目白押しの状態で待っている。

ところが、工事を請け負う事業者の方では、一時的な受注の為に、技術者や作業員を増員することには慎重である。

 

自民党政権の「その場繋ぎの公共事業」のラッシュにつきあって、機械設備や人員の増強を図ったら、あとで赤字転落の火種になる様なことはしない。

結局、国土強靭化の掛け声とバラマキ予算によって、割高の工事費になってしまい、【災害地での復興事業が遅れる悪影響】ばかりが目立ってきている。

それに輪をかけて、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが世界との約束になっているので、これも、土木工事の逼迫に輪をかける状況になる。

「アベノミクス第二の矢」は、各地に割高工事をバラまいて、物価上昇には効果が出るのは確実だ。

 

安倍政権の公約となっている「デフレ経済からの脱却」は、超金融緩和による円安効果と、公共工事の大判振る舞いによる工事費の急上昇によって、物価上昇目標の2%以上を達成出来るだろう。

しかし【輸入資源の価格高騰】は、一般国民の生活費の上昇を招き苦しめる。

公共工事のバラマキでは土建業界を潤すことにはなるが、工事発注者には、建設工事関連の出費増による採算性の悪化、財政悪化を招く元凶になっていく。

長期の計画的に工事を実施するならば、継続的な経済効果を発揮するだろうが、単発的な工事のバラマキは、弊害が多いだけで安定雇用の増加にもならない。

 

国内需要を増加させることで、デフレ状態からは抜け出せても、円安による資材の価格アップは、確実に貿易赤字を増大させる。

円安による輸出増加は、わずかには増える可能性もあるが、輸入増加の方が圧倒的に増えるので、経常収支の赤字増加が常態化するだろう。

これによって、円安はさらに進む流れになるので、物価上昇が続くことになる。

そして、安倍政権は公約を達成した、と声を大にして実績を誇るだろう。

これでも安定政権だと言えるのか、マスメディアもあいた口がふさがらない。


アベノミクスの見込み違いの責任はマスメディアも共犯だ。

2014-03-02 | 経済問題

日本の貿易収支が年間で11.3兆円の赤字に転落して、経常収支まで赤字になったことは、マスメディアでも一応、報道されたが、その主原因が「アベノミクスの円安誘導」にあったことは、大きくは取り上げていない。

超金融緩和による「株価の上昇」は、資産価値を上げることで効果がでて、停滞していた空気を少しは明るくする風潮に貢献はした。

しかし、実際にその恩恵に浴する企業や人は、大企業や資産を持っている富裕層に限られている。

大多数の一般国民は、輸入品の価格上昇の影響を受けて、食料品価格が上がり、自動車の燃料代がかさむ損害を被るばかりである。

 

輸入金額の大幅増加に対して、輸出が伸びず、貿易赤字は必然の結果であった。

円安になっても輸出増加がないことは、「産業構造の変化」があったことに、気がつかない経済人と政治家の大きな過ちである。

それを、大問題として報道しないのは、マスメディアも【アベノミクス第一の矢】と景気浮揚の空気作りに加担して、「円安が日本の国民にとって良いことだ」との認識で、報道を続けた共犯者であるからだ。

超金融緩和には疑問があっても、円高が景気停滞の原因とした「経済界の見解」に追従したマスメディアの無定見な怠慢が、安倍政権の欺瞞を隠したのである。

 

込み違いでも、今さら円高への誘導はできず、【貿易赤字の原因は原発停止による輸入燃料費の増加だ!】と、原因を他人の責任に転嫁しようとしている。

この「燃料費の増加分3.3兆円」の数字が、マスメディアの怠慢によって、安倍政権の見込み違いの責任を、ぼやかしてしまうことになった。

もはや手遅れの段階で、安倍政権が続く今後の2年半は、貿易赤字の更新を続けるコトが常態化するであろう。

その時に、マスメディアは怠慢の責任を逃れるために、言い繕うことだろう。

 

貿易赤字を続けることが、どの様な悪影響をもたらすのか、政府は逃げ回るばかりだが、対策は限られている。

将来に成長が期待される「高付加価値産業」を、地道に育成するのが、まっとうな施策であって、民主党政権時代も、成長分野の投資を集中するとしてきた。

ところが、自民党政権になってからは、景気の停滞が懸念される消費増税後の2014年4月以降に、「ケインズ政策」の常套手段の公共事業の大幅拡大に走っている。

とにかく、借金してでもコンクリートを注ぎ続けるのだ。(続)