日本の20年以上に渡る【経済停滞の主要原因】は、【賃金デフレ】による総需要の減退であることは明確である。
その上に、経済成長のけん引役となる『次世代の新産業の育成』に1980年の後半から、失敗の連続であったことにある。
この主要な原因の対策を講じないで、「現状維持の守旧産業を後生大事に守る」ことばかりを優先して、【産業界の言いなり】に労働分配率の低下を放置してきた【マスメディアの怠慢】と、【政治家の無知】にある。
それに輪を賭けて、【労働界の老朽化した指導者】も同罪である。
安倍政権が【賃金デフレ】の真の原因に目が向いて、大企業が儲けたお金を海外投資や内部留保に向けることが、デフレ経済の原因だと認識し始めた。
2014年の春闘では、政府が率先して「ベースアップで働く人への配分を!」と言い始めたが、この動きをマスメディアは、異例のことだと批判的だ。
ところが、肝心の大手民間企業の労働組合は、ベースアップ要求のレベルを1%程度の低水準のアップ率に抑えてしまった。
そのお陰で、儲け増大の大企業でも、ベースアップ水準は、0.6~1%の回答に横並びで決着の方向である。
怠慢なマスメディアは、リーマンショック以後、初めてのベースアップが実現したと、企業の回答をおおハシャギの論調で評価している。
その一方で、2014年の4月からは、消費増税、物価上昇などで、すべての給与所得者が負担増加を強いられる。
年収300万円では1.7%増加、500万円では1.4%、800万円でも1.3%
の支出増加であり、ベースアップ1%以下では、すべての勤労者の【賃金デフレが継続】する環境に置かれる。
これでは、如何に積極的な民間企業でも、消費購買力の増加が見込める状況にないために、国内への新規投資は控える経営判断をせざるを得ないのだ。
民間企業は、与えられた経済環境の中で、自社の株主、融資依存先の意向に沿って、最大の利益をあげることが最優先される「市場のプレイヤー」である。
その企業に賃金の引上げの責務を課し、働く人が安心して消費購買に向かう様に仕向けるには、政治の力でルールを変えて行くしかない。
経済産業省が「一部上場企業1800社」の『賃上げ状況を公表する』制度に取り組みだしたのは、そのホンの手始めの仕事で、もっと知恵を絞るべきである。