庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

安定志向の上に立った中央集権制度は新産業育成には?

2014-03-23 | 国創り政治問題

安倍政権は、事あるごとに「スピード感と実行力」を持って、改革を進めて日本経済を活性化させる、と声高にアピールしている。

しかし、今回の「国家戦略特別区域」の指定政策は、昨年の4月の産業競争力会議で提案され、8カ月かかって法律が成立した。

その後の1カ月で、「第一回国家戦略特別区域諮問会議」が開催されて、昨日までのブログに紹介した様な、内容のない会議が発足したのである。

これで「スピード感と実行力のある進展」と言えるのか、読者の評価はいかが。

 

民間企業の認識でいえば、こんなにも時間を賭けて、やっと評価する方針と総論が確認されただけに留まり、これでは、確実に競争から脱落するであろう。

政権発足後に、これだけに時間がかかっても、総論の確認しか出来ない様な政策決定のプロセスは、完全に非効率の典型に陥っているのである。

日本の官僚機構と政策に基本となる立法機構は、拙速を排して国の方向を誤らない為に、慎重に積み上げて行く【安定型の確実性】を最大限に要求している。

だから、諮問会議ひとつを立ち上げるにも、膨大な時間と経費がかかるのだ。

岩盤規制を打ち破るといいながら、その仕組み自体が岩盤の様な官僚制度の上になり立つしか道が開けない、のが日本の立法機構である。

 

「規制を突破すればそのあとはうまくいく」と考えている様では、【新事業・新技術の育成は出来るわけがない】のが、民間企業では常識である。

その成果と生み出すには、『トップの意思を入れた目標に向けてのゆるぎない挑戦が必要』なのである。

学者の頭では、「総理大臣をはじめとして、特区大臣、関係大臣はプロジェクトの中に入って一緒になって特区を進める」という姿勢が出来れば成果に結びつく、と甘い夢想的な話をし始める始末である。

こんな机上論的な特区構想でいるうちは、成果が出る可能性はほぼゼロである。

 

成長戦略担当大臣の甘利氏は、従来の特区は地域振興特区だが、この「国家戦略特区」は、【日本経済牽引の特区】だと、宣言している。

産業の集積を図って世界の強豪に匹敵する地域を作りたい、と夢想している。

つまり、「IT産業」の集積によって、多くのベンチャー企業が新興事業を引き起こしたシリコンバレーの様な産業集積地域を「甘い想定で利得を追う」のだ。

その様な素地のある地域が、日本のどこに存在していると言うのか。

まず、足元にある『再生可能エネルギー戦略』すら、迷走しているのに。(続)