日本の公共事業的な建設工事は、いったん、計画が決まると【異論をはさむ余地を排除する仕組み】が組み込まれる。
大型ダムの建設工事が、その代表的な「動き出したら止まらない工事」で、洪水防止と電力供給、水不足対策と、外面的には公共性を強調しておきながら、実際のデータを意図的に改ざんしたり、隠す風習が定着していた。
この構図が、原子力発電設置計画の【異論を排除する】姿勢が組織化して、【災害時にひ弱な原子力発電所】が、今その負の遺産の処理に困り果てている。
そして、この次に現れる大型建設工事では、「リニア新幹線」の計画が、【異論を排除する仕組み】の中で、進もうとしている。
東海道新幹線の輸送能力が限界に近いことは、誰にも理解ができる。
その補強輸送力とした上で災害時のおける代替輸送の役割も担える「第二東海道新幹線」の必要性は地域社会にも、説明がつく建設の根幹である。
しかし、その手段である「新幹線方式」を、在来線の規格と全く互換性のない「リニア方式」にする理由は、全く理解に苦しむ状況である。
地元への影響を説明出来る様に真摯に取りくみ、データを開示するべきである。
ところが、「JR東海」は沿線の各都県が設置した専門家会議が「調査が不十分だ」とする批判に、まともに応えようとしない。
いったん、経営方針を決定しているから、今さら、それに異論が出る様な事態には、無視する姿勢を決め込んでいる。
この構図は、原子力発電の拡大設置の状況に大変に酷似している。
新設、増設の方針が決まっているから、都合の悪い状況に対して軽く見る調査結果のみを採用して、活断層調査や耐震設計、津波対策等、すべてを甘い想定に収めて、工事を進めることだけを守り抜いた。
結果は、現在の様に大事故を引き起こして、世論からは完全に否認された。
JR東海が、批判や異論を無視して工事を進めるのにこだわるのは、自社の経営上の都合と独占体質による傲慢姿勢である。
工事に伴う環境への弊害も充分に配慮すべきであるが、その前に、当ブログで指摘してきた様に、環境に適合しないエネルギーの多消費型技術が問題である。
さらに経営面からも問題で、楽観的収支は無視出来ない悪影響がある。
リニア新幹線は赤字を多量に生み出し、肝心の東海道新幹線の料金値上げにつながる原因を生みだす。
これも無視するのも独占的企業の弊害である。