原子力発電所がすべて停止していても、核燃料が原発施設内に保管されていると、「核燃料税」が電力会社に課せられて、地元自治体の税収となる。
この税収を使って地元自治体がハコモノを数多く作り、地元の土建業者の収入となり、地域の利権構造が維持されている。
電力会社に課せられた「核燃料税」の分は、電力会社管内の電気料金に上乗せされて、一般の消費者が負担することになっている。
まとめてみれば、原発立地の自治体の土建、利権事業者を、電力消費者が支えているのが、現在の構造である。
この利権構造が現在も根底にあるために、原発48基の存続を前提とした「利権維持の勢力」が、なんとしてでも、原発を維持して【廃炉にしない】ことを、守り抜こうとしている。
ホンネは「すべての原発を再稼働させる」ことにあるが、事故終息の見通しもたたない現状では不可能な目標であるから、せめて、廃炉にはしないのだ。
動かない原発を維持し続ける利得は、電力会社の資産にしておくことで、維持する必要経費が電力料金のコストに認められる。
電力会社は動かない原発を維持する経営の方が、利益が増える構造である。
安倍政権は、「原発への依存度をできるだけ減らして行く」、と衆議院選挙の公約に掲げ、さらに参議院選挙でも、原発は減らして行くとしている。
その上で再稼働の可能性がある原発は動かして行く、としているが、世論の反発を恐れて前面には出ない曖昧路線を維持する。
こうして、動く可能性もない原発が30基以上もあるのに、維持するだけに経費を使い、地元の税収に回る。
そして、このお金は、地元の土建業者と電力会社に巣喰った「原発関連産業」の旧態依然たるハコモノ維持に使われる。
この様に、将来の経済成長には全く貢献しない、「地域、地元の利権維持」のおカネが電力料金を押し上げて【経済成長への活動の足を引っ張る】。
政府や民間が将来に向けての成長産業を育成しようとしているのに、旧来の利権を守る勢力がブレーキをかけている様では、経済成長はおぼつかない。
アベノミクス第三の矢を用意するのに、膨大な時間がかかるのだから、ブレーキになる負の産業は、潔く、退場させる路線を敷くべきである。
それも出来ない能力の政権では、経済成長路線に向かえる資格もない。