安倍政権の経済政策は明らかな誤りであることが、経常収支の赤字額が最大になったことで証明された。
超金融緩和の円安誘導は「貿易赤字が増し悪影響をひきおこす」元凶である。
原発を数基再稼働したからと言って、海外からの化石燃料に輸入費用が減るのはわずかなものである。
そして、株価の上昇は企業の収益力が増加したこととは関係ないので、従業員のベースアップはわずかに留まる。
低所得で働く人へのしわ寄せは、賃金は上がらないママに、物価高と消費税増税の負担ばかりにかぶさってくる。
これが間違いなく、「消費力減少による総需要不足」で、景気後退とデフレ経済への落ち込みが進み一方であろう。
安倍政権も昨年の半ばからは、その誤りに気がついたと見えて、「経済の好循環なくして、デフレ脱却はない。」と言い始めた。
それを具体化するには、大企業の経営者に「従業員の収入を増やす必要がある」と給料のベースアップを要請して来た。
大企業の連合体である「経団連の守旧経営者」は、国際競争に晒されている企業は、政府の言うとうりにベースアップすることは不可能で、一時的な業績の好転時には、ボーナスで応えるのが妥当だ、と突っぱねてきた。
マスメディアの論調も「賃金は労使の交渉で進める」の正常で、政府が口をはさんでベースアップを要求するには、異例のことで、本来はするべきではない、との論旨を守ってきた。
ここにきて、やっと『経済の好循環は、働く人の収入増加から』という現代の論理が、どうやら一般の常識になり始めている。
自民党の旧時代の人たちは、高度成長時代の成功事例に浸って、現代のグローバル化時代の経済の循環が理解出来ない状態になっていた。
つまり、大企業が円安で輸出を増やして業績の向上を達成すれば、増加した利益を人材確保の狙いで、相応のベースアップとボーナスで応える。
それは、外注している下請け企業の働く人たちへも波及して、【トリクルダウン効果】で、消費力が大幅に増加する。
消費が勢いついて企業は積極的に新規投資を始めて、経済の活発化に向けて回りだす。この誤りにやっと気がついて、公約達成が危うくなっているのだ。(続)